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RIZIN TRIGGERで破壊的な勝利を魅せた
倉本一真インタビュー。レスリングアスリートはやっぱりすごい、そして面白い!!(聞き手/ジャン斎藤)


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“修斗伝承者”中村倫也 日本格闘技界の歴史と未来を背負う男




倉本
 そんなに面白いことは言えないんですよ。MMAの世界のこともよく知らなくて……。

――
業界のことを知らない選手のほうが面白かったりします! 倉本選手といえばレスリングのグレコローマンでは全日本選手権を制した実力者で、豪快な投げが注目されてますが、今成正和選手のグラップリングイベントIREの寒河江寿泰戦もヤバかったですね。ルールで認められた掌底で相手がボッコボコにされるという……。

倉本
 ボク的には掌底ありだったら、ああいうことになると思ってて。実際にそのとおりになった感じですね。

――
掌底ありだったら、こんな凄惨なことになると。

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https://www.youtube.com/watch?v=3mgjy3CiV7U

倉本
 はい。掌底だとオープンフィンガーグローブより硬いので、絶対にエグいことなると思ってて。しかも相手の方はグラップラーで打撃とかやってない人なんで。オファーがあったときに主催者には「けっこうヤバいっすよ」と言ったんですけど。

――「大変なことになりますよ」と。

倉本
 「このルールでホントにいいんですよね?」って。ルール説明で足の裏以外がマットについてれば掌底がオッケーだと聞いて、これはほぼMMAでやれることはわかってたんで。寝技が得意な人とグラウンドでそこまでやり合う必要もないなと思って。

――
ケージに押し込んでから片ヒザの状態で掌底を打ち込んで。グラウンドでも強烈な掌底が何度も……。

倉本
 コンバット柔術の掌底は真っ直ぐ突き落としてはダメって聞いたんですけど、IREの場合はそれもオッケーだったんで。イコールほぼMMAなんで、ホントに危ないですよね。

――
パウンドの要領で打てるわけですもんね。

倉本
 相手は完全なグラップラーだし、しかもグラップリングの試合だったんで、そんな打撃が来るとは思わないじゃないですか。練習でもペタペタと打つくらいだと思うので、こっちも「大丈夫かな」と思いながらで。相手もちょっと知り合いというか、練習させてもらったことあったんで、試合後ちょっとしゃべったんですけど。寝てるところではあると思ったみたいですが、あの状態(スタンド)でやってくるとは思ってなかったみたいで。あれはボクがルールをうまく利用したというか、抜け穴があった感じですね。

――ご存じかどうかわからないですけど、掌底は骨法という格闘技の代名詞だったんです。

倉本
 ああ、試合後に聞きました。そういう格闘技があったと。

――
マニア的には掌底幻想復活に喜ぶ試合でもあったんです(笑)。

倉本
 昔のパンクラスも掌底だったって聞いたんですけど

――
そうですね。でも、同じ団体の仲間なので、あそこまでエグいのはなかなか……。IREからオファーがあったら出ますか?

倉本
 ボクはMMAファイターなんで、そこまでIREにこだわらないですけど。相手がやりたくないとは思いますよね。

――
ルール改正しそうですね(笑)。ヒザ付きでも掌底はダメとか。

倉本
 それはありそうですね(笑)。

――
RIZINでも掌底は出してましたね。

倉本
 至近距離からパンチをコツコツやるんだったら掌底のほうが痛いですよね。こっちのほうが効くと思います。

――
掌底ってみんなできるもんですか。

倉本
 いや、誰がやってもできるんじゃないですか。ただ、やる必要に迫られてないので。結果的にこの歳で新たな武器に加わったのは大きいですね。得意技になりました(笑)。ボクもまだそんなにMMA歴があるわけじゃないので。

――
RIZINの加藤戦も拷問みたいな試合でしたけど、それでも「もの足りなかった」という試合後のコメントにビックリしたんですよ。いったい何がもの足りなかったのかと(笑)。

倉本
 やっぱり投げですよね。求められてるので投げないといけないなって思ってたんですけど。

――
ジャーマン8連発で戦闘不能に追い込んだ修斗の根津優太戦は衝撃的でした。今回はサイドポジションから持ち上げて叩きつけましたけど。

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倉本
 あれ、けっこう練習でもやるんですよ。あの体勢で膠着することがありますし、とくに壁についたときは引っ張り剥がすのは難しいので、ボクはよく持ち上げるんです。足を引っ張ってズルズルやるのは難しいんですけど、投げるのは簡単なので。

