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プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回のテーマはWWEのコーチに就任したケンドー・カシンです。
――小佐野さん!本題に入る前に今年のG1クライマックスは何大会くらい観戦されたんですか?
――ワールドワイドなイベントになっちゃいましたね(笑)。
小佐野 G1の結果だけしか確認してないと星取表はどの選手も似たような点数だから、いろいろと言いたがる人も出てくると思うんだけど、みんな凄い試合をやってるんだよね。シングルマッチの連戦が続くわけでしょ。よくまあこんなに過酷なシリーズを乗り越えたよなあって。
――どの試合も配信もされて注目度が高いですからヘタな試合はできないですよね。
小佐野 いまの新日本で手なんか抜いたら、あっという間に置いていかれちゃうからね。今回初優勝し
た飯伏(幸太)なんて開幕戦で足をやっちゃってるし、オスプレイだって2戦目のあとに首に痺れがきちゃって途中欠場の可能性もあったけど、それでも最後まで完走したからね。
――心・体・技が整ったプロレスラーじゃないとG1は乗り切れないってことですね。
小佐野 大変だと思うよ。いまのG1のイメージって、全日本の四天王プロレス時代のチャンピオンカーニバルに近いのかな。三沢光晴、川田利明、小橋健太、田上明だけじゃなくて、スタン・ハンセンやスティーブ・ウイリアムスの外国人レスラーたちも充実していて。あのときもみんなヒーヒー言いながら戦っていたよね。
――いまの新日本は四天王プロレスとはスタイルは異なりますけど、ハイレベルなことをやってますもんね。KENTAも日本マット復帰後がこんな過酷なシリーズを乗り切って。
小佐野 しばらく休んでいたわけだからね。本当によく乗り切ったと思う。あといまの新日本の何が強いって選手層が厚すぎることだよ。今回G1不出場だった鈴木みのるは4試合目くらいに出ていたし、G1の最終日なんて40人以上も試合に出てるわけだから。他の団体はちょっと太刀打ちできないよ。
――G1が終わったと思ったらJ-CUPがアメリカで開催されて。
小佐野 その次はイギリスでオカダ・カズチカvs鈴木みのるのIWGP タイトルマッチがあるでしょう。鈴木みのるはイギリスでもチャンピオン(RPWブリティッシュ・ヘビー級&タッグ王座)だったけど、日本でやっている流れをそのままイギリスに持っていくわけだから。あくまで日本がベースだけど、いまの新日本はどこの国でやるかはそこまで重要じゃなくなってるのかもしれないよね。
――それにどの団体の流れも早いから情報量が多すぎて追いつかないですよね。
小佐野 だから行ける会場はなるべく行くようにしてるんだけど、ちょっと見逃すとわかんなくなっちゃうから。いまは本当に団体が多いからねぇ。すべての団体をフォローできているマスコミはいないよね、たぶん。
――どの団体も扱う媒体はあるんでしょうけど、個人は難しいでしょうねぇ。
小佐野 それは私が週刊誌をやっていた時代からそうなんだけどね。『週刊ゴング』が創刊した84年のときに全日本プロレス担当記者になったけど、行けるときは新日本の会場には顔を出して。 でも、当時は新日本と全日本の2団体時代だからできた話なんだけどね。
――90年代に入っちゃうと多団体時代に突入しちゃいますもんね。
小佐野 いまなんてスポーツ新聞のプロレス担当記者が新しく来ると戸惑ってるもんね。いろんな団体があってどれも違うから(笑)。
――プロレス大賞から漏れちゃうケースも出てくるわけですね。
小佐野 今年はドラゴンゲートをちゃんと見てるようにはしてるんだけどね。解説の仕事をやっている全日本でさえ流れが早いからけっこう大変。地方でタイトルマッチをやること多いから、どこで防衛戦をやったとか詳細を把握するのはあたりまえとして、先日ボディガーがベルトを巻いて入場してきたんですよ。何日か前に大日本プロレスの大阪大会でBJWタッグ王座を獲ったんだけど、アナウンサーに聞かれて答えに詰まっちゃったもんね。「……これなんのベルトだっけ?」って。
