Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマはUFCのマッチメイカー、ジョー・シルバの退任について! 獣神サンダーライガー、ジム・クロケットプロがUFCのマッチメイクに影響を与えていた!?




ジョー・シルバ勇退:ゲームセンターで働いていたオタクが、いかにしてMMAの歴史を変えたのか


UFCマッチメーカーのジョー・シルバ(50歳)が、今年末をメドにUFCを退職する意向を明らかにしたと、複数のメディアが報じている。


シルバは勤続21年、UFCで最古参社員であり、ズッファの前のオーナーであるSEG時代から在籍し続けている唯一の社員でもある。2001年からヘッド・マッチメーカーを務めている。


報道当初は時節柄もあり、新オーナーWME/IMGに対する不安や不満が退職のきっかけになっているのではないかとのウワサも流れたものの、実際には今回の会社売却に伴って、シルバを含む役員陣に高額の金銭が支払われたことから、もはや金銭面の不安がなくなったとして、これからは家族と過ごす時間を増やしたいと希望しての退職だということだ。金額は7桁(数百万ドル=数億円)とも伝えられる。


シルバはUFCではあくまで裏方に徹していたが、ほとんど全てのマッチメークに采配をふるい、会社の方向性に影響を与え、ホワイト、ロレンゾ・フェルティータとともにPPVのメインカードを決定していた。


マッチメーカーは、試合の取り組みを決定することが主たる業務であるが、実はそこは一番簡単なところで、いったん取り組みを決定しても、ケガや薬物検査失格、ビザの手続き遅れ、そのほかさまざまな理由で毎日のようにブッキングをやり直さないといけないという、エンドレスな作業だ。最近では海外選手も増え、文字通り24時間仕事になっている。

これをシルバは、ラスベガスのUFC本社ではなく、バージニア州リッチモンドの自宅から切り盛りしていた。大会数の増加に伴い、出張も増えた。シルバとアシスタントのショーン・シェルビーは、隔週交代で会場に出向くことにしていたという。さらに、選手の採用と解雇、選手との契約交渉もマッチメーカーの重要な仕事で、特に選手のリリースは気分が重くなる仕事だった。要するに仕事の大半は、強烈な個性の選手やマネージャーを相手に、自分の意思を押し通すことなのである。そしてシルバは、敏腕マネージャーたちがウンザリする豪腕で、自分がよしとするマッチメークを、もっとも低コストでやってのけていたのだ。