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http://temote.sakura.ne.jp/cult/cult2.html
タイトルでわかる通り、十数年前にあるカルト教団に参加した著者の経験をフィクションの形で綴った漫画なのだが、これがおもしろい。「ひとはなぜカルトにハマるのか?」という点で示唆に富んでいる。
まあ、著者は特段めずらしい理由でカルトに入信しているわけではないのだけれど、ぼくも一度、カルトと思しい団体の施設に誘い込まれた経験があるので、あまり他人ごととは思われない。
というか、著者が抱えていた社会への鬱屈や未来への絶望感には非常に共感できるのだ。それは青くさい思い込みかもしれないが、思春期の一時期、「大人になんてなりたくない」と思ったことがないひとのほうが少ないのではないだろうか。いやまあ、ぼくはいまでも大人になり切れているのか怪しいのだけれど。
オウム真理教について書かれた本を読んでも思うのだが、「「真理」を知りたい」とか「強い自分になりたい」といった欲望は、それじたいは間違えているわけでも狂っているわけでもないと思う。ただ、その欲望を段階的に発展させていこうとせず、一足飛びに「答え」にたどり着こうとするところで何かが狂ってくるのではないだろうか。
自分でいうのも何だけれど、ぼくも間違いなくカルト宗教に惹かれる資質を持っていると思う。ぼくにとって大切なものも、あたりまえの日常ではなく、より理想的(イデア的)な世界であるからだ。ぼくにとっては現実よりも空想のほうが真実に近いのだ。
ただ、ぼくはそれをフィクションという形で昇華することができる。だから、カルト宗教にはべつに惹かれない。そうでなかったら、どうなっていたやら。そういうふうに考えていくと、ひとは宗教にハマったりするくらいならアニメや漫画やアイドルタレントにハマって、オタクとか腐女子になったほうがずっといいとあらためて思う。
たしかにオタク趣味も世間的に価値がないものに大金をつぎ込んだりしているという点ではある種、宗教に似ているといえなくもないかもしれないけれど、だれに迷惑をかけるわけでもないし、最後に破滅が待ち受けていることもめったにない(ないわけではないだろうけれど)。高価な「呪い石」を買ってひとを呪ったりするくらいなら、1冊500円で薄い本を買ってオナニーしていたほうが100倍マシだ。
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