大変、大変長らくお待たせしてしまいましたが、ようやく『タイタニア』第4巻の原稿が完成しまして、さきほど講談社の編集さんにお渡し致しました。実は昨日の段階で原稿は完成しておりまして、それをTwitterで呟いたところ、皆さん「今日は4月1日じゃないぞ」とか、「実際に本が出るまで信じない」とか。いや、ごもっとも。http://a-hiro.cocolog-nifty.com/diary/2013/06/4-44ee.html
弱いなら弱いままで。
何度となく噂に惑わされて人間不信がつのっている田中芳樹読者の面々も、今度ばかりは歓喜の雄叫びをあげた、かというとそんなはずはなく、やはり「信じないぞ」と呟きつづけたのであった。
その秘書さんのブログを見てみよう。
はい、まことにごもっとも。何しろ『タイタニア』の前巻が出たのは1991年6月、つまりは22年前のことである。このシリーズは実に22年の間、刊行が止まっていたのだ!
人気がなくて打ち切られたのなら仕方ない。残念無念だが血の涙を飲むよりほかにない。しかし、そうではないらしいのだ。
何しろ『タイタニア』はこの22年間に何度となくべつの出版社から形を変えて出ているのである。新書版も出たし、文庫版も出た。人気がないとは思われない。
つまり、ひたすら作者が書かないために止まっていただけなのだ! なんてこったい、神も照覧あれ、ぼくは赦さないぞ。
しかし、一読者が、あるいは何万もの読者がいかに怨嗟の声を上げようとその声が作者にとどくことはなく、時はむなしく過ぎ、だれもが絶望のうちにタイタニア一族の物語を読むことはもう二度とないだろうとあきらめていたのだった。起こらないから奇跡っていうんですよ?
しかし、ときにはたしかに奇跡が起こることもあるようだ。なんと『タイタニア』最新刊は見事脱稿し、刊行へ向けて進んでいるという。
快挙というか壮挙というか、とにかくすごい話で、近代出版史上いくつも例がないことなんじゃないかな。ふつうは22年も止まっていたら二度と復活できませんって。
そもそも22年も止まっていてそのあいだちゃんと人気が維持されるということがおかしい。常識では考えられない話である。まあ、22年間も放置された物語がうまく接続できるのかという問題はやはりあるのだが、この際、贅沢はいわない。ただ新刊が出ればいい。
作者が書き、出版社が出し、そしてぼくたち読者が読む。きわめて健全なトライアングルで、それが機能しているうちは読者もそれほど文句はいわないのだ。
往々にしてその循環が止まるときにこそ読者は涙する。いままでいくつのシリーズが面白さの絶頂で止まってきたことか……。
偶然ではあるが、今年は『星界の戦旗』や『十二国記』といった長らく止まっていたシリーズの新刊が刊行された年でもある。『タイタニア』が刊行される(であろう)ことも、星のめぐり合わせなのかもしれない。
それにしても、これだけの長い沈黙の時期を経てなお、熱い支持の声が消えやらない『タイタニア』とはどんな話なのか。
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