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海野蛍さんの話をしていて思い出しましたが、SFネタのタイトルを使うソフトエロ漫画家としてはほかに流星ひかるというひとがいまして、『世界の合言葉は萌え』(ル・グィンの『世界の合言葉は森』)、『ボクらがここにいる不思議』(ブラッドベリの『二人がここにいる不思議』)、『それはロボット』(アジモフの『われはロボット』)といった本を出しています。翻訳SFは一風変わったタイトルが多いからパロディにしやすいんでしょうね。それだけ。
さて、それはともかく『ファイブスター物語トレーサーエクストラ2』の話。もう、ぼくは信者なので、この本一冊でいくらでも記事が書けてしまうのですね。今回はぼくのハンドルネームの元になっているダグラス・カイエンの話をしようかと。
最近の設定で本名はカイエン・カステポーであることが明かされたりしていますが、まあとにかくカイエン。アイシャと並んで『ファイブスター物語』のなかでも最も人気があるキャラクターです。
いくら人気があってファンが多くても死ぬ時はあっさり死ぬのがこの作品で、カイエンも第11巻で退場してしまうのですが、それでも物語中最強の騎士であることに変わりはありません。で、『トレーサー2』を読んで驚いたのだけれど、このひと、女性人気も高いんですね。
それはそうか、とも思うけれど、ここまで圧倒的に女性ファンが多いとは思わなかった。語る人、語る人、みんな「カイエンがかっこいい!」って言っているんだもん。それはまあ、もちろん絶対的に格好いいですが、まさかここまで女性の支持を受けていようとは、ちょっとびっくり。
同じ『ファイブスター物語』の男性人物でも、レディオス・ソープやダイ・グ・フィルモアは見るからに美形の王子様キャラで、少女漫画にも出てきそうなタイプ。女性の支持を集めることはわかる(まあ、ソープは癖がありすぎるから嫌いなひとも多いだろうけれど)。
でもカイエンは女たらしのダメ男で、ちょっと少女向けの漫画には出てこないようなタイプなんだよね。しかも異性として相手にするのは成熟した大人の女性だけで、「かれを本気で好きになってしまった女の子」であるミースからは逃げまわる。
また、幼年期のトラウマも抱えていて、父親はあのバランシェだから当然のごとくまっとうな愛情に飢えている。騎士として紛れもなく最強ではあるけれど、パートナーであるファティマ・アウクソーが壊れてしまったときはボロ泣きしたあげく騎士を廃業するなんていいだす人間的な弱さもある。
この「ギャップ萌え」というか、プリズムのように複雑な人格の多面性が魅力なんでしょう。これがハイアラキまで行ってしまうとあまりに男くさくて夢みる余地がないけれど、カイエンは何となく線の細さがある。「どこかに少年の雰囲気をほのかに残した大人の男」というあたりが、女性ファンの心を惹きつけるんだろうな。
その数百年に及ぶ生涯に関係した女性は数百人とももっとともいわれるわけですが、基本的には恋愛上手で、あまり女性に怨まれたりしているようすはない。もちろんひとりの女性に入れ込んだりすることはない。あるいはかれの理想の女性像は少年時代のパートナーであり、実の母親でもあるファティマ・クーンなのかもしれない。
いやー、いい男ですね。人間としてのダメさと超一流の能力がひとりのなかに同居していて、ソープみたいな女と見まがう美青年にはない、男としてのセックス・アピールが強烈。昨日観た『フライト』の主人公もそうだったけれど、こういう男はモテるんですね。
でも、あくまで遊びとしての恋愛しかできなくて、ミースみたいな子に真剣に想われると困ってしまうという、ほんとうにどうしようもない男でもあります。それでいてファティマであるアトロポスからすら「わたしが人間だったらあなたの奥さんになった」なんていわれるほど女心を狂わせるあたりがたまらない。
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