女子の試合がメインイベントを飾ることが珍しくなくなった現在――多くの女子格闘家を輩出するAACC主宰の阿部裕幸さんにインタビューしてきました!(聞き手/松下ミワ)
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――浜崎選手のハム・ソヒ戦は、1度目は判定決着、2度目はハム・ソヒ選手の負傷によるタオル投入で浜崎選手のTKO勝ちとなっています。
阿部 それに、美憂とも古い付き合いで、息子のアーセンがまだ小学生のときにAACCに練習に連れてきたりもしていたんですよ。アーセンだけじゃなく、ノリ(山本KID徳郁)の子供も練習に来てたし。美憂がカナダにいるときに、自分の家族と一緒にカナダに遊びにいったりもしてましたね。
――この試合、阿部さんはどういう試合展開になると予想していますか?
阿部 まあ、ハムちゃんの打撃をかいくぐって、美憂がどういうふうにテイクダウンに行くか。逆に、ハムちゃんはどれだけ美憂のタックルを切って打撃で戦えるか。どっちが自分の型にはめてやりたいことをやり尽くすのか、そういう試合になるでしょうね。
――つまり、ハム・ソヒ選手の打撃か、美憂選手のタックルかということですね。でも、ハム選手もべつに寝技がイヤなわけじゃないですよね?
阿部 じゃないですね。全然できないわけじゃないですけど、凄く簡単に寝技で一本を獲れるわけでもないというか。
――美憂選手はテイクダウンできますかね?
――美憂選手の打撃もかなり迫力あります。実際、石岡沙織選手との試合ではワンパンで相手を吹っ飛ばしてましたし(笑)。
阿部 そうそうそう(笑)。美憂は打撃もうまいですよ。MMAの経験値はまだ少ないのに、あのポテンシャル。ただ、ハムちゃんのほうは蹴りがあるから、そこで打撃を散らされるとどうかなあと。その蹴りに美憂が対応できるかどうか、なおかつ怖がらずにその足を取ってテイクダウンにいけるかどうかですね。
――となると、やはり打撃戦かテイクダウンかという戦いになりますね。
阿部 そう思います。
――この試合の勝者が浜崎選手と戦う可能性は非常に大きいですが、阿部さんとしてはどういう展開になるのが理想ですか?
阿部 うーん、どうですかねえ。心情的には美憂が勝ち上がって大晦日に対戦……、まあそれもボクの中では複雑な心境なんですけど、日本が盛り上がるという意味では日本人対決というのがいいんじゃないかなあとは思いますけど。でも、ハムちゃんが勝ち上がってROAD FC vs RIZINのチャンピオン対決という構図もいいですけどねえ。
――浜崎選手本人は、美憂選手に対しては「本格的なレスラーとやったことがないからやってみたい」とお話されていて。ハム選手については「ハム選手もかなり成長しているから、3度目の対戦はどうなるかわからない」とおっしゃっていました。
阿部 朱加だって相当成長していますから。その中で、どれだけ自分が引き出しを持っているかだと思いますよ。
――どっちのほうが戦いにくいとかはありますか?
阿部 うーん、初めてじゃないぶんハムちゃんのほうが戦いやすいのかなあ。朱加はどうかわからないですけど、ボクはそう思いますかね。まあ、ハムちゃんがどれだけ強くなっているか。このあいだの試合を見るとかなり強くなっているから……やっぱり戦いやすくはないですね(苦笑)。
阿部 たしかに打撃の圧力はイヤですね。なおかつ、朱加はそんなにタックルで相手を倒すタイプじゃないですから。
――浜崎選手のバックボーンは柔道ですもんね。
阿部 そう。これが(浅倉)カンナだったら、ハムちゃんの打撃をかいくぐってタックルという試合運びができるんでしょうけど、朱加の場合はやっぱり組んで足技で投げるということになるので、ハムちゃんが圧力をかけてきたとして、なおかつ組まなかった場合、ずっと打撃に付き合わないといけないですもんね。
――浜崎選手はどこかで相手を捕まえて倒すしかない、と。
阿部 それを考えたら、美憂のほうがテイクダウンにきてくれそうですから。テイクダウンにきてもらったほうが寝技にはいきやすいので。前回のアム・ザ・ロケット戦もそうだけど、グラウンドになれば朱加はどの体勢からでも一本は狙いにいけるのでね。まあでも、やっぱり今回の一戦でどういう試合になるのか、それを見届けないとわからないことも多いですね。
――いずれにしても、ハム・ソヒvs山本美憂はどっちが勝ち上っても面白いということですね!
阿部 見応えはあると思います。
――そして、RIZIN.19ではAACCで練習を積んでいるRENA選手の復帰戦も行なわれます。
阿部 RENAはね、今回いい仕上がりですよ。
――おお!
阿部 彼女はマジメなんでね。一個「これをやる」となったら、それをやろうとしすぎちゃうんですよ。でも、今回は自分の強いものをちゃんと出せるようにという感じですね。というか、じつはニューヨークでもコンディションは凄くよかったんですよ。
――ベラトールでのリンジー・ヴァンザント戦は一本負けという結果になりましたが、状態はよかったんですね。
阿部 よすぎたぐらい。最初は打撃で攻めて、ボディも当てられたので「あ、これいけるんじゃないの?」と思ったのがダメでしたねえ。カンナ戦もそうだったけど、彼女の場合「いけんじゃないの?」というのは一番ダメなんですよ。
――それって、勝ち急いじゃうということんなんですか?
阿部 というか、常に緊張感を持って殺気立ってたほうがいいということです。かつての藤井(恵)ちゃんや朱加は、やっぱり殺気が最後までしっかりありますよ。
――たしかに、藤井さんの試合を見ると目があっただけで殺されそうです(笑)。RENA選手は記者会見「こんなに負けが込んだことないから、どうしていいかわからなかった」と言われてましたよね。
阿部 まあ、いろんなタイプがいるからね。RENAは自分の楽しいこともやりつつ、しっかり格闘技もやるという、オン・オフをつけないと逆に集中できないタイプですよね。だから試合前の集中力はやっぱり凄いですよ。それに対して、朱加とかはやっぱりアスリートで、強くなりたいから日々トレーニングをするという。
――それぞれ違うんですね。
阿部 だけど、RENAもだいぶ切り替えられるようになって。前は負けると「ああ、もう私ダメかも……」という弱い気持ちが出てましたけど、そうじゃないんだと。まあ、勝っても負けても次があるんだからとね。
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