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雷神番外地で勝利した朝久泰央11,000字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)



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――
大晦日の『雷神番外地』はインパクトのある勝利でした!

朝久 ありがとうございます!

――
主戦場のK-1とは違う舞台の勝利ということで、反響はいつもと違ったりしましたか?

朝久
 やっぱりRIZINはいまの格闘技界で注目を集めている団体ではあるので。たとえばXのフォロワーが増えましたね。試合が終わってから1日2000人ずつ増えていって、いまのところ8000人ぐらい増えました。

――
とはいえ『雷神番外地』はかなり異色のイベントでまさに番外地だったわけですけど、オファーがあったときは迷いませんでした?

朝久
 試合をすることに関しては、全然100%やりますという感じなんですけど、自分は「K-1が一番」ということをずっと発言してきたので、そこで「他団体に出ることはどうなんだろう」と迷いはゼロではなかったですね。

――
「K-1が一番」なら他団体に出る必要はないじゃないかってことですね。それでも一歩踏み出したのはどういう理由なんですか?

朝久
 そこはやっぱりK-1をデカくするためじゃないですかね。勝ったことで自分の名前も少し上がったかなと思います。もし負けていたら……「K-1がブレイキングダウンに負けた」となるじゃないですか。彼(YURA)がRISEでもキャリアのある無敗のプロだって見方はされていないので。ブレイキングダウンから出てきてる以上は「朝久はブレイキングダウンに負けた」と言われる。負けたらすべてを失うという意味では、ある意味大博打というか。3歳から格闘技一筋でやってきたのに、ここで負けたら素人狩りに立候補して素人に負けた奴。そんな道場で誰も習いたくないと思うし、館長の親父に対しても申し訳なかったですね。

――今回の『雷神番外地』で一番リスクがあったと思います。

朝久
 自分でも一番リスクはあったなと思いますね。勝ったからこうして笑って話しますけど、負けたらもうブレイキングダウンがあるたびに自分がやられてるところを使い回されたりとか(笑)。

――
あのダウンシーンが何回も何回も(笑)。

朝久
 そうやって擦り回されて、K-1での立場もなかったですよ。そうなったら自分が生きる意味がないというか、もう切腹するしかないですから(苦笑)。

――
切腹もの! 正直その重さって意外と伝わってないなかったんじゃないかなって思ったんですね。

朝久
 そこは伝わらないように振る舞ってましたね。家族だったり応援してくれてる側からしたら、重いじゃないですか。自分の中では「もし負けたら」と頭をよぎるところはありますけど、そこは伝わらないようにはして。

――
K-1もかなりリスクがあったと思うんですけど、出場はすんなりOKが出たんですか?

朝久
 簡単ではなかったです。

――
ああ、慎重になりますよねぇ。

朝久
 いろんなやりとりがあった中で最終的に出させていただきました。自分としては大晦日だから出たいわけじゃなくて、戦いがあるならばやる。RIZINだから出るんじゃなくて、これが別の団体だったとしてもK-1を背負うかたちだったらやっていたと思います。ただ、試合が決まって進んでいくにつれて、自分が踏み入れちゃいけないところに踏み入れたような気がして。

――
どういうことですか?

朝久
 「K-1を裏切って出ていった」とか「知名度に媚びた」とか、そういうアンチからの言葉に傷ついたりはしなかったですけど、過去の自分の発言からすれば、踏み入れちゃいけないところに来てしまったなと。

――
朝久選手はK-1から出ていった選手が外のリングで負けていることに厳しい言葉を投げかけていましたね。

朝久
 だから、もう引き返せない。一歩進んだら後ろの道は崩れて崖になってるんです。目の前の真っ暗な道を突き進むしかない感じでした。勝たないと、もうそのまま崖から落ちるしかなかったですね。ブラックローズ入りを発表したときは300件くらいコメントのうち98%くらい全部アンチだったんですよ。

――
そうなんですか!?(笑)。

朝久
 「オマエ、言ってることと違うじゃねえか!」というものもあれば「K-1の裏切り者」とか「数字に媚び売っていった」とか……。

――
ボクは「これは面白いことになったぞ〜!」とただただ喜んでいたんですけど、アンチがそんなに群がってたんですね(笑)。

朝久
 自分はプロなので勝つことで証明するしかないと思ってるので。自分としては、あとがない状況に持っていきたいというか、持っていかざるをえなかったというか。そうなると、練習も絶対に手を抜けないんですよ。練習を毎日8時間やっていても、やっぱり集中力が切れるときがあるんですけど、逃げ場をなくすことで必死に練習できましたよね。

