本当に今更だけど、ディズニー映画「アナと雪の女王」である。今日はブルーレイ、DVDとかの発売日みたいで、再び盛り上がっている。その内容だけでなく、ヒットの仕方(YouTube等で歌ってみた動画がどんどんあがったり)も今の時代を感じさせて、気持ちがいい。要するに、好きである。映画館でも観たし、先日iTunesでも買った。エルサ役がイディナ・メンゼルなのも(RENTファンとして)燃える所だ。

主題歌「Let It Go」は、イントロで既に「ええがなー」と思わされる。一小節目(Fm/DbM7)はピアノのメロディーの半音移動で不安定(かつ美しく)に響かせ、二小節目(Eb/ Bbsus4→Bbm)ではメロディーが全音移動になって、マイナーコード(悲しい響きのコード)に帰結する。三小節目は一小節目とほぼ同じなんだけど、メロディーの上行と下行が交互になってるのが芸が細かい。行こか戻ろかという感じである。そして四小節(Eb/ Bbsus4→Bb)も二小節目とほぼ同じだけど、最後のコードをメジャーコード(明るい響き)にして、希望あるサビへの伏線になっている。

ピアノのアルペジオが半音(と全音)で行ったり来たりする細かな動きと、コード進行の解決が二小節ごとにマイナーとメジャーで交互に変わる大きな動きの、二段構えでヒロインの揺れる心を表現しているわけである(と思う)。シンプルだけど、効果的だ。※1

また、原曲と日本語の歌を聴き比べて、改めて「日本語もええなー」と思わされた。特にサビのラストは日本語の「少しも寒くないわ」の方がメロディーに合っていると思う。英語は「The cold never bothered me anyway」ざっくりカタカナで書くと「ザ(ルド)ヴァザ(ード)ミエニウェイ」で、「言葉多っ!」と思っちゃう。特にBotheredのB、「バッ!」っていう破裂音が違和感ある。なんか、強そうである。※2

あと大サビにあたる部分、映画だと氷の城がどんどん完成していく所なんだけど、日本語の歌詞だと「冷たく大地を包み込み→高く舞い上がる想い描いて→花咲く氷の結晶のように」という風に、文を終わらせずに次のフレーズに繋げられるので、高揚感をより演出出来ていると思う。聴いていて「ふんふん、それでそれで!?」となる。英語版は文がフレーズごとに終わっちゃうので、その効果は薄い。その代わりにMy power〜 My soul〜 と最初に似た主語を持ってくる事によって、畳み掛けるような効果を出してる。まあ、その代わりにというか、なんといっても英語がオリジナルなんだけど^^; オリジナルあっての、日本語版なんですけどね。

しかしこれまで吹き替えや和訳というと「んーやっぱ全然オリジナルの方がいい!」と思う事が多かったので、日本語のええとこもあるなーと思えた事が嬉しかった訳です。日本以外の事情は分からないけど、ローカライズがうまく行ってるのも、世界的なヒットの要因かと。みんな違ってみんな良いわけですな。

ちなみにご存知の方も多いと思いますが、アナと雪の女王の原題は「FROZEN」で、これも随分違う。レミーのおいしいレストラン(原題:Ratatouille)もかなりだったけど。 

さて、「Let It Go」というとまずLOUDNESSを連想する私Cu++は毎週水曜夜10時にお送りしているネット生放送「ビバ!モダンライフ」 今週の放送(7/16夜10時から)はニコ生ではなく、YouTube Live https://www.youtube.com/user/cuttube01
でお送りしてみます。観てね。では!



※1 常套句として、こういうコード進行の中でsus4をやられると、体が勝手にメジャーで解決するのを期待しちゃう。だから最初に聴いた時はマイナーで解決した時におや?と思った。ダイアトニック的にはマイナー解決の方が普通なんだけど。

※2 ちなみに「The cold never bothered me anyway」っていうのはbotherが過去形(または過去分詞形)になってるので、「The cold (has) never bothered me anyway」のhasが省略されてるみたいな、現在完了みたいな解釈でいいのかな? 直訳すると「どちらにせよ寒さはこれまで私を困らせた事などなかったのだから」みたいな事でいいのかな? 分かる人教えて!