――今月もセージ・ノースカット問題を含めていろいろとうかがいたいんですが、まずは2024年もUFCのアジア選手発掘企画ROAD TO UFC(以下RTU)が行なわれるという話題から。シュウさんが開催情報を発信されて話題になってましたよね。
――2023年のライト級も決勝まで進んだ原口伸選手はもともとフェザー級希望だったし、ほかにもウェルター級の選手を引っ張ってきたりして、なかなか集まらなかったですね。
シュウ UFCはもともとライト級とウェルター級は選手層が一番厚いですからね。だから、そこまで一生懸命引っ張らなくてもいいのかなと。あと、ライト級より上となるとアジア圏だとどうしても体格的に不利ですし。それでも、アジア全体で見ればライト級またはウエルターでも全然通用するタレントはたくさんいるとは思うんですけど。
――去年のRTUで女子フライ級をやるという話が浮上していましたよね。
シュウ 結局女子はやらなかったですからね。女子フライ級は選手がいないというか、課題はUFCのお眼鏡にかなうレベルの選手がいるかどうかだと思います。
――いずれにしても、今年も3月末くらいまでに選手を募ってみてどうするか。
シュウ やっぱりビザも含めて場所によっては早めに動かないといけないじゃないですか。RTUやDWCSから選手をピックアップしていくのは、UFCにとっては一番やりやすいかたちで、要は入団テストみたいなものですからね。
シュウ そんなにいないと思いますよ。たぶん10人いるかいないかだと思います。
――UFCとしてもUFC上海PIで練習している選手が勝ち上がってくれれば、施設に資金を投じた意味があると。
シュウ やっぱり中国資本はバカにできないですよ。ジャン・ウェイリーの活躍もあって、今度中国人同士のタイトルマッチもやりますからね。ぶっちゃけ、UFCは日本よりも中国でのネームバリューのほうが高いと思います。で、アジア全体では韓国人もいればモンゴルの選手もいるわけで。だから、日本人枠がそんなにいっぱいあるとは考えないほうがいいかもしれないですよね。厳密には元々「日本人枠」というもの自体が存在してないんですけど(苦笑)。
――日本は市場の恩恵をあまり受けられないところはありますよね。
シュウ さらに裏をいうと、普通にメールでRTUに応募すると、まずUFC上海の担当者とフォレスト・グリフィンが選手をふるいにかけるんですよ。そっからマッチメーカーに持っていく傾向があるので。
――まずハードルがあるんですね。
シュウ だけど、ボクはそれやめてマッチメーカーに直接連絡しているんですよね。
――さすがです!(笑)。
シュウ もうすでに、ショーン・シェルビーが興味を示している日本人選手がいますから。その選手は入ると思います。たぶん、次の試合で負けなければ、ですけど。
シュウ そうなんです。だからみんな聞いてくるんですよ。「3月の終わりや4月に試合が決まりそうなんだけど、応募していいんですかね?」と。でも、そんなのどんどん応募すればいいんですよ。「4月の初めでも試合するけど、ケガさえなければいつでもいけるぞ」みたいな感じで書いておけばいいんですよ。ボクがツイートで「資格基準は、18から30歳、プロ6戦以上、勝率70%以上、フィニッシュ率55%以上、前回の試合勝っていること、安定した実績のある相手・団体で、少なくとも一勝している」と書きましたけど、皆さんそんなの気にせずに応募すべきなんです。
シュウ そうなんです。日本人は凄く真面目なんですよ。だからそれが審査基準になると自分の中で「ダメだ」と決めつけちゃうじゃないですか。けど、欧米の選手はどんどんセルフPRして売り込むわけなんですよね。
――白星配給係と化しているインドネシアのONE PRIDE MMAの選手が何人も入ってるぐらいだから、なんとかなります!
シュウ じつは、大学受験でもアメリカでは「この学校は論文なんて出さなくていい」と言われてる学校でも、わざと論文をつけて出す人もいるんですよ。たとえば「9年生、10年生(日本だと中3と高1)のときは成績が悪かったけど、そのときはまだ日本語しかしゃべらなかったんだ」と。「そのかわり、11年生、12年生のときの成績を見てくれ」というような論文をつけて出すとかね。だから、少し早いですが、ここで突っ込みます(笑)。永ちゃん(矢沢永吉)が言っていたように、自分で「新しいドアをこじ開ける」気持ちがあればいいと思うんですよね。
――たとえば、矢地祐介選手の場合はさすがに戦績がつきすぎてるからアウトなんでしょうけど、ちょっとでも可能性があるんだったら挑戦してみるのもいいという話ですよね。
シュウ RTUって本来ならプロ6戦目以上とか言ってたじゃないですか。でも、HEARTSのところに吉村(天弥)選手という若くて面白い選手がいるんですけど、彼の戦績は2勝1敗でその1敗は反則負け。でもボクはそれでもエントリーしましたよ。6戦以内でも関係ないと思って。「いや見てくれ、この1敗は関係ないから」と説明したんですけど、そしたら前向きな話になることもありえますからね。
――つまり、基準なんてあってないようなものというか。
シュウ だから、とりあえず応募してみるべきですよ。やってみないとわからないじゃないですか。
――そういう中で、今年は鶴屋怜選手がフライ級で優勝してUFCと契約できました!
シュウ いやー、よかったですよね。日本人選手が増えるのは本当にうれしいですし、フライなんて日本人にもチャンスのある階級ですから。
――このトーナメントでいえば、鶴屋選手はぶっちぎりでしたもんね。
シュウ ただ、どうしてもUFC本戦とRTUではレベルが違うじゃないですか。RTUはぶっちゃけコンテンダーシリーズよりちょっと低いレベルにあると思うので。そのコンテンダーシリーズで15勝無敗で入ってくるヤツも本戦では負けたりするわけだから、よけいに頑張ってほしいですよ。ボクは凄く期待しています。若いうちに入れて。いい経験もできたし、絶対にいいことだらけだと思いますよ。
――そして、ライト級の原口選手は準優勝。前回は準優勝でも契約できたケースがありました。
シュウ そこですよね。「原口選手は準決勝では相手の計量オーバーがあったのに穴を空けずに試合をしたんだから」とか交渉の余地はありそうですけど、そこはマネジメントの方も一生懸命やってほしいです。
――それくらいのノリで世界に売って出なきゃダメだと(笑)。
シュウ 本当そうですよ。べつにインチキでもないし、誰かを傷つける決断でもないじゃないですか。はっきりいって嘘とも言えないですし。
――まあ、たしかに誰も傷つかないですね(笑)。ちなみに、リザーバーながらUFCと契約したフライ級のモンゴル人選手はシュウさんのマネジメントなんですか?
シュウ はい、そうです。
――こないだ鶴屋選手にインタビューしてきたんですけども、べつに怒っているわけではなくリザーバーが契約できたことに驚いてましたね(笑)。鶴屋選手はRTUで3勝、リザーバーは2勝ですから。
シュウ ハハハハハ! その気持ちは凄くわかります(笑)。これ、いまだから話せますけど……
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