オクテ女子のための恋愛基礎講座 (幻冬舎文庫)

 その昔、孫子さんはいいました。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と。

 「敵のことと自分のことがよくわかっていればいくら戦っても負け知らずになれるかもよ?」という意味だと思います。

 異性愛者の場合、恋愛における男性にとっての「彼」とは女性。

 じっさいのところ、女性たちは恋愛についてどう考えているのか? そこを知りたくて、アルテイシアさんの『オクテ女子のための恋愛基礎講座』を読んでみました。

 結論から書くと、とても面白かったです。

 この本が恋愛指南本として画期的なのは、恋愛のいろはについてくわしくない恋愛初心者、「オクテ女子」にターゲットを絞り、不特定多数の異性に好かれる「モテ」よりも特定の異性と建設的な関係を築く「マッチング」を重視していること。

 色々あって「モテ」の不毛さに絶望したらしい著者は、幸せになるためには「モテ」より「マッチング」が重要だと力説します。

 そのために必要なのは、受け身になって王子さまが訪れるのを待つのではなく、「みずから選ぶ」という姿勢。

 結婚さえできればいいなら、男受けのみを追求して、男の望む理想像を演じればそれで済む。

 しかし、結婚したあとも人生は続く。死ぬまでガラスの仮面を被って別人を演じ切るつもりでないかぎり、率直に自分自身を出してみずから伴侶を選んでいったほうがいい。

 また、「どういう男を選ぶべきか?」を突き詰めると「自分にとっての幸せは何か?」に突きあたる、と著者は語ります。

 そして、それでは、あなたにとっての幸せは? あなたがほんとうに欲しいものは何? 何を捨てられて何を捨てられない? その優先順位は? と、矢継ぎ早に問いかける。

 この問いに答えられるようになることが、まずは「自分にとっての幸せ」を自覚するということらしい。

 自分にとっての結婚の条件をあいまいにしないということ。すべてをきちんと言語化して、認識しておくということ。それが大切だという話のようです。

 まったくその通りだなあ、とぼくも思います。

 その後も色々と的確な(適格だと思われる)アドバイスが続くのですが、どれも非常に面白いです。

 いや、女性の側も悩みやら劣等感を抱えて必死になっていたりするんだなあというあたりまえのことがわかります。

 いや、読んでよかった。読んでよかったのですが――