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再掲「イナズマイレブン」2010/09/10@シアターGロッソ
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再掲「イナズマイレブン」2010/09/10@シアターGロッソ

2016-10-20 04:12

    2010/09/11

    11:59 am

    昨日、「イナズマイレブン」を観て来た。
    とっても面白かった。
    観客の多くを占める大きなお姉さまたちも、きゃあきゃあ言いながら大騒ぎだった、
    無理もない、文句なく楽しくなるのだから。
    僕は、事前には関心がなかったのだけれど、
    出演者の長倉正明くんのマネージャーさんから声をかけられ、ニコミュ出演者を誘った。


    アニメミュージカルの新しい形があった。
    新しいというより、原点を観たというほうがぴったりする。
    観ているうちにどんどん心が少年になる、
    大人になる過程でいつの間にか消えて行ってしまった大切なもの、が、ふと気がつくと戻っていた。
    舞台に、手が拍手している、お尻が浮き上がるように反応し、体全体が感じている。
    かっこよさにではなく、そこにいる自分の少年時代に。

    出演者はみな素顔は別にして、イケメンではないキャラクターになりきっていた。
    誇張とデフォルメのアニメキャラを忠実にトレースした2.5次元が出来上がっていた。
    イケメンの俳優がデフォルメのキャラクターに出会い、
    演技の基本の、他人になることのうれしさ、他人になると自分ではできないことができる、
    その単純な喜びに浸っているように見えた。
    登場人物はみな生き生きと勝手に動き回っていた。
    どうカッコよく見せるかなんか関係なく隣の人間とじゃれあっていた。
    どこにでもいる中学生のように。
    だから舞台に普通の中学の部活風景が現出していた。
    誰にもあんな時代があっただろうし、その時代に持っていたであろう、きれいな心がそこにあった。
    だから、出演者のお芝居は演技レベルで言えばかなり低くても、
    演出家にももっと工夫してもらう必要があっても、観ていて興奮する。

    「聖闘士星矢」「姫ちゃんのリボン」「HUNTER×HUNTER」「テニミュ」「エア・ギア」「DEARBOYS」
    と続けて来た僕のアニメミュージカルの流れが、
    自分でも、一つの定番と言うか、テーゼになっているとは感じていた。
    そのテーゼにこの舞台を観てアンチテーゼがようやく出た、出るべくして出たという感がした。
    「テニミュ」が究極に洗練され、完成形に到達し、テーゼになったことは自分なりによくわかっていた。
    それはそれで喜ばしいことなのだけど、「テニミュ」があまりに美しいために、
    その後に続く今興行されるあらゆる舞台がそのテーゼの縮小再生産になり、
    テニミュと同じ美しさを追いかける結果になった。
    それは世の中がひと色に染まる結果になり、決して良いことではないと、感じていた。
    この現象に対し、アンチテーゼを自分の手で作り出したいと思い、
    そのひとつの現われを、「ニコミュ」で作ろうと思っているのだけど
    「ニコミュ」とは全く違うところに、「イナズマイレブン」はスタート地点を持っていた。
    そこはアンチテーゼではないかもしれない、もしかすると原点回帰かもしれない。
    でもそれはとっても新鮮で、アニメの舞台化の時に本来基本に持っていなければならないもの、
    一番大事にしていなければならないものであり、僕にそれをもう一度思い出させてくれた。
    それは、ピュアーなこころだ。

    アニメには人の心を純粋にさせるチカラがあると言うのが僕のアニメに対する考えだ。
    アニメのキャラクター、物語を作る人々は、
    みなこのアニメの持つ心の純粋化作用に心を洗われて仕事をしている。
    結果、出来上がったアニメはとても心の澄みきった状態の作品が出来上がる、
    だからどんなアニメも僕は好きだ、そこに奇麗な心があるから。

    「おでんの歌」と言うのがあり、アイドル3人組が白いブラウス、胸元にえんじ色のリボン、紺のハイソックス、
    チェックの箱ヒダのミニスカートを翻し、絶対領域をこれ見よがしに誇示しながら歌ってくれ、
    そこにも反応してしまっている自分がいて、
    その後に帝国中のどぎつい男3人組の「帝国おでん」がカーテンコールの付録にあり、
    それもとても面白かった。
    この歌を聞いていたら、ぼくが一生懸命アニメを作っていた頃の「キテレツ大百科」を思い出した。
    「コロッケ行進曲」「すいみん不足」「はじめてのチュウ」等の主題歌を作ったころのことだ。
    僕もこの「おでんのうた」を作った人たちとたぶん同じ気持ちを持っていたんだな、
    と何かうれしくなった。

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