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試合前からの舌戦で刺激的なマッチアップとなった朝倉未来vs矢地祐介は、階級下の朝倉の完勝に終わったが、大沢ケンジは「ミクルのモチベーションは低いように見えた」と指摘。実際はどうだったのか?朝倉未来が1万字で語る――!! (聞き手/松下ミワ)
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――RIZIN.17はものスゴい大会になりましたね!
未来 ……あ、そうなんすか?
――えーっ! まさか出ていた本人に自覚ナシとは(笑)。いやもう、とんでもなく面白い大会でしたよ!
未来 ふーん……。まあ、俺の試合は歓声は多かったなと思いましたけど、自分の試合以外は何も見てないんで。じゃあ、大会全体が盛り上がったってことなんですね。
――なんと言うか、こう尻上がりに盛り上がっていってホントにサイコーでした。
未来 ああ、そういうことか。じゃあ、RIZINさんの試合順が成功したってことじゃないですか。
――それもこれも、メインイベンターが素晴らしかったからですよ!
未来 あ、俺?(笑)。
――もちろんです! 試合が終わって4日経ちましたけど、あらためて試合は振り返りました?
未来 まあ、何度かは。でも、あの煽りVは…ちょっとやりすぎですよね(笑)。
――まず、煽りVの話ですか(笑)。外野の立場からすると、あの煽りVには凄くヒリヒリさせてもらいましたが、ミクル選手自身はあんまり納得いってなかったんですよね?
未来 納得というか、KRAZY BEEへのディスりの部分なんですけど、あれは相手が俺の分析をしていたときに、俺がアウトサイダー出身だということを色目で見ていたことに対して言っただけであって。俺が唐突にディスったみたいになっちゃってるからなぁ。あの動画がアップされた次の日には、RIZINのスタッフに言いましたけどね(笑)。
――ああいう煽りも含めて、バチバチの空気感というのは精神面に何か影響はありました?
未来 精神面というか、俺は盛り上げるためのパフォーマンスという部分もあったんで。だけど、試合前日になると、もう戦うことは決まっているじゃないですか。だから、そんな直前まで煽る必要はないと思っていたんで、前々日のインタビューでも謙虚に答えていたんですけどね。でも、矢地(祐介)選手のほうは素で怒っていたというか。試合直前にも「完膚なきまでに~~!」とか言ってたんで、「ああ、本気でムカついてんだな」みたいな。
――一方のミクル選手は全然冷静だったんですね。
未来 ぜんぜん。穏やかな気持ちでした。
――今回、ミクル選手にとっては初の70キロということでしたが、実際戦ってみてどうでした?
未来 試合当日は、ぶっちゃけ73キロぐらいだったんですよ。でも、それって68キロ契約だった(ルイス・)グスタボ戦とまったく変わらないんですよね。
――じゃあ、ご自身としては通常運転で。
未来 相手と向かい合ったときに、やっぱり「デカいな」とは思いましたけど。でも、俺自身はとくに何も。
――そして、勝敗を分けたポイントは、やはりあのローキックだった、と。
未来 そう、膝下を蹴るカーフキックですね。それが矢地選手の一番の弱点だと思っていたし、やっぱり人間の身体の中で足って一番大事なんで。そこを崩せるとデカいなと思ってました。だから、もう2ラウンドぐらいで効いて終わると思っていたんですよ、俺は。
――試合前に「2ラウンドで終わらせる」と言ってましたもんね。
未来 ただ、相手が凄い待ちだったんで1ラウンドはなかなか蹴れなくて。「なんか狙ってるのかなあ」と思って最初は様子を見ていたのと、相手がローキックをキャッチするクセがあったんで、1ラウンドはそこを警戒していましたね。
――どっちかというと、1ラウンドは矢地選手のほうがローキックを出していた印象です。
未来 でも、あれはあんまり腰が入っていないというか、距離と俺の反応を測るローキックなんですよ。だから、まったく効いていなかったです。
――そのローの攻防もそうですが、今回とくに印象的だったのがミクル選手の試合中の視線で。ミクル選手って相手をじっと見ていて、絶対に視線を外さないですよね?
未来 俺は目をつぶらないんですよ。それは、もうずっと。もらってもいいと思ってるんで。
――打撃を打たれてもいいと?
未来 だって、見えていたらもらっても効かないと思ってるから。だから常に目は離さないですね。まあ、そこも俺と矢地選手のけっこう大きな差だと思いますよ。
――でも、目を離さないって、けっこう難しくないんですか?
