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【エイズという病】
石井光太『感染宣告 エイズなんだから、抱かれたい』を読んでいる。
タイトルの通り、エイズ――後天性免疫不全症候群に罹患した人々を主題にした一冊だ。その内容は、重く、暗い。しかし、人間のある真実を克明に映しだしたノンフィクションである。
この本のなかに、あるエイズ患者が、看護師から恋人(セックスパートナー)にエイズ感染を告げる必要はないのではないか、と云われる印象的な場面がある。その看護師はこう述べる。
「必ずしも感染を告げなければならないというわけじゃないわ。抗HIV薬を飲んでウィルス量を減らしたうえで、コンドームをつけていれば、現実的な感染の可能性はないに等しい。それなのに、手当たり次第にHIV感染を告げて、相手を苦しめたり、不安に陥れたりする必要はないでしょ。夫婦なら別だけど、恋人ぐらいならしっかりと考えたうえであれば、言わないっていう選択肢だって
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