――今回の試合はルール設定でも一悶着あったんですが、YURA選手は階級上なんですよね。

朝久
 RISEの公式サイトだと65キロや70キロで試合をしているので。言うならば自分とは2階級は違うし、試合当日も身体は全然違いました。だからこそ、その相手に勝つとかっこいいなと思って。

――
そりゃあ文句なしにかっこいいです(笑)。でも、さすがに2階級に躊躇しませんでしたか?

朝久
 スポーツとして考えるなら2階級差は大きいですけど、朝久空手をやってきた身からすれば2階級は問題ないです。自分は過去に「カリミアンをやっつける」って言ったこともありましたし、SNSでも「スダリオ剛とやれ」とか言われたりしますけど、朝久空手は自分より体格の上の相手と組まれたらどう戦うかをちゃんと考えて練習してるので。今回も「2階級くらいなら普通に勝てるでしょ」と自信はありましたね。

――
実際に肌を合わせて階級の重みは感じました?

朝久
 たしかに感じましたね。階級差の強みというか、圧力だったり、身体の強さ、パワーは感じたけど、「強い」「勝てない」とは思わなかったです。「2階級上だ。でも勝てるな」と思いました。それは相手がYURAくんだったからじゃなくて、他の2階級上の選手とやっても同じように思います。

――
物理的な重さを感じただけであって、それが心理的な重さにはならなかったわけですね。

朝久
 そうですね。負ける要因にはならなかったですね。


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――
お話を伺うと、朝久選手の戦いは競技を超えたものとして見据えているんですね。

朝久
 試合を盛り上げたいとか、そういったスポーツ的な考えじゃなくて“決闘”です。大晦日でTHEMATCH2の開催が発表されたことで「俺だったら盛り上げます」とかアピールしている選手がいるけど、自分はそういった盛り上がりを全然求めてなくて。それよりも、さっき言ったように「後ろが崖」みたいなヒリヒリした状況で戦いたい。盛り上げたいとかじゃなくて、あとに引けない立場を作って、おもいっきり相手を倒すことだけを考えたいんで。

――
「試合を盛り上げます!」という姿勢で試合に臨んでないわけですね。

朝久
 そういったのって結局、本人が舞い上がってるだけで。はっきり言ってそういう奴の試合って盛り上がってないし、そういう舞い上がりはオマエだけにしてくれよって。

――なるほど(笑)。

朝久
 やっぱり今回みたいにK-1を背負わせていただいて、腹を括るじゃないですけど、ギリギリの試合をしたいなという考えはありましたね。

――
今回の試合が盛り上がったひとつの理由として、YURA選手がオープンフィンガーグローブマッチを要求したじゃないですか。

朝久
 契約で決まったあとだったんで、何をいまさら言ってるだろうと正直思ってたし、戦ったあとで言えるのは最初にパンチでダウンを取ったのも自分だったし、パンチのクリーンヒットを当てていたのも自分だったんで。オープンフィンガーでも結果は変わってないし、もっと早い段階でのKOになっていたと思うんですけど。

――
いまは「オープンフィンガーグローブのほうが薄いから危険だ」という認識は広まってますが、普通のグローブのほうが脳を揺らしますよね。

朝久
 そうですね。それにオープンフィンガーのほうが分厚いんじゃないかって思いましたね。いろんな話を聞いた中でいえるのは、YURAくんもプロというか、ブレイキングダウンでの立場もあるし、ああいう挑発は誰かの入れ知恵だったんじゃないかなと。そんなことをやってるぐらいだったら、5月ももう1回ぶっ飛ばされるんじゃないかって感じましたねぇ。

グローブ云々はズルい
・芦原秀幸と朝久空手
・父親の朝久館長「いや、それぐらいで許すな」
・「俺の選択、これでよかったんだろうか……」
・平本蓮くんは裏表なくてめちゃくちゃいい人
K-1を腐しているから怒りがある
・ファイトマネーが安いとか、そいつの価値がないだけ……インタビューはまだまだ続く


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