――
投げて体勢を整えるわけですね。

倉本
 今回のは落とし方がしょうもなかったんで、イマイチでしたけど(笑)。もっともっともっと投げればよかったなって。じつは今回ボクの契約最後の試合だったので、いい試合をしないとダメだなって。

――
契約更新するのは勝つのはもちろんのこと、インパクトが重要だと。

倉本
 そうですね。RIZINでは投げられてないので、面白い試合をしないといけないって。今回ばかりはホントに投げなきゃと思ってたんですけど。でも、組んだら相手が一瞬で寝に行ったんですよ。スタンドで組み合うことはなく、そのまま寝られたら、もう投げられない。それはそれでパウンドも打てるからいいんですけど。サイドから持ち上げるしかなくなって。RIZINでは本気で投げに行こうとしたことないっすね。

――
RIZINでは中原太陽戦、アラン“ヒロ”ヤマニハ戦の2試合やってますね。

倉本
 中原太陽さんのときは普通に打撃で勝ちましたし、ヒロのときはちょっと拳をケガしてたんで、戦術的に投げる必要がなくて。スタンドの打撃で倒そうと思ってたんですけど、ボクが思ってる以上にヒロのスタンドがうまかったです。そこでいろいろと誤算が生まれて……。

――投げられるシチュエーションがRIZINではまだないってことですね。

倉本
 そうですね。だから今回こそは……と思ったんですけど。普通に勝ったところで、最初のRIZINではテレビにも映らなかったし。

――
中原太陽戦ですごい勝ち方をしたけど、地上波オンエアされなかったのでショックだったそうで。

倉本
 そうですね(苦笑)。あんなサッカーボールキックとか派手な勝ち方したのに、なんでかなって。

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――
オリンピック金メダリストの奥さん(登坂絵莉)も来てるのに。

倉本
 「連れて来て」って言われたから来たんですけど、まあまあ、仕方ない。それはボクがもっと頑張ればいいのかなって。

――
マネジメントのシュウ・ヒラタさんからも「なんで映らなかったんですかね?」って聞かれたんですけど、大晦日って生中継+撮って出しだから、編集上の都合も大きいんだと思いました。

倉本 いろいろ事情があるみたいですね。

――
契約最終試合や、そういったこともあってインパクトを残すために投げたいと。

倉本
 投げが全部が効くわけじゃないんですけどね。

――
効く投げと効かない投げがあるんですね。

倉本
 あんまり細かいことは言えないですけど、頭から落とせば効くわけじゃないですよね。ジャーマンとか後頭部が落ちるんですけど、その一発で失神するかといったら、そういうわけじゃなくて。しかもジャーマンってけっこうスローじゃないですか。自分から投げようもんなら、もっとスローになります。相手が立ってくるところを利用して投げるとけっこう早いんですけど。相手も投げられることはわかってますし、ある程度、受ける準備はしますから。

――
投げようとして投げるものはそんなに効かないと。

倉本
 受ける準備もできてない状態で投げられるのが一番危ないので、やっぱり「ここから投げるか!?」っていう投げが一番効くっすね。

――
キレイじゃないほうが効いたりしますか?

倉本
 キレイでもちゃんと落とせば効くんですけど、キレイ・汚いだけじゃないというか。相手が「あっ!?」って気づいたら投げられると効きますね。やっぱりパンチも見えないパンチが効くじゃないですか。

――
カウンターってことですね

倉本
  全然見えてない状態でバンって殴られたら効くのと一緒で。投げもやっぱり気づいたら頭から落ちてると効くみたいな。ジャーマンも見た目はいいんですけど、練習で相手を気遣って落とした投げで逆に失神したり。

――
気遣ったのに?

倉本
 ジャーマンなんてあんまり練習でやるような技じゃないんで。気遣って投げると、そういうときに限って相手が……。そのおかげで「これは使えるな」とわかる。練習でそういう危ない投げができあがっていくのは楽しいです(笑)。

――
おそろしい実験ですね(笑)。

倉本
 そういうつもりやってるんじゃないのにって。

――
いままで一番危険な投げってなんですか?

倉本
 ありますけど……言えないです(笑)。企業秘密です。

――
怖いですよ!

倉本
 まだ試合で出してないんで。

――
なるほど。対策されると困るわけですね。

【近くにいたリバーサルジム新宿Me,Weの山﨑剛代表】

山﨑 ホント危ないですよ。ウチの選手でも軽く投げられたけど、意識を失った選手がいるんですよ。

倉本
 ハハハハハ。やっぱり投げは怖いっすよ、危ないっすよ。大ケガする可能性もあります。

――大晦日の祖根寿麻選手は、太田忍選手の投げて首をやっちゃったみたいですね。

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