定期号[2014年5月31日号/通巻No.115]
今号の執筆担当:渡部真
毎月の事で恐縮ですが、今月も月末にバタバタと発行することになってしまいました。ごめんなさい。
昨日(5月30日)、毎日メディアカフェで「被災地の子ども達のいま」というトークイベントに出演しました。
フォトジャーナリストの安田菜津紀さん、『毎日小学生新聞』の中嶋真希記者と3人で、それぞれの取材レポートを通して、東北各地の学校が抱える課題などについてクロストークするイベントでしたが、手前味噌ながらとても良い報告会になったと思います。
安田さんの当事者ならではの気持ちのこもった報告と素敵な写真。中嶋さんは、『震災以降』で書いてくれた宮城県石巻市の小学校について、より詳しく学校の3年間をレポート。僕は、いくつかの学校の様子を伝えつつ、この3年間に進んできた学校統廃合について報告しました。
安田さんも中嶋さんも、それぞれの取材スタンスがよく分かるレポートで、僕も大変刺激を受けるのでした。
実は安田さんには『震災以降』に執筆を打診していたのですが、タイミングが合わずに今回は参加を見合わされましたが、再度続編を作る際には、ぜひ安田さんにも報告して欲しいと改めて実感しました。
この時のレポートについては、改めて機会を設けて報告したいと思います。
また、昨日のイベントでは、時間に余裕があれば、被災地の子ども達に現状で必要な支援についても考えられればと思っていましたが、そこまで話が進みませんでした。
今でも被災地の子ども達には必要な支援はたくさんあります。そうした点も、今後、記事にしてお届けしたいと思っています。
震災から3年経ち、ようやくまともな施設として整備され
た岩手県釜石市立釜石東中学校の野球グラウド。奥に見え
る2階建てのプレハブは、今年、スポートメーカー「NI
KE」の支援で建てられた。1階が倉庫と個室、2階がピ
ッチャーの練習マウンドになっている。
さて、今回は、必要な支援がある一方で、学校側から迷惑とされる「支援」についての記事をお送りします。
この記事は、今年の3月にある媒体から依頼されて執筆したのですが、諸事情で没になったものです。せっかくですので、こうした迷惑な支援がある事も、読者の皆さんに知っていただければと思います。
■「交流支援」という名の押しつけ
「皆さんのために合唱しました。感想を聞かせてください」
震災から1年以上経っていた2012年冬頃、岩手県の中学校に「ビデオレター」が届きました。ビデオには、関東のとある中学校の生徒達が合唱する姿が映っています。ビデオを送って来た関東の教師から、ビデオレターの交換をしたいというメッセージも入っていました。
それを見た岩手の中学生は「こんなビデオで元気を出せって、今でも俺たちって、そんなに可哀想に思われてるのかな?」と感じたそうです。「こっちの心配はいらないから、自分の生徒の心配してください」って送り返してあげればいい、と主張する生徒もいたとも言います。
この学校の教師は、関東の教師にお礼の返事を送りましたが、「こういう対応に時間をとられるのも、支援された学校の務めなんですよね」と、雑務に追われる苦労を口にしました。
子供達を支援したいと考えるのは人情というもの。岩手県、宮城県、福島県の学校に支援を申し出る人は、震災から3年目でも続いています。もちろん、震災直 後に比べて少なくなってはいますが、それでも“メジャー被災校”では、毎月のように支援や交流を求める連絡が来るそうです。
ところが、支援する側は善意のつもりでも、相手の迷惑になっているケースも少なくありません。口では「交流」と言いながら、一方的な押しつけもあるのです。