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大会後恒例の笹原圭一RIZIN広報インタビューです! 今回は福岡、名古屋、そして大晦日の対抗戦について!(聞き手/ジャン斉藤)
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・「メイウェザーvs朝倉未来は素晴らしかった」とRIZIN広報・笹原圭一さんが言ってました
――笹原さん! 福岡、名古屋とRIZINの地方ツアーがあり、そのあいだにベラトールとの対抗戦が発表されて、年末に向けてRIZINが加速してますね。
笹原 まぁウチの社長の車にはブレーキが付いていないですから。「ムチャクチャ強く踏む」か、「強く踏む」という2択のアクセルだけ(笑)。
――地獄のプロモーターはスピード狂(笑)。
笹原 ベラトールとの対抗戦は思っていた以上に格闘技ファンからポジティブな反応があって、ホッとしました。
――ハードコアカードが好きなファンたちは「格闘技のためなら死んでもいい!!」と思い込んでいますし、エンタメカードを組もうとものならば「格闘技のためにRIZINは死ね!!」くらいのスタンスですね(笑)。
笹原 そうそう(笑)。そうした怨念のような重たい気持ちに応えられてよかったなと。発表された対抗戦5カードはどれも勝負論があって、興奮できるものだったことに加えて、あの熱気はブレイキングダウン(以下BD)の影響があったんじゃないかなと。
――えっ、BDがですか?
笹原 要は格闘技ファンからすると、心情的にはBDを否定したいはずですよね。「あんなの本当の戦いじゃねえよ!」と。そんなときにベラトールとの対抗戦を発表したじゃないですか。たぶんAJマッキーやパトリシオとかそんなに試合は見たことないけど、「本当の格闘技はこれなんだ!」と胸を張りやすかったんじゃないかなって思うんです。
――信仰の象徴として崇めたいと。ボクも中日ドラゴンズの新・外国人のことがよく知らなくても「すごいやつが来るぞ!」って勝手に思い込んでますからね。
笹原 ウチのベラトールを中日ドラゴンズの外国人ごときと一緒にしないでくださいよ!
――でも笹原さん、RIZINはBDと仲間だと思われてますよ!
笹原 いいじゃないですか、仲間で。同じ宇宙船地球号の乗組員じゃないですか、我々は(笑)。
――そのうちUFCも“ウチ”扱いしそうですね(笑)。でもRIZINはこの半年のあいだにTHE MATCH東京ドーム、沖縄大会、メイウェザーvs朝倉未来、RIZIN3大会……そして大晦日はベラトールとの対抗戦。THEMATCHを含めると今年だけで13大会やってるんですよね。
笹原 そうなんですよ。誰よりもオールを漕いでいる乗組員なんですけど(笑)、「RIZINとBDは同じね」とか言われると、まぁ正直悲しい気持ちになります(笑)。もちろんBDにはBDの面白さがあるとは思ってますが、RIZINとは全然違うんじゃないかと思いますけどね。
――RIZINはブレーキが壊れてるだけでブレイキングダウンしてないと(笑)。というわけで今日は福岡、名古屋、大晦日についてたっぷりおうかがいしますが、まずは名古屋大会から。後半戦4試合はホントに濃厚でしたね。
笹原 うしろ3つは判定決着ですけど、内容的には面白かったですね。
――1分間のショート格闘技が流行ってる中、15分間フルの面白さがあったという。メインの弥益ドミネーター聡志vs平本蓮は下馬評を覆して平本蓮が勝利しましたが、試合直前、平本蓮のケガによりキャッチウエイトに変更されて物議を醸しました。
笹原 平本選手が足の指をケガをしたとの報告があったので、平本選手には事務所に来てもらって詳しいケガの状況を聞いてみたんですよ。
――直接、会って話をしたんですね。
笹原 そうです。なので直接会うまでは「またまた大袈裟なんだから~。まぁ言ってもそんなに深刻な感じじゃないでしょ」と高を括っていたら、松葉杖で現れて、強気フルスロットルな平本蓮が深刻な顔をしているわけですよ。
