妹ができました。 (ウィングス・コミックス)

 ここ数日、色々と漫画を読んだので、そこらへんを雑然と並べてみます。

 まずは柊ゆたか『新米姉妹のふたりごはん』。

 ご飯ものというかお食事ものというジャンルがありますが、これはそのジャンルに含まれそうな一作。

 新しく姉妹になったふたりの少女が食べ物によって結ばれる様子が描かれます。

 作者は百合ものの同人誌を描いているひとらしいですが、たしかにそういったフレーバーがほのかにただよっています。

 しかし、この作品自体は(とりあえず現時点では)百合ではないですね。

 仲良し姉妹が楽しくご飯を作って食べる、それだけといえばそれだけの漫画です。

 しかし、作中のお食事描写は素晴らしく、読ませます。

 日常ものとしてはひそかにかなりオススメな一作です。楽しい。

 続いて芥文江『妹ができました』。

 これは完全に百合の短編集ですね。

 なんとなく百合っぽいという作品からいわゆるガチ百合まで、百合具合は作品によって違っていますが、どれも面白いです。

 繊細に描きこまれた絵柄がいちいち素晴らしい。

 こういう絵を見ると、読むほうが数秒で流し読んでしまう絵にも恐ろしい労力がかけられているんだろうなあと思い至ります。

 個人的には短編集としては久々のヒット作です。

 どこがどうものすごいというわけではないのですが、甘く、苦く、百合の妙味を楽しませてくれます。

 一般的にどこまでウケるものかわかりませんが、ぼくとしては大あたりの作品集なので、オススメです。面白いよ。

 次も百合漫画で、大沢やよい『2DK、Gペン、目覚まし時計』。

 この作品は百合漫画としてはめずらしいことに、第2巻が終わるところまで行っても具体的なカップリングがわかりません。

 だれとだれが結ばれるのかいまひとつはっきりしないのですね。

 なので、特に甘い描写などもありません。

 それではどこが読みどころかといえば、これ、ある種のお仕事漫画なのですね。

 仕事ができる女性である主人公が時として「意識高い系」と呼ばれる人々と遭遇したりしながら、日々、お仕事をこなしていくところに面白さがあります。

 一応百合ではあるなので、同居している女性との間にそういう雰囲気が流れたりもしますが、あまりラブラブな方向に進んだりするようには見えません。

 今後、どう展開するか、楽しみな一作ということができるでしょう。

 アサダニッキ『ナビカトリア』は、インターネットでだまされた挙句、色々あって日本一知名度が低い県とされる島根県に住むことになった東京在住のOLさんの話。

 アサダニッキさんのふわふわな絵柄と、シビアな現実との取り合わせがなかなかです。

 全3巻完結なのですが、ぼくは第1巻を読んだあとすぐ第2巻と第3巻を購入して読んでしまいました。恋愛漫画にはそういう力があるよね。

 便利な東京で暮らしていた女性がいかにして島根の田舎村に惹き寄せられていくかが読みどころです。

 文句なしのハッピーエンドなので、安心して読んで、本を置けます。

 次の