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アメリカに乗り込みランカーを撃破! 4月2日ベラトール255で女子フライ級ランキング4位のアレハンドラ・ララから判定勝ちを収めた 渡辺華奈インタビュー!(聞き手/松下ミワ)
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――ベラトールから帰国後の2週間自宅待機、お疲れさまでした!
渡辺 いやあ、大変でした(しみじみと)。もう、この2週間はヒマでヒマで。
――ご自宅ではどう過ごしていたんですか?
渡辺 いろんな健康グッズを買って、ずっとそれをやってました。主婦の方がダイエット目的でやるようなステッパーを買ったり、あとは家でトレーニングできるチューブみたいなのも買ったり。食事はUber Eatsで頼みまくって。
――それはシンドイですねえ。
渡辺 もうね、永遠とステッパーとの格闘ですよ!
――ハハハハハ! それでも筋力は落ちちゃいますか。
渡辺 落ちますねえ。だから自粛期間が明けてからすぐにトレーニングを開始しようと思ったんですけど、試合が終わってからちょこちょこケガもありまして。
――あらら。
渡辺 まず、試合で鼻が折れちゃって。ちっちゃい骨なんですけどね。自粛明けて練習再開したときに、鼻にちょっと打撃が当たっただけで鼻血がめっちゃ出ちゃったんですよ。だから、ちょっと休もうと思って。そして、また練習再開したら今度は肋軟骨をやっちゃって。だから、試合が終わってまだ本格的に練習に戻れてない感じです。
――それだけ満身創痍だったんですね。今回、MMAでは初の海外試合でしたが、やはり大変なことは多かったですか?
渡辺 そうですね。でも、やっぱり一番はコロナですよね。ホテルに着いてから2日間ぐらいは部屋からも出たらダメで。試合の5日前に現地入りしたんですけど、到着した翌日の朝にPCR検査して、その検査が大丈夫だったらその翌日の午後からは部屋を出てもいいという。ただ、試合もホテルの中の会場で行われたので、ホテルからは一歩も出てないです。なので、いつもより減量が大変でした。
――減量も全部ホテル内でやるわけですもんね。
渡辺 しかも、部屋に湯船がなかったんですよ。その代わりなのか、一人ひとりにポータブルサウナみたいなのは支給されたんですけども。
――それ、渡辺選手のツイッターで見ました! 顔だけ出せるテントみたいなものですよね?
渡辺 それでなんとか頑張ったって感じです。一応、有酸素運動エリアもあったんですけど、会場のアップルーム自体がけっこう寒かったので汗出しには不向きで。いつもはホテルの部屋とかジムの暖房をガンガンにしてバッと動いたり、半身浴したりして汗を出したりするんですけど。
――いつもと勝手が違う、と。
渡辺 あとは、隔離や移動で3日間ぐらい身体を動かせてなかったのもキツかったです。部屋の中でサーキットトレーニングをやっていたんですけど、へんに身体が疲れちゃって。いつもはなんともないようなサーキットで足が張っちゃって、かなりの筋肉痛になったり。だから、やっぱり日本でやるときよりはコンディションに負担はあったと思います。
――時差ボケはなかったんですか?
渡辺 1日目はめっちゃ早く起きたりはしたんですけど、試合に影響があるほどではないですね。
――そこは、柔道時代にたくさん海外試合を経験したのは大きいんですかね。
渡辺 だから、いろいろ大変でしたけど「なるようになるさ!」みたいな。出発前も「ま、日本食だけ持って行こう」という感じで、あとは適当に過ごそうという感じでした。
――あと、事前に上田(貴央・FIGHTER'S FLOW主宰)さんがクラファンやったりして、軍資金という部分でもけっこう大変そうでした。
渡辺 コロナの隔離期間があるので、上田さんも最低でも3週間はジムを休まないといけなかったんです。それに、本当はセコンドは2~3人連れて行ってよかったんですけど、金額的な部分でセコンドは上田さんだけで。だから、ほかの選手はだいたい2~3人ついてました。
――その部分でもギリギリの調整だった。
渡辺 でも、現地に行くと向こうのスタッフさんでちょっと日本語をしゃべれる方がいたので、その方に通訳していただいて、あんまりストレスはなかったですね。ルールミーティングというか、一応日本と同じようにレフェリーが控室に来てルールの説明をするんですけど、けっこうそれもわかりやすくて。2人とも英語できないので助かりました(苦笑)。
――それはよかったです!
渡辺 ルールは、ブレイクのタイミングだけちょっと気になっていたんですけど、そこもわかりやすく教えていただいて。まあでも「ユニファイドルールだから大丈夫か」と。RIZINルールだと4点ヒザとサッカーボールキックがOKですけど、ベラトールでは反則になるのでそれだけ注意しようという感じでした。
――今回の試合は、ベラトール女子フライ級のランカーであるアレハンドラ・ララ選手との対戦でしたが、もともとどういう作戦だったんですか?
