弱いなら弱いままで。
樹なつみ、清水玲子、よしながふみ、種村有菜、高橋しん、成田美名子、川原泉などなど、キャリア10年から30年程度のベテラン作家ばかりをそろえた雑誌で、決して少女漫画の最前線とはいえないはずなのだが、どうしてどうして、圧倒的に面白い。
今月号で圧巻だったのは清水玲子『秘密』の番外編。本編が終わったあと、主人公の隠された過去を振り返るエピソードの完結編なのだが、いやあ、凄まじい。ここまでいい話をきちんと築き上げた上でそこに繋げますか。あなたは鬼ですか鬼なんですか。さすが『竜の眠る星』の、『月の子』の、『輝夜姫』の清水玲子である。素晴らしい。
でもまあちょっと、やっぱりそうですか、結局、男同士の友情ですか、という気がしなくもない。ちょうど樹なつみの『花咲ける青少年特別編』がまたそういう話だっただけに、なおさらそんな感じがする。いや、それが悪いわけではまったくないのだが、一応は少女漫画なんだからもう少し女性キャラクターにスポットライトがあたっても、と思うのだ。
この雑誌の女性読者はそういうことを考えないのかな。みんながみんな腐女子じゃあるまいし。それともみんながみんな腐女子なのだろうか。まさかね。
清水玲子さんはともかく、樹なつみさんというひとは徹底して女性人物に興味がないように見えるひとである。ほとんど嫌悪しているのではないかと思うくらい。やはり世代的な問題があるのだと思うが、このひとの漫画で女性キャラクターを「可愛いなあ」とか思って読んでいると大抵ひどい目に遭う。それはもういつものことだ。
ぼくは繰り返し書いているのだが、『OZ』におけるエプスタイン姉妹の扱いはもう少しなんとかならなかったのだろうか。ヴィアンカはまだしも仮にもフィリシアはメインヒロインだぞ。少女漫画なんだぞ。ボーイズラブじゃないんだぞ。
あきらかに作者の愛情が主人公ムトーと、性別不詳のアンドロイド19(ナインティーン)に偏っていて、ヒロインたちにはないことがわかるだけに、何となく悔しいような思いがする。お願いですから女の子たちにももう少しいい役を与えてやってください。まあ、無理なんだろうけれど。
『花咲ける青少年』の場合、メインヒロインの花鹿・バーンズワースにはたしかに光が集中している。しかし、逆にいうと「花鹿みたいな子じゃないとダメなのか」ということがわかってしまう絶望がある。あそこまでスペック高くないと赦されないんですかねえ。いやはや。
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