
川尻達也が大晦日を通して日本の格闘技界の現在を23000字で斬る!(聞き手/ジャン斉藤)
★この記事は1月2日に配信されたものを再構成したものです
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──そこはどちらですか?
川尻 ここはジム(FIGHT BOX FITNESS)です。自宅だと朝まで配信ができないじゃないですか。
──「朝まで川尻達也」ですか(笑)。いま21時ですけど、今日は長くても2時間で終わりますよ!
川尻 RIZINに負けてらんないですよ。今回の大晦日も昼の1時から夜中の1時ぐらいまでやってたじゃないですか。12時間はやらないとね。ひとりRIZIN DECADEですよ、今日は(笑)。
──川尻さんは大晦日の解説をやってましたけど、すぐ帰ったんですか?
川尻 帰りましたね。深夜2時過ぎに家に着いて、そこで「じりラジオ。」を収録して。3時ごろシャワー浴びたけど、興奮して5時くらいまで寝れなくて。昼まで寝ていた感じですね。お正月は一歩も家から出ないで1日中パジャマで過ごしました。
──大晦日や正月関係のない生活で家族から呆れられてないですか?
川尻 家族も一緒にRIZINに行ったんです。
──あ、家族も一緒に行ったんだ。
川尻 奥さんと娘も一緒です。中学2年生がRIZIN DECADEを深夜1時まで見られるってめちゃくちゃ羨ましくないですか?
──お腹が空いたら斎藤裕のラーメンも食べられるし(笑)。
川尻 そうそう。1日中格闘技を楽しめるし、RIZINガールのダンスをめっちゃ動画で撮ってましたね。
──川尻さんの娘さんはRIZINガールのことが大好きだから、大晦日のメインメインイベントはRIZINガールなんですよね。その大晦日含めていろんなお話を……。
──そこはあとで語りましょう!(笑)。それよりもJTT(ジャパン・トップチーム)の川尻さんにいろいろ聞きたいことがあるんですよ。
川尻 なんでも聞いてください。JTTの自称・相談役ですよ(笑)。
川尻 実況席を見るかぎり、どっちが勝ったかはまったくわかんなかったです。試合展開としては五明選手が終始攻めていたけど、テイクダウンできなくて攻めきれない。赤田選手はしのいで受け身だったけど、一発でダウンを奪ってパウンド。その印象が強いんだけど、あれで「ダメージ」の評価がつくのかなと。
──RIZINのジャッジ基準で最も高い評価が「ダメージ」ですね。
川尻 印象としては、ずっと五明選手が攻めてて、赤田選手が一発で試合をひっくり返しちゃった。これは絶対に判定で揉めるというか、物議をかもすだろうなと思って。判定は五明選手の勝ちだったけど、考えたのは赤田選手のダウンと、五明選手のヒジのカットで相殺かなって。アグレッシブネスはどっちもないとして、ジェネラルシップで五明選手の勝ちになったのかなって後付けで思いました。ただ試合直後は本当にわかんなかった。どっちが勝ってもおかしくないな。早くJMOCのスコアカードを知りたいですよ(後ほど公開)。
川尻 いっぱいありますよね。UFCでもめちゃくちゃありますよ。
──それだけRIZINが注目されてるからこそ余計に……ボクは「難しい判定=おかしな判定」ではないと思ってますね。
川尻 この試合も2-1に割れたわけだから、どっちに入ってもおかしくないってことですね。
──川尻さんはここ最近のジャッジの流れはどう見てるんですか。打撃評価が著しいですよね。
川尻 ボクのファイトスタイルだったら、いまの時代だとあんまりポイントが入らなかったですよね。でも、いまの時代でもグラップラーが勝てる方法はある。「いまならこう戦ったほうがいいよな」っていう考えは自分の中であります。とにかくダメージですよね。ダメージって、相手からダウンを奪ったダメージとかじゃなくて、フィニッシュにつながるような攻撃をスタンドでもグラウンドでもやり続ける必要があるなって。スタンドポジションでも、グラウンドポジションでも、マウントポジションでも、ガードポジションでも、どのポイントからでもフィニッシュにつながるような攻撃がポイントとして取られる。だから、マウントやバックを取ったから有利だとか、テイクダウンで下になったから不利だとかはなくて、どのポジションでも攻撃しなきゃ全部一緒なのかなと。大きくいえば、どこからでもフィニッシュにつながる攻撃ができるかっていう感じじゃないですかね。
