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<ビュロ菊だより>No.61『マンガを愛好する皆様に陳謝致します』
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<ビュロ菊だより>No.61『マンガを愛好する皆様に陳謝致します』

2015-04-11 09:00

     いやあしかし、いまどきオレのブログなんか誰も見てないっしょと思い(ブラフとか自嘲とかではなくガッチガチのガチで)、今年のアカデミー賞、自分的にいろんな意味で面白かったし、書籍化のテストランに書いた物でも載せておくかという感じだったのですが、やっぱネットって凄いですねー(汗)。

     ワタシには、刑事ものなんかに出て来る「情報屋」みたいな特定な手の者がいるわけではないのですが、今、SNSや巨大掲示板を全くみない。という人はほとんどいないらしく、誰と会ってもネットの話しますし、あとファンメールでチクってくる方もいらっしゃいます。

     「チクる」というより、ワタシの書き損じとかのチェックとか(多いので・笑)、余りに酷い中傷に憤慨されてチクって来るとか(大抵、「知ってますよね?」的な感じなんですが、知らないです・笑)ですね、デューク本郷氏に関しては、後者の形で知ったので、あの方が大暴れされてから数年間知らなかったという訳です。

     ですんで「(いま、自分が書いている物の中で)読まれているもの/評判になっているもの」が分るんですね(物凄くぶっちゃけて言うと「分りたくない」んですが・笑)、なんちゅうか、これって間接的にネットやってるのと同じで(笑)、絵に描いた餅を3Dプリンタで立体にしたので喰えと言われている様な感覚とでも言いましょうか、もう大気中にネットは含まれてるんで(窒素とかと同じで)、息止める以外逃げられない。みたいな感じですね(「逃げる」っつうか、「距離取りたい」だけなんですけどね、長引いてしまった恋人みたいに・笑)。

     「アメリカンスナイパー」んときは、さほど大した事無くて、アップしてから結構経ってから「町山さんに喧嘩売ってると言われてますよ」という通報がいっこだけあって、それでも腰が抜けるほどビックリしたんで、こちらでその旨書いた、といったぐらいだったのですが、「セッション!」に関しては、何だか大騒ぎみたいな事になって、アップした翌日ぐらいから、あう人あう人に「読んだよあれヤバいねー」「ミューマガ以来だねー」とか言われました。

     勿論、ワタシがいくらおっちょこちょいのバカとはいえ、「憤激」が(善くも悪くも)ウケてしまう」という事実が、そのまま「セッション!」が支持される理由と高い割合で直結している事は分ってますから、書くにあたってあの行為(激情や怒りがドラッグ化している現在、刺激物に対し、刺激物をぶつける=鏡面的)が、キワキワな行為である事は承知してましたんで、単なる憤激では芸も無いし有害な訳ですから、仕事はしたーーー寿司屋用語―――訳ですけれども、それでもやっぱ、広く読まれるというのはいろんな反応がある物で、最初はビックリしてしまったんですが、結論を先に言うと、とにかくコッチの落ち度ですんで陳謝させて頂きます。

     というのは「マンガファンがムッチャクチャに怒ってんぞ(大意)」と言われまして、「うおおおおお。え?俺マンガdisったっけ?そんな気ぜんぜんないんだけど」と思い(これもスンマセン!!「盗人猛々しい」と思われるかもしれませんが、落ち着いて先を読んで下さい。「その瞬間はそう思った」という経緯を正直に書いているだけです)、読み直した所、まあ、完全なアチャーですけど、やっちゃってましたね(先ず土下座)。筆に関しては、滑っているように見せかけて滑らせていないつもりだったんですが、デリケイトな心情に移入するに、やっぱこれはアタマ来ると思います。

     ただとにかく、先ずこれは言わせて下さい、ワタシは、名前も出してますし、面も割れてますし、人によっちゃあ住んでる所も知られてますし、いついつどこで何やる、というのもおおっぴらに宣伝してますし、あまつさえ普段どこそこで遊んでる、というのも書いたりしてますから、「よし、喧嘩売ろう」と思った時には、2次元であれ3次元であれ、相手(特定個人。という事でない事、が多いですが)を明確に想定してますし、そんでもって、これ言ったら(書いたら)そいつが殺しに来ても構わない、と思ってからしかやりません。

