きょうはふたつ前の記事の完結編を書く予定だったのですが、どうにもうまく書けないので、予定を変更して別の記事を書いてみます。

 先ほど、たまたまNHKの「クローズアップ現代」を見ました。いわゆる「目利き」ビジネスの話。

 消費者が商品の選択を“プロの目利き”に委ねる新たな消費スタイルが今、人気を博している。月6800円でプロのスタイリストがユーザーに似合う女性服をセレクトするレンタルサービスが始まり3ヶ月で5万人の登録者を集めた。また北海道の書店店主がおススメの本を1万円分選んで顧客に配送する『1万円選書』も400人待ちの状態だ。ショッピングサイトにモノの情報が氾濫するなか、知識や経験を生かした目利きの商品選択が、商品選びに疲れた消費者に驚きや発見を与えているのだ。


 つまり、商品を自分で選ぶのではなく、信頼がおける「目利き」に選択を委任してしまうというショッピングスタイルが人気を博しているということらしい。

 初めから見たわけではないのだけれど、番組を視聴していると、「ああ、そうだろうな」と納得するところが多々ありました。

 いちじるしく選択肢が増えた現代社会ではこういうスタイルが出て来るよね、と。

 つまり、商品そのものの価格が下落し、一方で選択肢が膨大に増加しつづける現代社会では、その商品そのもののコストを、商品を選択する行為にかかるコストが上回るという現象が起こったりする。

 「選択肢は山ほどあるけれど、そのなかから最適なひとつを選ぶことがいちばんめんどくさい」という状態。

 商品の選択を「目利き」に任せるということは、その最も大変な作業を専門家にアウトソーシングしてしまうことであるといういい方もできるでしょう。

 「目利き」と呼ばれる人たちは、そこはプロですから、素人とは比較にならないくらいの情報を持っているし、何より直感的に良い商品を選ぶことができる。

 それはもう、たとえ何十万の選択肢があろうと直感だけでひとつを選び取ることができるわけです。

 この直感とは実は超能力などではなく、膨大な経験に裏打ちされた知的な予測能力にほかならないわけなのですが、その能力に期待して商品選択を委任することは、現代社会においては、ある種、合理的な行動なのかもしれません。

 しかも、選択をひとに任せるからには、自分では決して選ばないような商品が送られてくる可能性があり、そこにいわゆる「セレンディピティ」的なときめきを期待することができます。

 想像もしなかったすばらしい商品との偶然の出逢いは、予測されきったルートからのスリリングな逸脱を意味し、人生にワクワクとドキドキを取り戻してくれる、かもしれません。

 いずれにしろ、