――“ブレーキの壊れた”平本蓮が、ブレーキ踏みたそうにしていた。しかしRIZINは社長も選手もブレーキがぶっ壊れてますね(笑)。
笹原 平本選手は足が痛くて踏み込むこともできないと。練習もできないし、足を動かせないから体重も落とせないので、これは試合は相当厳しいなという感じだったんです。加えて今成正和選手と戦うずはずだった摩嶋(一整)選手もケガしてしまって。
――格闘技にケガはつきものとはいえ、名古屋大会は大変なことになったわけですねぇ。
笹原 代役を踏まえてカード編成をやり直したんです。それで鈴木千裕選手が今成選手とやることにはなったんですが、弥益ドミネーター聡志vs平本蓮の代替えカードはナシになる可能性もあったんです。
――うわっ、それはなかなかキツイですねぇ。
笹原 そうなったら朝倉海選手が欠場した7月の沖縄大会と同様、チケットやPPVの払い戻しにする可能性もあった。福岡は牛久vsクレベルで盛り上がって、対抗戦も発表されて、いい流れで大晦日に繋げたかったので、平本選手に治療も受けてもらいギリギリまで粘っていたんです。
――最悪メイン消滅だけど、ギリギリまで様子を見ていたと。
笹原 やっぱり平本選手本人の中でも、メインを飛ばすことに対しての葛藤はあったと思いますし、なにより責任を感じていましたから。状態を見たうえでの話し合いの結果、足のケガでフェザー級リミットの66キロまで落とすことは難しい。70キロのキャッチウエイトならということで、弥益選手のほうにも確認したら「試合前日の計量オーバーだったら絶対にやらないけど、事前にキャッチにするのはかまわない」と了承をいただいて、試合成立に至ったということです。
――平本選手が欠場して試合がなくなっても不思議じゃなかったし、弥益選手は平本選手の事情を汲んでくれたと。
笹原 もちろんお互いに万全で試合を組めれば良かったですし、両選手共に言いたいことはたっくさんあったと思いますが、2人とも試合成立に向けてその言いたいことを飲み込んでくれて、メインの責任を果たしてくれたってことです。
――弥益選手が70キロを無理矢理飲ませられた、みたいな意見もありましたが、それも含めて弥益選手が「やる」という判断をしたと。
笹原 「おい弥益、この条件を飲まなきゃ、オマエは二度と使わねーぞ!ガッデム!!」みたいなことをボクらが言うと思いますか?
――すごく言いそうですよ!(笑)。
笹原 ぎゃーーっ!そんなこと言うわけないですよ。ちゃんと真摯に向き合って話をしてますから!
――平本選手がケガを公にした記者会見は言いたい放題で、いつもの平本蓮劇場でしたよね。
笹原 いつもの平本節が炸裂していましたけど、じつはものすごく重い決断をしてくれたんですね。なので会見では「ケガしたんだから、しょうがない」みたいにどこかで言い訳を用意しちゃう感じになって、さすがに舌鋒が鈍るかと思っていたら、平本選手はいつもの調子で挑発してきた。その結果、鈴木千裕選手がブチ切れるという(笑)。
――あの2人のケンカは最高なので、会見でもPPVにしたほうがいいですよ(笑)。
笹原 実際、平本選手は相当不安があったと思うんですよ。だって練習もほとんどできてなかったわけですから。でも、ちゃんとプロとして会見をやり切ってくれましたし、そこには朝倉未来選手のことが頭の片隅にあったように思います。
――メイウェザー戦のダメージから頭痛も残っているので「大晦日は出ない」宣言ですね。
笹原 平本選手はずっと未来選手を標的にしてきたし、あえて出ることで比較されるわけですからね。出場発表したあとも未来選手にさんざん噛みついてますし。
――それで勝っちゃうわけだから、平本選手は賭けに勝ったわけですね。
笹原 試合後、社長は平本選手に「ギャンブルに勝ったな!」って言葉をかけてたんですが、私からすると社長がギャンブルに勝った印象ですよ。いや、ノリ打ちして二人とも勝った感じですね(笑)。
――パチンコとかで、複数人で投資金額をシェアして、最終収支を人数分で分け合う打ち方ですね。
笹原 一方で、直前で体重変更があったにもかかわらずこの試合を引き受けてくれたドミネーター選手には、本当に感謝しかないです。
