ハルチカ (1) (カドカワコミックス・エース)

 初野晴&ぶーた『ハルチカ(1)』を読み終えました。

 同名のアニメの放送に合わせて第1巻が発売されたのだと思いますが、一作の漫画としてなかなか面白い作品に仕上がっていて、オススメです。

 幼馴染みの少年ハルタと少女チカが、さまざまな謎を解きながら吹奏楽の甲子園「普門館」を目指すというストーリーなのですが、面白いのはハルタもチカもある男性教師に恋しているということ。

 チカは「こんな三角関係絶対に認めない!」と叫びますが、しだいになし崩し的にその関係に慣れていくことになります。

 色白の美少年で推理の天才という設定のハルタなのですが、その挙動はコミカルで、読んでいて楽しいものがあります。

 ここらへんの設定を受け入れられるかどうかが、このシリーズを楽しめるかどうかに関わって来るでしょうね。

 とはいえ、もともと原作はライトノベルでもなんでもない本格ミステリのシリーズなので、あまりわかりやすくキャラ萌えに走ったりはしていません。

 あくまでキーとなるのはさまざまな「日常の謎」。

 そういったところをどう評価するかで、この作品の全体評価も決まって来るだろうと思います。

 ぼくはといえば、原作小説は大好きでずっと追いかけています。

 本格ミステリとしての洗練と青春小説としての楽しさをここまで高次元で両立させている作品は数少ないでしょう。

 既存作品でいうと『響け!ユーフォニアム』と『氷菓』を足したような内容というのがわかりやすいかもしれません。

 ひとが死なないタイプのミステリと青春ドラマを両立させているところに面白さがあるわけです。

 とりあえずこの第1巻で扱われている「謎」はすべて白面のルービックキューブをどうやって解くか、というパズル。

 すべてが白ということは解けているか解けていないかも判断できないわけで、いったいどうやってこの矛盾を解き明かせば良いのか?

 非常にヴィジュアル的に映える「謎」だと思います。

 それに加えてハルタとチカと有象無象たちの暴走的ともいえる青春コメディが描かれるわけで、これは面白い。

 アニメはおそらく1クールだと思うので、漫画もそれに合わせて数巻で終わるのかな? 

 たぶん原作第2巻『初恋ソムリエ』のエピソードを消化して終わりになるのではないかと思います。

 原作小説は