弱いなら弱いままで。
リアルスポーツ漫画とスーパースポーツ漫画。(1483文字)
その魅力は、少年時代に絶望的な大怪我を負った少年、一条龍の復活劇と、かれの華麗なプレイ、そしてリアルなサッカー描写にあります。リアル、とはいってもサッカーに詳しくないぼくはその描写がどのくらい現実に沿っているのかわかりません。ひょっとしたらとんでもない大嘘をついているかも。
しかし、サッカーのディテールはともかく、試合展開の妙はほんとうにリアルです。いわゆる「物語力学」に従って面白いほうに進むというよりは、「現実にかれらが対戦したら、じっさいにこういう展開になるだろう」と思わせるものがあります。
主人公は凄まじいポテンシャルをもつ天才サッカー少年なので、「俺様主人公がその圧倒的な才能でライバルをねじ伏せていく」展開が想像されるかもしれませんが、じっさいの物語はもっと丁寧。龍がサッカー選手として致命的なほどの事故から立ち直り、少しずつ元の能力を取り戻していくさまが洗練されたストーリーテリングで語られるのです。
注目するべきは龍のモチベーションが伝染していく様子。かれの圧倒的に高いモチベーションはあっというまにやる気がないチームメイトの心をも燃え上がらせていきます。その展開はほんとうに感動的。まるで現実の試合を見ているような臨場感があります。まさにリアルサッカー漫画。
そう、スポーツ漫画もロボットアニメみたいに「リアルスポーツ漫画」と「スーパースポーツ漫画」に分けて考えればいいと思うんですよね。『テニスの王子様』あたりに「ありえないw」という失笑が集まるのも、この違いを正確に認識していないからじゃないかと。
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