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大きな反響を呼んだRIZIN記者会見の扇久保vs神龍の「言ってみろ!」「喋んな」劇場! その記者会見が行われた数週間前、扇久保博正はDropkickの取材に「難しい……」と漏らしていた。いったいオギちゃんは何を悩んでいたのか(聞き手/ジャン斉藤)



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・「RIZINに潰れてほしくないから箱庭のままでいいよ!」■川尻達也




――ゴールデンウィーク中も練習なんですね?

扇久保 もちろん試合(神龍誠戦)が決まったんで。

――
どこか遊びに行く予定もないと?

扇久保
 まったくないです。あっ、明日から沖縄に1週間行きますけど、松根(良太)さんのジムが改装したというか、移転したみたいで。すごく広くなったし、平良(達郎)選手もそろそろUFCで試合なんで。どのくらいの仕上がりか一緒に練習しようと思って。

――ブラックベルトジャパン繋がりで沖縄に。沖縄のジムはかなり広くなるみたいですけど、沖縄って家賃が高いから松根さんが頑張ったってことですね。

扇久保
 大きいお風呂もついたみたいなんで、ちょっと入りに行こうかなと(笑)。

――
7月の超RIZIN3で対戦する神龍選手との因縁めいたものはぼんやりとは伝わってはいるんですが、2人のあいだにはいったい何があったのかと。

扇久保
 どうなんですかね。こっちからすると、そんなに因縁という感じはしないんですけど。

――
因縁はないですか? 胸ぐらをつかんで殴り合いをしたとか、そういうわけではなさそうですね(笑)。

扇久保
 「殴り合いをした!」と言ったほうが盛り上がるのかな(笑)。

――
数年前に神龍選手が扇久保選手に対戦アピールしたツイートが物議を醸したことはありましたよね。


「RIZIN最高でしたね🔥
ここで大晦日喧嘩売りたい相手がいます
扇久保先生、適正の58Kgで僕とやりましょう
元同門で中1の頃から指導を受け特別な思いがあります。
あなたは言った、僕が日本MMAの未来だと。
時は来た
あなたを倒さないとフライ級最強は名乗れません
フライ級最強を決めましょう」


扇久保 あれ、何年前ですかね。すごい前ですよね。

――2020年の9月ですね。

扇久保
 あの挑発にボクはまったく反応しなかったんですよね。ボクはバンタムで試合は決まってたんですよ(RIZIN瀧澤謙太戦)。しかもアイツ、(パラエストラ柏を)やめてまだ1~2年しか経ってなくて。それに「あなたは言った、僕が日本MMAの未来だと」と書いていたけど、俺、そんなこと言った覚えがないんですよ(笑)。

――
えええええ!?(笑)。

扇久保
 「オマエにそんなことを言うわけねえだろ!」って思ったんですけど、よく振り返ったらツイートしてるんですよ(笑)。

――
ハハハハハハ! 物的証拠がありましたか(笑)。

扇久保
 全然そんなつもりなかったんですけど(笑)。まあでもアイツの言ってることは気持ち悪いし、もう絡みたくねえっていう感じで無視したんです。あのときの俺は堀口恭司選手を倒すためにバンタムで来てるわけだから「あなたの適正の58キロでやりましょう」って、なんでオマエに合わせなきゃなんねえんだよって。でも、彼からすれば「無視された!」みたいな感情があるんですかね?

――
キッズの頃から神龍選手のことをよく知る鶴屋怜選手をインタビューしたときに思ったのは、ジムの中で神龍選手はいじられキャラだったのかなって。

扇久保
 というか、彼がウチにいるときから浮いてましたよね。かなり浮いてましたけど……うーん、どこまで言っていいのかわからない。いやあ、誠と因縁があるのかな。

――
因縁のあるカードとして発表されてますよ!(笑)。

扇久保
 うーん、誠に対してあるのかなあ。でもまあ言いたいことはあるんですよ。もうちょっとしたら記者会見をやる予定だし、そこで言ったほうがいいのかなあ。どういうふうに試合につなげてるかはまだ模索中ですね。わざわざ柏まで取材に来てもらって申し訳ないんですけど。

