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飯田一史『ウェブ小説の衝撃』読了。
ここ数年、「小説家になろう」や『E★エブリスタ』から始まって無数の作品を世に出しているウェブ小説を特集した一冊。
ぼくは「ウェブ小説」ではなく「ネット小説」という表記を使いますが、内実は同じことです。
「インターネット上で発表された小説」のことですね。
昨今、「なろう」や「エブリスタ」から生まれた作品は数多くが出版され、商業的にも成功し、注目を集めています。
しかし、そうはいっても「しょせんウェブ小説」と見られる傾向はなくならないわけで、そういう意見に反論する本といってもいいでしょう。
で、その反論の内容がどうだったかというと――うーん、イマイチ?
いや、誤解してほしくはないのですが、この本の内容に特に問題があるというわけではないのです。
むしろ、全体が限りなく見通しづらいウェブ小説の世界をともかくも一覧したということで、画期的な意味のある本だと思う。
今後、ウェブ小説について語る人は、肯定するにせよ否定するにせよ、この本の内容を参照せざるをえなくなるはずです。
そういう意味ではなかなかエラい一冊といってもいいかと考えます。
しかし、やはりこの本だけだと片手落ちという印象は否めない。
この本で語られていることは、どこまでも「ウェブ小説ビジネス論」でしかないわけで、「ウェブ小説文化論」とでもいうべき本が必要だと感じます。
そうじゃないと、いくら「こんなに売れている」、「こんなにウケている」といわれたところで、もうひとつ納得できないのですね。
どんなに売れていても、ウケていても、くだらないものはくだらないとしか思えないわけですから。
セールスを絶対の尺度とするような見方は、インターネットではわりとメジャーになりましたが、ぼくはそういう尺度で物事を考えようとは思わないのです。
だから、この本のどこが悪いというわけではないのだけれど、「ビジネスではなく文化の側面からウェブ小説を熱く語った本が欲しいな」という思いは残ります。
ビジネスと文化。両方の側面がそろって初めて、「なるほど、ウェブ小説ってすごいんだな」と心から納得できるでしょう。
だれかそういう本を書きませんか。ものすごく大変だと思うけれど。
この本のなかで語られているものは、
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「最近、ウェブ小説が流行っているが、一部の人向けの、特定の傾向の作品ばかりが流行っていて多様性がない。けしからん」という構図に持って行きたがっていた記者に対して、ひとつひとつつぶしてゆくQ&Aだということを伏せて、対話のやりとりの一部だけ抜粋して、話を誘導するのは、フェアじゃないと思います。
海燕(著者)
べつに「「最近、ウェブ小説が流行っているが、一部の人向けの、特定の傾向の作品ばかりが流行っていて多様性がない。けしからん」という構図に持って行きたがっていた記者に対して、ひとつひとつつぶしてゆくQ&Aだということ」は、この話の論旨とは関係ないと思いますが、いかが。その記述があると結論が変わって来るでしょうか。