ふたり (新潮文庫)



 『ふたり』。

 シンプルでありながら何とも印象的なタイトルのこの小説は、赤川次郎の作である。長年、日本一のベストセラー作家として君臨しつづけた赤川にとっても、この小説は代表作のひとつにあたる。セールスは実に200万部を優に超えるとされている。

 ぼくも読んだ。いかにも才人の赤川次郎らしい、卓抜な状況設定と、魅力あふれるストーリーテリングが印象的な秀作だった。

 物語は、ある中高生の姉妹にフォーカスし、彼女たち「ふたり」を追いかけてゆく。姉は学校でも伝説と云われるほどの秀才にして、あらゆる方面に才能を発揮する少女。

 それに対し、妹は、どこかぼんやりとしていて、いつも夢を視ているようなふしぎな女の子。物語は、この姉が事故によって亡くなるところから始まる。

 決して失われてはならないものが失われてしまったとき、ひとは変わらなければならない。妹は、姉亡きあと、さまざまな事件を通して、成