Newtype (ニュータイプ) 2013年 05月号 [雑誌]

 永野護『ファイブスター物語』が連載再開しました。連載が中断してから実に8年近い時が経っているはずで、そのあいだ作者はアニメ映画を作っていたりしていたわけですが、それはそれとして全読者が連載の再開を心待ちにしていたと思います。

 そしていま! ジョーカー星団全土を巻き込む「魔導大戦(マジェスティック・スタンド)」は再開しました! 再開したのですが――えーっと。えーっと。その話に移る前にちょっとだけ違う話をさせてもらってもいいでしょうか? 最近、ちきりんさんがこんな記事を書いていました。

私が安易な道を選んでいない唯一のジャンル、それは「文章を書く」というジャンルです。

たとえば、

そうだね(笑)

とか、

そうだね (^^)

って書けば、自分の伝えたいニュアンスが簡単に伝えられるでしょ。


でも、こういう表記法を多用すると、文章力が鍛えられないんです。長く続けてると必ず文章力が落ちます。だからこういう「ラクで手軽な表記法」は、極力、使わないようにしてる。

文末に(笑)って書く代わりに、文章自体で「これは冗談だからね! 笑って読んでね!」って伝えるためには、どう書けばいいのか。そう考え、トライし続けないと、文章力は向上しない。

それは私にとって、大変なことでも嫌なことでもありません。私も書くということに関しては、安易な道を選びたいとは全く思わない。そういう苦労をすることは、喜び以外のなんでもない。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20130409

 ぼくも基本的にこの考え方に賛同します。というか、大半の物書きはそういうふうに考えているでしょう。文章中に「(笑)」を使ったりフォントの大きさを変えたりする作家はめったにいません。

 まあ、決して「禁じ手」ではないので、べつに使ってもかまわないのですが、しかしそこには「フォントをいじらなくても、記号を使わなくても、あたりまえの文章だけですべてを表現してみせる」という気概とプライドが存在しているのです。

 だから、ぼくも基本的にはフォントを大きくしてインパクトを出そうなんてことは考えません。ひとがそうすることはまったくかまいませんが、自分はそういう道を選ぶつもりはないのです。

 しかし、今回、あえてその禁を破ります。これはもう、仕方ない。仕方なくはないかもしれないけれど、今回ばかりは一々的確な文章を考えている余裕がない。だから、ぼくは叫びます。

 ぎゃあ! なんじゃこりゃ!