――殴られながらも前に向かっていく姿は晩年の桜庭(和志)さんを彷彿させました……。等身大の魅力がある格闘家だし、感情移入しちゃいますよね。
笹原 試合後のコメントも心が打たれるんですよ。ドミネーター選手はこれまでにいい場面に出てきて、格闘技でおいしい思いをしているという後ろめたさがある。だからどこかでいつかそれを返さなきゃいけないんだろうなって思っていた、と。もちろんそんなことをやすやすと受け入れる気持ちはないけど、結果的に新しい世代の平本選手にそのバトンを渡す結果になったと言っているんです。
――ちょっと話はズレるかもしれないですが、それって「誰に負ければいいのか」というある種のプロ意識ですよね。誰かにつなげることで格闘家としての自分の痕跡を残す。
笹原 これはドミネーター選手がどこまで意識しているのかわかりませんが、彼って自分のことを「弥益」って言うじゃないですか。これって、格闘技ファンである弥益聡が、ファイター弥益を客観的に見ているからこその物言いだと思うんですよ。弥益聡個人であれば受け入れ難かったり、言いたかったりすることがあるけど、自分が憧れた格闘家像なら痩せ我慢してでも胸を張る。だって自分がファンの時代に胸を踊らせた格闘家たちはそうしてきたじゃないか、って思いが読み取れるんですよ。
――ドミネーター選手のプロフェッショナルぶりが光っているけど、本人からすれば簡単には割り切れないってこともたくさんあるってことですよね。
笹原 まだ試合後のドミネーター選手のインタビューを見ていない方がいたら、ぜひ見ていただきたいんですけど、弥益ドミネーター聡の人間性がむき出しになっていますから。
――だからこそ、また次の試合が見たくなりますよね。
笹原 試合後に本人とちょっと話したら、引退を匂わせるようなことを笑いながら言っていたいので、「何言ってんの。このままRIZINが逃すわけないでしょ」と返しておきました(笑)。まぁでもしばらく休んで、また闘いたい気持ちが芽生えたら、いつでも戻ってきてほしいです。
――平本選手もケガを感じさせない戦いぶりで。
笹原 4戦目で自分のスタイルがほぼ確立したのはすごいなと思いました。もちろんまだまだやらなければいけないことはあるんですけど。そもそも今回の試合は、戦前はドミネーターが有利と言う声が大きかったですが、平本選手本人は自分がアンダードッグだと1ミリも思ってないんですよ。「いや俺、全然勝てますよ」と。圧倒的に自分を信じている。だからこそケガしたことが不安だったわけですよね。
――勝てる試合だから万全で臨みたかったと。フェザー級っていまのところクレベル以外は10回やって8~9回かならず勝つような組み合わせってないですね。
笹原 今回もドミネーター選手ももっと違う戦略があったのかもしれませんが、平本選手がそれをさせなかったんだと思います。格闘IQの高いドミネーター選手を逆にドミネートできたことは、大きな自信に繋がったと思います。
――大晦日はケガで無理ですが、来年の平本選手のマッチメイクが楽しみですね。さっそく朝倉未来待望論が湧き上がってますから。
☆侍マーク・ハントのファインプレー
☆元谷友貴は前田智徳である
☆福岡は大会中止寸前だった!?
☆対抗戦査定試合がいくつかあった
☆クレベル・コイケの「オレたちはファミリーだ」
☆ベラトール対抗戦は全敗でも……14000字インタビューはまだまだ続く
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大晦日楽しみだ~
地獄のプロモーターがアクセルを全開に踏み込む絵を誰かに描いてほしい。
査定試合だったのは矢地かなあ。知名度なら武田より矢地だし。試合内容と最近の戦績で武田に決まったという感じなのかもな。
これからリングチェックの時に笹原さんが笛鳴らしながら交通整理してくれるでしょう
今年の大晦日は、WWFサバイバーシリーズ2001大会のWWF対WCW5×5対抗戦を超えるワクワク感!
滅茶苦茶であって良いし、目茶苦茶なのが我等のRIZIN!