閉じる
閉じる
×
ウッチャンナンチャンの「ウッチャン」こと内村光良さんの監督脚本作品『ボクたちの交換日記』を観て来た。これが良かった。素晴らしく良かった。「芸人が撮った芸人映画」という色眼鏡を外して、一本の映画として見ても非常な感動作といえるかと思う。泣ける映画を観たいひとにはオススメ。
映画の主人公は芸歴12年の売れない芸人コンビ「房総スイマーズ」。学生時代からの知りあいながらふだんはほとんど会話することもないこのふたりが、ある日、ちょっとした思いつきから交換日記を始めるところから物語は始まる。それ自体はいってしまえば凡庸なアイディア。しかし、このアイディアを自身、大人気芸人である内村監督は突き詰めていく。
決して派手な映画ではない。売れっ子の小出恵介と伊藤淳史が主演しているが、映画の脚本そのものはむしろ地味で端正だ。映画監督を務めている大物芸人というと、ほかに北野武や松本人志が思い浮かぶが、かれらの実験的だったり前衛的だったりする作品と比べると、むしろ驚くほど「まとも」な映画だといえるだろう。
しかし、そうかといってひたすらにハートウォーミングなだけのぬるい映画でもない。ここで描かれているのは、「才能」という絶対的な基準によって選別され、振り分けられ、時には絶望させられる芸人たちの現実だ。
芸人にも芸能界にも精通している内村監督が描き出す業界の裏側は、どこまでもシビアで、容赦ない。どんなに努力していても、情熱があっても、才能がなければあきらめるしかなく、しかもあきらめるタイミングを決めるのは自分でしかないのだ。
クラスでは人気者だったり、あるいは「天才」であったりした若者たちがまったく通用しないプロの世界のきびしさ。そしてそれでもやめられないお笑いの魅力。それらを描きながら、映画は感涙のクライマックスへ向け邁進していく。
この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。
入会して購読
この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。