     なんですけど、コレこの通り、おっちょこちょいだしバカですんで、興奮して滑っちゃって、撃つつもりないところを撃っちゃう事もありまして、そういう場合はワタシ一律陳謝させて頂く様にしております(昔はラジオで陳謝した事もありました)。危険物を放る。ちゅうのはリスクを負わないとテロになっちゃういますんで。 

      自分で確かめた訳でも(確かめ方にイマイチ確信が持てないので)、直接抗議を受けた訳でもなんでもないんで、ひょっとしたら悪友のデマかも知れないんでですけど、それでも読み返すにやっちゃってる事は確かですんで、とにかく今回、マンガを愛好する方々の中で、怒り心頭に達している、という方がいらっしゃったら、お一人残らず、水羊羹の詰め合わせを持って頭を下げさせて頂きたいです。申し訳ありません。 

     「どう滑っちゃったか?」に関しては後ほど説明させて頂きたいんですが、先ず何よりも第一にご理解頂きたいのは、ワタシは所謂ジャパンクールを乱暴に全部をまとめて軽蔑している訳では全くありません(っちゅうか、マンガは「ジャパンクール」じゃないんじゃないかな?と思ってます)

     「じゃあ、何をどう思ってるか?」というのをいちいち全部書くアレじゃないですし、陳謝というには口上が些か長く成って来てますんで、マンガについてだけ書かせて頂きますが、ワタシは長い間読んでませんで(70年代中期まで少年ジャンプ読んでまして、80年代の初期に1~2年「ガロ」にハマった事があります)、その旨あっちこっちに書いたり言ったりしてるんですね。

     それでも、です、こんだけ映画の原作もテレビの原作もマンガで、雑誌でもマンガの特集がボカボカ組まれてますし、尊敬する知人の優れた音楽家やクリエーターはみんなマンガ好きで、飲み会になったら、どんだけマンガがヤバいか話が止まらないですし、凄げえんだろうな、ひょっとしたら、日本のカルチャーの中で突出しているのでは?エッセイとか純文学よりも遥かにヤバいゾーンなのかも?と、想像するに吝かではないし、一昨年、何十年かぶりで読んだ「耳かき仕事人サミュエル」は、滅茶苦茶おもしろくて一気に読んじゃいまして、それ以来読んでませんけど、その事にも特に意味はありません。 

      だがしかし今って言うのは「見たり読んだりしてもいないのに、偉そうにひとこと言う」というふざけた行為が世の中に窒素の様に溢れかえってまして(ワタシも年がら年中、それはそれはとんでもない被害にあってると思いますし、気をつけてるとはいえ、自分も知らず知らずやってるかもしれないとは思うんですが、ワタシはそういうとこが狂ってるんで&直接見ないんで、麻痺して、気にならなくなっちゃってるんですけど、それでも一般的に)下手したらアレ、一番アタマ来ますよね。ですんで今回「コイツ、読んでもいないのに」効果が生じたのではないか?だとしたらご立腹ごもっとも。と思っております。要するにワタシは自分が「過去から現在に掛けて、マンガを知り尽くした上で、マンガが大嫌いで、ジャズが大好きで、ジャズを賞賛してマンガを罵っている」のだとしたら、陳謝はしません。呪われるがままにします。

     ただ、これも誠実さを心掛けるなら言うべきだと思うんですが、もし、ワタシが一念発起してマンガをガシンガシンに読んだ、結果「ダメだこれは」と思うかもしれないです。「凄そうだ」「ヤバそうだ」っていうのは、気配&推測なんですね、あくまで。

     ただ、それとコレとは話しが別、ですよね。「コイツ読んでもいないのにえっらそうに」が、やっぱアタマ来ると思うんですよ。コレはもう、ガッチンガッチンのマジでスンマセンでした(土下座1時間)。

