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いま、その日本SF作家クラブではちょっとした騒動が起こっているそうですが、それは、さておき。『夏はと宇宙へ三週間』です。
いやー、もう、このタイトルからしていいよね。可愛い女の子と宇宙へ三週間のトラベル! このシチュエーションにあこがれない少年がいるだろうか。いや、いない(断言)。すべての少年は宇宙旅行に憧憬を抱くものなのだ(ふたたび断言)。
で、内容はこのタイトルが表している通り。ある日、地球の海にやって来た宇宙船に吸い込まれてしまった少女夏葉を追いかけ、いっしょに宇宙へ飛び出してしまった少年の、三週間の冒険が描き出されています。わくわく、どきどき。
もう、少年の日の自分に読ませてあげたいようなシチュエーションの連続! 宇宙の命運を巡る壮大な戦争あり、意外な結末あり、学園ラブコメあり(?)で、実に楽しい作品に仕上がっています。
すまき俊悟のキュートなイラストも素晴らしく、ほんとうに子供の頃にこれを読みたかった、と思わずにはいられません。冒険SFはこうでなくっちゃ!
晦渋な大人向けのSF小説に頭を絞るのもいいけれど、やっぱりぼくは「こっち側」の人なんだよなあ。陳腐といわれようと、未知なる世界! 広大なる宇宙! そういう条件がそろった小説を読みたくなるのです。
とはいえ、子供向けではあっても、テーマそのものはいつもの山本弘。全編にわたって「人間の幸福とは何か?」、「ひとにとって自由意志とはどのくらい重要なのか?」、「なぜひとは争いあい傷つけあうのか?」といったハードなお話が繰りひろげられます。
ぼくはこのひとの長編はほとんど読んでいるのですが(単行本未収録の短編はさすがに追い切れない)、まあ、いつも語っている内容は同じといえば同じなんですね。
山本さんの作品の根底には、人間の愚かしさに対する尽きせぬ怒りがある。なぜ、こんな簡単なことがわからない!といいたげな苛立たしげなトーンは、山本作品を通底しているものです。
うん、山本さんが有川浩さんの作品を好きだというのはよくわかる。ちょっと方向性こそ違うけれど、似たような種類の怒りを感じます。
それはもう、ノンフィクションの著書でも、ブログでもくり返し怒っているので、よっぽど気に喰わないんだろな、と思いますね。
すでに50歳を超えているはずの作家さんなのですが、そこはめちゃくちゃ青くさい。ぼくの好きなほかの作家、たとえば田中芳樹や栗本薫あたりだと、「人間はいつまで経っても争いあうことをやめられないかもしれない」という問題があったとき、
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