2023年10月27日19時23分、タクシー乗車中、神宮前オリンピックスタジアムを横切る瞬間に報を目にし、心臓が止まる思いでした。

 

 今、深呼吸ののち、読経を終え、車中で書いています。

 

 私は、私の人生にXデーがあるとしたら、と想定していた日があります。それが今日になりました。

 

 私事につき無礼をお許し頂きたく、私は先週までガン(悪性リンパ種)の疑いがあり、東京女子医大で精密検査を繰り返しておりました。

 

 結果、つい先日、別の病気だという診断が下り、現在治療中です(深刻なものではありません)。

 

 「中古の命だけれども、とにかく一つは拾ったな」と思うと同時に、私の些か狂躁的な人生の中で、初めて死の安らぎというものを実感していたところでもありました。

 

 まだ目的地はついておらず、シートベルト着用、夜間乗車中、という無礼をお許し頂けると幸いです。

 

 最後のクレージーキャッツ、犬塚弘さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

 菊地成孔