     ですんで、テメエで滑っておいていけ図々しいかもしれませんが、どうかエクスプレインさせて下さい。

     

     
     *    *     *     *     * 

     

     

     あのクソ長い文章の中で、実際に「マンガ」という言葉が出て来るのは以下の4カ所ですよね↓

     

    ・<ハラスメント漫画>の題材にされたビッグバンドジャズの凋落ぶり

    ・ジャズミュージシャンとしてとにかく申し上げたい事は「念のため誤解なきよう。これはマンガです」という一言のみです。

    ・誰でも笑ってみられる、カリカチュアライズされたマンガとコンセンサスが取れていれば良い物の、そのうちマンガでなくなってしまったらどうしよう?今から英語の勉強をしなければ、、、と焦った程です。

    ・(両作は崇高な文学的名作なので、マンガと比べるのは気が引けますが)

     

     引用してる当の本人もハラハラする(カットアップの奔流というのはそういう危険な効果があるので、注意しましょうお互い。とかいって、もう無理ですけど。ネットがある限り)ほどの「<文学=偉い/マンガ=低劣>→起源よりフォーエヴァー」的な物言いですが、経緯はこういう事です↓

     

    1) 引用箇所は集中してますよね?要するに「没になった、マスコミ試写用の解説」の中だけです。

    2)その短文中に於ける「マンガ」という部分は、最初「巨人の星」という、固有名詞が入っていました。

    3)それで「現実の現場とは違う、カリカチュアライズされた表現」という意味が通じると思ったんです。

    4)代入するに、着想時はこういう形だった訳です↓

     

    ・<ジャズ版/巨人の星>の題材にされたビッグバンドジャズの凋落ぶり

    ・ジャズミュージシャンとしてとにかく申し上げたい事は「念のため誤解なきよう。これは<巨人の星>です」という一言のみです。

    ・誰でも笑ってみられる<巨人の星>なのだとコンセンサスが取れていれば良い物の、そのうち現実になってしまったらどうしよう?今から英語の勉強をしなければ、、、と焦った程です。

    ・(両作は崇高な文学的名作なので、<巨人の星>と比べるのは気が引けますが)

     

    5)これは「実際にそう書いて出したら修正された」という訳ではありません。ブレーキ踏みました(そしたら滑っちゃったんで、なんかブレーキが「無礼機」みたいな感じです)。

     

    6)何故か?第一に「巨人の星」は、いかな伝説の名作とはいえ、例えとして古いは古いですし、第二に固有名詞を比喩として使うことになります。マルシーの問題とか、うるさいかもしれない。

     

    7)更には、そもそもナンセンスにまで突き抜けてクラシックとなっている伝説の作品を、悪例と誤解されかねない引用に使うのは危険かな、っていうか、そもそも「巨人の星」だったら、どんだけ良かったかこの映画。とブレーキを踏み、何か代案はないか?と思案した結果。

     

    8)「ハラスメント漫画」という言葉を思いついたんですね。「あ、うまい事思いついた。<ハラスメント漫画>ね。こう書きゃ巨人の星を想起してくれるかも」と、揉まずに決めてしまったんです。迂闊でした。

     

    9)以下、タイトルの段階でそれ思いついちゃったんで、自動的に文中、同じ箇所が一律、単なる「マンガ」になってしまったんですね。

     

    10)「それでも、最後の<崇高な純文学的名作>と対比する箇所は無礼だ」というお声もあるかもしれませんが、ここでは<崇高な>=<リアルな>、<純文学的>=<カリカチュアではない(やはりこれも「リアルな」)>という意味を、良い調子で強めに修辞してしまった、要するにトリプルスリップの果てであって、もう少し周到に、例えば

     

     「あまりにカリカチュアされた、昭和のスポ根マンガや、大映ドラマのような物であって」

     

     とかいった書き方をすれば、意図は正確に伝わったと思っていますが、今ならどなたも御存知、「文字数」という天敵がいまして、どうしても言葉足らずになりがちです。

     