未来 うーん、それね、よく言われますけど、俺は逆なんですよね。目をつぶるほうが怖いんで。よく考えたらそうじゃないですか? 危ない攻撃が来て、目をつぶっていたら何も見えないんですよ? そうじゃなくて、見ていたいですよね、俺は。
――しかも、その視線が相手へのプレッシャーになっているのかなとも思ったり。あんなに見られていると、なんかもうすべて見抜かれている気持ちになりそうです。
未来 だから、俺にはどの選手もあんまりガンガン来れないと思いますよ。逆にグスタボとかは特別でしたよね。グスタボと俺は、矢地選手ともう一つ上のスキルでやり合ったんで。
――もっと高度な打撃戦だった。
未来 今回、矢地選手の初動に対して、俺は細かなフェイントで返しているんですよ。そうやって相手が踏み込めない状況をつくっていたんですけど、グスタボはそこに入ってきて、次のボクの攻撃すらも交わしたりとか、もう一個レベルの高いところでやり合っていて。それにグスタボも目をつぶらないですからね。
――ああ、そうなんですね。
未来 あと、今回の試合で俺が一番に感じたのはスピードです。遅いなと思いました。普段、弟(朝倉海)とか、出稽古ではUFCフェザー級の堀江(圭功)選手とかと練習していて、フェザーやバンタムでもスピードの早い選手とやり合っているんですよね。そこに慣れちゃってるんで、相手の打撃は当たる気がしなかったです。
――それこそ全部見えてた、と。
未来 だから3つぐらいしかもらってないし、それも全部見えていたんで。まあ、見えてるぶん、俺は人生でKO負けは1回もしてないんでね。
――矢地選手のタックルに関してはどうだったんですか?
未来 まあ、純粋なタックルは普通に切れると思っていたんですけど、矢地選手は自分が攻撃を出して、俺にカウンターを出させたところにタックルに来るというのが2回あって。2ラウンド目は取られかけましたけど、まあなんかロープとかに引っかかっちゃいましたし。
――確かにロープがありましたよね。
未来 あれは故意にかけたんじゃなくて、空中でバランスを取ろうと思ったら、たまたまロープ際で手がかかっちゃっただけなんですけどね。それはまあ、申し訳ないなとは思いましたけど、でも俺は倒れない力以上に、立つ力が一番強いんですよ。だから倒されたとしても、たぶん3秒ぐらいで立ったと思いますね。
――となると、タックルもそこまで警戒していたわけではないんですね。
未来 怖くなかったです。というか、あの組みの攻防も、矢地選手だけがずっと力を使っていて、俺は全然力を使ってないんでね、もう全然。
――インターバル中にロープの件で口頭注意が入りましたが、あれで動揺することとかもなかったですか?
未来 ああ、まったく。「わざとじゃないんだけどなあ……」とか思いながら。だから、いいテイクダウンもありましたけど、もし倒れたとしても、たぶん俺のほうが対処が早かったと思います。矢地選手は倒れてから「あ、倒れた」という感じで次の攻撃に移っていく感じだったと思いますけど、そのときにはきっと俺は立ってますよ。
――そうなってくると、やはり2手先、3手先を考えていたミクル選手にとって、プランが狂ったところは一つもなかったんですかね。
未来 そうですね。だけど、俺は相手の弱点を突くのがうまくて。総合的に見たら俺よりも矢地選手のほうが優れている場所というのは多いと思うんですよ。でも、その矢地選手の弱点を全部俺がついていたので、こういう結果になったと思います。
――ちなみに、ミクル選手って試合前の相手の分析に何割ぐらい時間を割いているんですか?
未来 今回でいうと、それはもう7:3ですね。7が分析、3が練習。普段は6:4ぐらいですけど、今回はとくにケガをしていて、2週間ぐらいまったく練習してなかったんで。
――……え? ケガと言いますと?
未来 ああ、試合の1ヶ月くらい前にちょっと腿を痛めて全治3週間って言われて、それで今回はあまり練習できなかったですね。
――ちょ、ちょっと待ってください!
未来 だから、最新のPRP療法というやつを受けたりしたんですけど。ついでに、左足の小指も骨折しちゃってたんですよね。
・「たしかにモチベーションは低かったかもしれないですね」
・「朝の1時間だけ会員さんと練習していた」
・「フェザー級のトーナメントを作ってと言っている」
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彼は消費の早い世の中でどうやって、生きるか
見極めて行動してるよね。
普通に堀口が勝つと思ってたけど、このインタビューで番狂わせがあるかも知れないと考え直しました。
今回、誤字、誤文の量が多く気になりました。でも毎回大変楽しく読ませていただいてます!
日沖戦ではメリットがなくリスクしかない自分との試合を受けてくれたと感謝していたし、今回のインタビューでも自分を俯瞰して見る事ができる賢さがありますね。
それが分析力と試合での冷静さにつながっているのでしょう。
北米に立ち向かう事のできる数少ない人材なだけに、打ち上げ花火のライト級で消耗させるのはもったいないと思います。
アウトサイダー出身ということで誤解されているところがあるが、未来はホントに頭がいい。
アウトサイダーファンとしては海にも頑張ってほしいが、恭司にも負けてほしくない。
できればもう少しあとで見たかったなぁ。