渡辺 まず、相手のリーチが長いので、しっかり距離を詰めていこうと思っていました。とくに、サウスポーの相手だったので、相手の遠い位置に回りながら距離を詰めて、最終的には組みで勝負という感じですかね。あとは、前半は相手がガンガン攻めてくると思ったので、そこで無理にいかずに凌いで削って後半で勝負しようかなと思ってました。
――そう聞くと、かなり作戦どおりだったんですね。試合後に「練習したことがぜんぜん出せなかった」とつぶやいていましたが。
渡辺 あれは打撃のことですねえ。もっとしっかりと打撃をやろうと思ってたんですけど……。試合前のアップだと調子がよかったんですけど、やっぱりひさしぶりの試合というのもあって面食らった部分がありました。
――それは、試合勘がつかめなかったという?
渡辺 試合勘というか、距離感ですね。やっぱり、試合の距離感と練習の距離感はぜんぜん違うし。練習だとあんまりお互いに思いっきりは打てないし距離が近くなりがちなんですけど、試合だと打撃がおもいっきり当たるので、練習ほど近い距離にはできなくて。
――1ラウンドにララ選手の打撃が冴えわたっていたのは、距離感がつかめないうちに向こうがどんどん来ちゃったということなんですね。
渡辺 それもあります。序盤はちょっと対応できなかったですね。
――相手の打撃は効きました?
渡辺 いや、意識が飛ぶほど効いたという感じじゃなく、面食らったという感じでした。本当にひさびさの試合だったので「あ、これ試合だ!」みたいな(苦笑)。
――いや試合ですよ!(笑)。
渡辺 身体は強いなと思いましたけど、力がヤバいという感じでもなかったですし。ただ、マットがちょっと……。試合のマットって、私の足と相性が悪いだけかもしれないんですけど、ちょっと滑るんですよねえ。私、超乾燥肌なんで。
――それは、踏ん張りが効かないという?
渡辺 まあ、やっていくうちに大丈夫だったんですけど、出だしはそういう感じでした。
――ベラトールだったからですかね?
渡辺 いや、リングでもケージでもどこでもです。試合だと、だいたいマットが布製なんですよ。でも練習だとビニールみたいな素材なので感覚が違うというか。そこもひさしぶりだったので「あ、滑るな」と。
――それ、試合ではけっこう重要ですよね。
渡辺 でも、私だけの問題かもしれないです。普通に試合をすると、乾燥肌なので足の裏が切れまくるんですよ。
――それは地味にイヤです!
渡辺 試合中にそうなるとめっちゃ痛いんで、「今回こそは」と練習でも予防のためにテーピングを巻いたりして、試合前に一生懸命ケアしていたんですけど。でも、現地に入って水抜きしたら肌がカピカピになったので、結局切れたまま試合になりました(苦笑)。
――うわー……。
渡辺 「あんなにケアを頑張ったのに! そこだけは気をつけていたのに!」と。結局意味がなかった……。
――そういう部分も、滑り出しがウマくいかなかった要因なんですかね。
渡辺 というか、試合のスタートっていつもそうなんですよ(苦笑)。いつも、1ラウンド目から行こうとは思っているんですけど、いつもいつも徐々に尻上がりの試合になってしまうという。
――たしかに、2ラウンド以降は渡辺選手の時間が長かったです。
渡辺 グラウンドの展開になって、やっと落ち着いたというか。1ラウンドでは打撃と寝技のスクランブルの展開もあって、相手もどんどん疲れてきてて。2ラウンド目はその疲れがけっこう顕著だったし、3ラウンド目に入るともっと疲れてたんでね。私、インターバル中にけっこう相手のことを見ちゃうんですけど、そこでもわかりました。
――でも、渡辺選手も同じぐらい疲れますよね?
渡辺 疲れはするんですけど、私は疲れた状態から変わらないというか。疲れた状態で動ける、キツいけど我慢してしっかり動くというのができるんで。
――後半が強いというのは、そういう強みがあるからなんですね。
渡辺 逆に、日本の選手のほうがスタミナはあると思いますよ。爆発力は外国人のほうがあると思いますけど、日本人のほうが粘り強い。2019年の年末のベラトール日本大会でイララ・ジョアニ選手と戦ったときも、前半の爆発力が凄かったですし。
――というか、あの試合も今回と似たような試合展開でした。
渡辺 だから、最初からしっかり行くようにしなきゃダメなんだけど、いつもそれが課題ですねえ……(ガックリ)。
――勝ったのに、そんな落ち込まないでください!
渡辺 でも、本当に課題だらけです。終わったときは素直には喜び切れない部分はありました。
――判定になったとき、どう思いました?
渡辺 ああ、いつも判定になると「負けたかな」と思うんで。
――そうなんですか(笑)。
渡辺 だから、判定になるといつもセコンドに聞くんです。今回も判定が出る前セコンドに聞いたら、「2-1で勝つと思うよ」と言ってましたけどね。でも、最初は向こうにポイントが入ってたので「負けるかな……」と。コールのタイミングも、日本とは違うじゃないですか。しかも英語なので、よーく耳を澄ませながら聞いてました。
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