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北米MMAを知り尽くした男・水垣偉弥が語る井上直樹はなぜ失速したのか■水垣偉弥(この記事はニコ生配信されたインタビューを構成したものです)
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――水垣さん、あけましておめでとうございます!
水垣 あけましておめでとうございます!
――今年もよろしくお願いいたします! 大晦日に井上直樹選手が負けてしまったので、セコンドの水垣さんにとって悔しい年明けになりますけど……。
水垣 いやあ、ホントですよ。 自分が負けたわけじゃないんですけど、吹っ切れなくて年越せてないんすけど(苦笑)。
――負けた試合を振り返るのは申し訳ないですけども、井上直樹選手が扇久保博正選手に判定負けを喫しました。試合自体の率直な感想はいかがでしょうか?
水垣 コーナーで見てて今回けっこう行くなと思ったんですよね。 ちょっと様子を見るのかなって思ったんですけど。前、前、前と攻めてたので。ステップを使って落ちついて攻めたほうがいいとは伝えてはいたんですけど。大晦日から会ってないので、明後日ぐらいに反省会をする予定なので、どういう考えだったのかはわからないですが、なんとなく見てた感じだと、2試合とも圧倒して勝ってやろう!っていう気持ちがあったと思うんですよね。そこが強く出すぎて。
――前のめりになってしまったと。
水垣 それでどんどん失速して。 これはちょっとニュースになってるかわかんないんですけど、2ラウンド目に帰ってきたときに「 薬指が外れました」と。
――あ、そんなことが。
水垣 「いま外れてんの?」って聞いたら「いや、いま帰ってくるとき入れ直しました」と。スタミナをちょっと消耗したプラス、そのトラブルで一気にガクッと落ちましたね。本人にもあそこからキツくなったと言ってたので、 そのへんが噛み合わさってパフォーマンスが落ちましたね。
――今日、扇久保博正選手を取材してきたんですが、1ラウンドからフルパワーで攻めてきたんで絶対に落ちるんじゃないかなと思っていたと。
水垣 ああ、やっぱそうですよねぇ。ボクも見てて、けっこう力を使ってるなって。1ラウンドの内容としては完璧だったと思うんですけど、体力的な部分で大丈夫かなって。とくにあのタックルの切り方がけっこう力任せにやってるなって印象があったんですよ。 それでマウントまで取れたんで結果としてオッケーなんですけど。わりと荒かったので、 向こうも「けっこう力を使ってるな」と受け止めたんですかね。
―― 1ラウンドと2ラウンドで足のクラッチが全然違ったと感じたらしいですね。
水垣 あー、そう思わせちゃうと厳しいですよね。 スタンドでごまかそうとしても、相手に「組めばなんとかなる」と思わせちゃうと、休むタイミングも失ってしまうので。
――扇久保選手は後半もう打撃をもらってもいいから詰めて組んできましたね。
水垣 力がないってことは疲れてる。疲れてるなら打撃を多少もらっても大丈夫だろうと組みやすくなってく。 扇久保選手は組めばなんとかなるってなっちゃったんですよね。
――フルパワーで攻めるなら仕留めなきゃいけないし、そこが千載一遇のチャンスかも知れないですし、勝負どころの判断が難しいですねぇ。
水垣 1ラウンド終わったときに「行きすぎだ、やめろ」と止めても通じないので。言葉を変えて「バックステップを忘れてるよ」という感じのアドバイスは送ったんです。
――止めても通じない! 寡黙だけどもホント頑固というか負けず嫌い。
水垣 そうなんですよ。1年半ぐらい一緒にやってきてわかったのは、負けず嫌いがすごいっすね。
――それがいいところでもあり、今回ちょっと裏目に出てしまった。
水垣 強気ですね、やっぱり。本人の中に前回の金太郎戦が判定になったことで相当、納得いってなかったみたいで。
――ああ、なるほど!
水垣 今回2つともスカッと勝ってやろうっていう気持ちがあったんじゃないですかね。ボクとしては前回厳しい試合に勝ったことがすごく大きな財産になって。勝てば 2連戦という厳しい戦いに良い意味で繋がるかなと思ったんですけど、ボクの思考とちょっと違う部分があるので。 本人はあの判定勝ちがめちゃくちゃ悔しかったんでしょうね。
――それが1ラウンド目に出てしまった。ファイターって前の試合の 結果内容を修正して臨むから絶対に引きずるものなんでしょうね。
水垣 それはそうですね。それを本人がどう捉えるかってとこだと思うんですけど。今回はそこをコントロールするのはボクの役割だったと思うんです。気持ちいいかたちにさせて試合に臨ませられなかったのは自分としての心残りです。「あー、俺の仕事だったな」っていうふうに正直思ってるんですよね。
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