――他団体の動きも押さえなきゃいけないと(笑)。
小佐野 全日本の選手は他団体に出ることが多いし、逆に他団体選手が参戦することも多いでしょ。この前も全日本のジュニアタッグリーグにドラゲーのヨースケ♡サンタマリアが参戦したときはマリアの技をとにかく覚えなきゃならないと。 たとえば鉄柱越しの場外プランチャーは「上からマリア」なんですよ(笑)。
――全女中継でアナウンサーの志生野(温夫)さんがどんな技でも「投げたー!」とか一括して実況してましたけど、そんなわけにはいかないと(笑)。
小佐野 いろいろと勉強になりますね(笑)。
――さて、今月のテーマはWWEパフォーマンスセンターのコーチに電撃就任したケンドー・カシン(石澤常光)です。
――自由気ままにプロレス界を泳いでますよね(笑)。
小佐野 私が彼に初めて会ったのは新日本プロレス入団記者会見。その頃の『週刊ゴング』の新日本担当はGK金沢くんだったんだけど、たしか金沢くんが他の取材で行けなくて、私がピンチヒッターだったんですよ。
――石澤常光は新日本のレスリング部門・闘魂クラブ所属だったんですよね。
小佐野 彼は闘魂クラブの第1号だからね。馳浩はイッシーが欲しくて闘魂クラブを作ったんだから。
イッシーはレスリングでオリンピックを目指していて、その時点ではまだプロレスラーになるつもりはなかったけど、新日本の社員として働きながらオリンピックを目指すと。そのあとに中西学も闘魂クラブに入ってきてね。
――犬猿の仲の2人ですね(笑)。この関係もどこまで本当に仲が悪いのかが伝わりづらくって。
小佐野 本当にダメなんだよ。本当に関係は悪い。
――仲のいい時期もあったんですか?
小佐野 ない。
――断言!(笑)。
小佐野 以前永田裕志、中西学、藤田和之と「チームJAPAN」というユニットを結成したででしょ。あのときは大人の姿勢でやっていたけど、基本的にはダメだね。
小佐野 ハハハハハハハ。ちょうどいまから1年前に天龍さんとカシンのトークショーの司会をやったんだけど。天龍プロジェクトの紋奈代表が大のカシンファンだったこともあって組まれた企画でね。2人が控室で「新日本時代最後に会ったのはいつか」という話をしていて。天龍さんが「あのとき中西がいて……」と言ったら「じゃあボクはいませんね!」って食い気味にキッパリと否定していたね(笑)。
――あの中西学と一緒にいるわけがないと(笑)。
小佐野 もともとカシンのほうが一方的に中西を嫌っていて。人間って嫌われれば嫌いになるから中西もイヤになったんだろうね。
――ネタなのか本気なのかわかりづらいどころってありますよね。
小佐野 ケンドー・カシンという摩訶不思議なマスクマンのキャラクターと、素顔の石澤常光の頑固さがないまぜになってるから、いろいろと伝わりづらいんだろうね。若手の頃も素直な人だったけど、頑固なところもあって。海外修行に行くことが決まったときかな。「よかったね。帰ってきたらメインイベントだね」と軽く言ったら「いや、ボクは第1試合に誇りを持ってますから」と。固く言ってきたわけじゃないけんだけどね。
――もともとプロレスファンだったんですよね。
小佐野 ルチャリブレが好きだったり、昔の『ゴング』も読んでいたり。2016年10月の大仁田厚の引退試合の対戦相手だったでしょ。そのときに着てきたオリジナル Tシャツの表は『ゴング』の表紙、裏は『ゴング』の記事というやつで。
――カシンはいろんなネタTシャツを作ってきますよね(笑)。
小佐野 私はそのとき解説だったんだけど、しゃべる時間がなかったから言わなかったんだけど、永田裕志が子供の頃に「大仁田厚、頑張れ!」というハガキをゴングメイトに送ったその記事がTシャツの裏にプリントアウトされてる。表紙はそのときの『ゴング』なんですよ(笑)。
――マニアックすぎますよ!(笑)。
小佐野 そんなの『ゴング』を編集している人間にしか気がつかないんだけどね。永田は「それだけは言わないでくれ」というのにわざわざTシャツにしてくる(笑)。
――相手が嫌がる過去を引っ張り出してきますよね。