    11)お察し頂けると有り難いんですが、「巨人の星」へのコンセンサスは国民的なまでに大きく、一方で、ジャズへのコンセンサスは、文中しつこく記述した様に、分子みたいに小さいです、なので、主人公の2人が異常な状態なのはいくら何でも分るだろうけど「この演奏が特訓の素晴らしい成果」と思われたらいかん。と思い、興奮してしまったんですね。

     

     以下は陳謝を若干逸脱しますが、勿論ワタシは「ジャズを分ってない奴らが悪い」等とは毛の先ほども思ってないです。

     熟読して頂ければご理解頂けると思いますが、ジャズミュージックがこうして、世界的にコンセンサスを失い、何やっても「へー。あんなもんなのかね。ジャズ知らんけど」と言われてしまう責任は、我々ジャズミュージシャン側にあります。

     ワタシの憤激は、こちらの至らなさを(ジャズに対する悪意の様な、強烈な物も無く、何となく器用&上手に)カリカチュアライズされて、尚かつ、実際の音楽があんま良くないし(そしてその「良く無さ」も、そもそもコンセンサスされないし・涙)、といった事の複合体の結果であり、つまり、単に使われた音楽が悪いだけではなく、「こんなモンの題材にしないでくれよ=でも、題材にぴったりだよね、あらゆる側面から見て」という、キッツーいアンビバレンスによるものです。 

     スリップではなく、意図的な物によって、つまりあれを読む事で「遺憾を表明されても仕方ないな」とワタシが認めざるを得ない人物が1人います。それは「ジャズミュージシャン」である「ヒロ川島」氏で、第一にワタシは氏のお名前を不勉強ながら初めて聞きましたし、第二に氏のコメントは<ある人は「ジャズの現実とは違う」と言うかもしれない。しかしそれは監督の意図だ。この常軌を逸したバトル・ムーヴィーは、ジャズによって極上の一本となった>というもので、まあコメントは個人の感想だとしてもな、うーん、とかいってちょっと考えた結果、氏をジャズミュージシャンにカウントしないのが自分なりの最善策だとしてあれを書いています。まあ「喧嘩を売る」とはとても言えませんが、軽く睨んでますね。<ある人>の中に、ワタシがっつり入ってますし(笑)。

     ワタシは、言うまでもない事は言わないです。ワタシは常に「誰も言わなそうだから言うけど」というナンシー関主義で、今回は、スリップしてしまったお詫びをさせて頂きましたけれども、それはこの国でマンガ勢力が強いから。ではありませんし、逆に、「マンガ勢力がメジャーなので食いついた」のでもありません。その程度の発言者だったら、いくら出版界不景気とはいえ、プロとして物を書いたり出版したりする権利は剥奪されていると思います(そんな事ないか。まあいいや)。 

     いずれにせよ、以上の様な、不用意なスリップで不快な思いをさせて本当に申し訳ありませんでした。また、ついでに、といったら無礼ですが、単にフェチ持ちで、「スキンヘッド/色黒の筋肉質/白人/罵倒/ピタT」「白ポチャ少年/ビンタ/涙/出血/暴れ太鼓どんどこどん」が属性で、単にオレは萌えてるんだ。という方にも邪魔立てするつもりはありません(まあ、そんな言ったら、誰の事も邪魔立てするつもりはありません。ワタシと世界の闘いです)。というか、フェチ持ちというのは自分で分っている方々なんで、これは「言うまでもない事」の範疇ですが。

     という訳で、皆様のジャズへのご理解に関しては今後も精進を続ける所存ですので、とにかくジャズとかそういう事は一切関係なく「バードマン」を見て頂きたいです。ドラムスという楽器の表現が、どれほど深淵で素晴らしい物か必ずお分りになりますので。

     とか言っていたら、当のアントニオ・サンチェス(「バードマン」のドラム)の来日公演と「バードマン」公開に併せたマスコミ向け記者会見で解説及びサンチェス氏との対談をすることになったオレですが、実際は順序が逆で、その草稿を書こうとしていたら悪友から「なるちゃんマンガが好きな人たちがカンカンだよ~んw(原文ママ)おっかないよ~んwwww」というメールが入っていたのでした(再び土下座)。

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