――
いえいえ。どうせ言うんだったら、本人や映像で語ったほうがいいときもありますよ。

扇久保
 なんかすいません。

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この取材から3週間後、記者会見が行われ…

――
そもそも先輩後輩の関係ってすれ違いが生まれやすいですよね。

扇久保
 ああ、そこは思いますね。格闘技以外のこともいろいろと教えてあげたけど、もしかしたら彼にとっては意地悪されたというふうに捉えてるのかな……ってちょっと思って。

――
神龍選手からすれば、怒られたことに納得できないと。

扇久保
 ですね。彼がやめたあとにこんなことを言っているということがこっちに伝わってきて驚いたんですけど。ボクは当時指導員で昼間、誰も来ていない時間に道場の掃除は指導員のボクらがやっていたんですが。夜の全体練習が終わるとみんなでジムの中を掃除するじゃないですか。

――
どこのジムでもそうですね。

扇久保
 まず全員が雑巾掛けをするんですけど、たとえばシャワー室やトイレは誰が掃除するかは決まっていない。そういうときに、光ってる子や目にかけてる子に「君はあの棚をちょっと整理して」とか「君はシャワー室やトイレ掃除担当ね」って言っていたんですよ。それはボクが若手の頃も、鶴屋さんに言われてやっていましたし、それを言われて嬉しかったんですよね。みんな雑巾掛けをしてるのに俺は違うことを頼まれた、目にかけられてるってことだなって。

――つまり扇久保さんも神龍選手を目にかけていたってことですね。

扇久保
 そうなんですよね。でも、彼はマイナスに捉えちゃったんだなと。「便所掃除をやらされたことがとにかく悔しくて」という話が伝わってきたときは悲しくなりましたよ(苦笑)。

――
ふと思ったんですけど、「トイレ掃除」と「便所掃除」だとだいぶ印象が違うなって。「便所掃除」というと何かイヤなものを押し付けてくる感じがあります(笑)

扇久保
 俺もどっちで言ったかは覚えてないですよ(笑)。

――
この話を聞いたブラックベルトの若い子は「俺はトイレ掃除を命じられていないから、扇久保さんに目をかけられていない」と慌てるかもしれないですよ!

扇久保
 誠がそんなことを言ってるという話を聞いてから、俺は誰にも便所掃除させなくなったんですよ(笑)。

――
ハハハハハハ!

扇久保
 「そういう風に捉える子もいるんだ……」って怖くなっちゃったし、俺がイジメてるみたいじゃないですか。だからいまはもう言わないです。自分で便所掃除してます(笑)。

――
ジムのあり方を知らない人だと一方的に便所掃除だけ命じてるように聞こえますけど、練習後はみんなでジムを掃除するし、それは感謝の表れですもんね。

扇久保 そうなんですよ。だから、それが因縁なのかなっていうと……ただ、彼にとっては「扇久保、許せない!」ってショックだったんですかね。たぶん17歳18歳ぐらいだったのかな。あの子は格闘技選手としてはとても強かったし、若い頃から上には行くだろうなと思ってたんです。でも、普段の行動が伴わないと成功しないじゃないですか。気になるところをたまに言ってあげたりしてたんですよ。でも、それが合わなくて、やっぱりやめちゃいましたね。

――
神龍選手がやめるときは何か挨拶はあったんですか?

扇久保
 挨拶はたぶんなかったです。メールもなかったかな。覚えてないですけど。

――
さっきの「MMAの未来」じゃないですけど、あとからメールボックスを検索したら発見されるかもしれないですよ!(笑)。

扇久保
 ハハハハハハハ。それぐらい覚えてないですけどね、正直。

――
やめたときはどう思いました?

扇久保
 やっぱりやめたなあっていう……うーん。これはどういうふうに試合に結びつけるかホントまだ考えてるから、記者会見とかで言おうかなって考えてるんですけど……。彼が18歳になったときに親と一緒に来るのをやめろって言ったんですよね。ひとりで道場に来いと。でも、そこから来なくなったので。

――
ああ、なるほど。それはたしかに煽り方が難しい。

扇久保
 誠はまだ10代だったじゃないですか。ボクなりに彼の気になるところを注意してたところは、親父の言うことを聞いてたんじゃないかなって。


・俺はマジで腹立ってますよ
・あのマイクはアイツが考えたとは思えない
・銭湯で一度、会ったときに…
・キッズの頃から変わっていない
・短期の海外練習で強くならない
・ドーピングの件……11000字インタビューはまだまだ続く