川尻 グラップラーがフィニッシュにつなげるとなると、まずテイクダウンしなきゃいけないじゃないですか。ストライカーはスタンド勝負だから、そこからすぐ優劣つけられるけど、グラップラーはまずテイクダウンするしかない。そこが1工程、2工程、3工程くらい多くて大変ですよね。グラウンドになっちゃえば互角っていうか、マウントを取ったらポジション的に有利だから、抑え込むだけじゃなくて、そこからパウンドやヒジを打つしかないし。ケージに押し込んでる状態でも、ただテイクダウン狙うよりは、どんどん殴っていかなきゃいけない。大晦日にKO勝ちした極真空手の上田(幹雄)選手じゃないけど、ゼロ距離からの打撃はグラップラーにも必要ですね。
──いまって寝かすのも大変だけど、寝かしたあと普通に立ってくるから、パウンドするのも大変ですよね。
川尻 頭を上げてのパウンドって、やっぱり立たれるリスクがあるんですよ。かといって、抑え込みながらパウンドだと、コツコツって言われるじゃないですか。ボクはヒジがポイントになると思いますね。
──いま川尻達也が戦うとしたらヒジを磨くと。
川尻 ヒジってゼロ距離で打てるから、ボクがいまグラップラーだったらヒジに特化しますね。ロープに押し込んでからもダメージを与えられるし、ヒジでカットも狙える。テイクダウンしてからも、上でも下でもカットもすることができる。ボクがいまグラップラーだったら、ヒジにとにかく特化します。この話の流れでいえば。20年前に埼玉の和光に和術慧舟會A-3というジムがあって、よく出稽古してたんですけど。そこの選手とグラップリングすると全然かなわないんですよ。ただ、パウンドありでやると、茨城のボクらのほうがうまかったんです。ボクらは、その当時からパウンドありきの練習をしてたからですけど。他のジムもパウンドありの練習をやってないから、ボクらはパウンドで差を埋められたんですよね。いまはパウンドありの練習はあたりまえじゃないですか。でも、ヒジはあんまり……まだ脇役ですよね。
──かつて堀口(恭司)選手がカーフキックで朝倉海選手のことをKOした瞬間、日本国民がカーフキックを認知したように、何かあればヒジが一気に浸透する可能性があるってことですね。
川尻 たとえば今回の梅野(源治)選手もすばらしかったけど、ヒジに特化すれば面白い存在になるなって思いました。パンチなんかいらない。距離を詰めてヒジを打てばいいんですよ。梅野選手はMMAのほうが向いてるじゃんと思っちゃいましたし、自由に戦ってましたよね。MMAのいいところは自由なところ。梅野選手はRIZINのヒジなしキックルールのときはすごい窮屈そうに戦ってたけど、MMAのほうがすごく自由に戦えてるなって感じました。
──今回の判定絡みでいうと、川尻さんはいろんな舞台で戦ってましたけど、ラウンドマストとトータルマストどっちが戦いやすかったですか?
川尻 ラウンドマストのほうが絶対に戦いやすいですね。そこは計算しやすいです。
──「このラウンドは取った。次のラウンドはどう戦うか」と戦略が立てやすいわけですね。
川尻 練習でもラウンドごとに考えてやってるし、全体を通してだと忘れちゃう。「このラウンドは取ったな」とか「微妙だけど取られたな」とかわかりやすいですね。
川尻 よく言われるのは「最後まで試合がどうなるかわからない」ってことですよね。ラウンドマストだと1&を2ラウンド取ったら、最後の3ラウンドを流すファイターがいるって言われてますけど、最近はUFCでもそんなにいなくないですか?
──最近は流しづらくなってますよね。なんでなんですかね?
川尻 たしかになんでなんですかね? それは考えたことないな。
──プロモーターからの評価が下がるという理由もあるはずですけど。
川尻 UFCもただ勝つだけじゃダメになってますもんね。そこは昔からそうですけど、選手も試合内容にこだわって、派手な勝ち方やいい勝ち方を狙うようになってますよね。
・堀口恭司の今の凄さ
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コメント
コメントを書くすげえ面白かった
川尻さんのUWF見たいけどなあ