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ふと思い立って、山尾悠子の『破壊王』を読み返しています。三回にわたって雑誌に掲載されたきり、長い間、単行本にも収録されず、文字通り「幻」だった作品なのですが、いまは『山尾悠子作品集成』に収録されて読むことができます。
いやー、これがねえ、実にぼく好みというか、地上の美と悲惨を結晶させたような物凄い小説で、ひとこと、大好き、それに尽きるのですよね。
文学者でありファンタジストであって物語作家には非ざる山尾の作品としては、おそらく最も「物語」指向の強い作品でもあります。
四部作を志して始まったものの、諸事情で三作発表されたきりで終わってしまった未完の小説なのですが、『山尾悠子作品集成』にはある種のエピローグとして四作目のダイジェストである「繭」が収録されていて、これが――凄い。
四部作の完結編としての意味はほとんど成していないのだけれど、その代わり、ストーリーとしての整合性を犠牲に文
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