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YA-MAN戦後に引退表明した金原正徳13000字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)

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――
取材場所に世田谷ロータスを指定されたときはビックリしたんですよ。引退を表明したけど、もう練習再開してるのかな?って。

金原 いや、試合が終わってからロータスに挨拶に来てなかったんですよ。

――
ああ、そういうことなんですか(笑)。

金原
 引退した後も格闘技の練習はやると思います。だけど、もう強い人たちとはやらないです。首や肩が痛くなるんでね。所英男くらいとやるのがちょうどいいかなって(笑)。

――
すぐそこにいる所さんに聞こえますよ!(笑)。引退を宣言してから1週間近く経ちましたけども、いまの心境はどうなんですか?

金原
 何も変わらないですね。まあでもちょっと安堵感があるか……。「やっと終わったな」「無事に帰ってこれたな」って。首のケガ(ヘルニア)のこともあったけど、大きな事故に至らずに。お医者さんから「何か強い衝撃を受けたら、何かしら不随が残ってしまう可能性もある」と言われてて。

――
そ、そんな状態だったんですか……。

金原
 それは鈴木千裕戦の前に言われたんですよ。そのとき初めて戦うことに対して恐怖を感じました。いろいろ話を聞いたし、実際に身近にそういう人がいるわけじゃないですか。他人事とは思えなくなって、前回の鈴木千裕戦のときから「無事にリングを降りたいな」って自分の中でも恐怖との葛藤があって。

――
大きな衝撃というのは具体的にどのレベルのものなんですか?

金原
 それはわからないんですよ。そもそも殴られたときに自分が反応できているか、反応できていないかにもよるだろうし。

――格闘技って相手の攻撃を防御できない場合もありますね。万全の状態で臨んでも大ケガを負う可能性がある競技で。

金原
 だから具体的な説明はできないです。ただ、大きい衝撃を受けたときに不随になる可能性がある。診てもらったのは首や頸椎関連で有名な大きい病院だったんです。そのお医者さんがいい人で「試合の日は当直で夜中までいますので、何かあったら電話ください。他の病院に行くよりも自分のところに来てください」と。

――
症状がわかってるから対応が早いってことですね。しかし、そんな恐怖を抱えながらよく戦いましたね。

金原
 ね?(笑)。いい加減、年齢を考えろって言われますよ。

――
そこは格闘技にケジメをつけたい思いがあったんですか?

金原
 鈴木千裕戦の負け方では燃え尽きられなかったんじゃないですかね。あのときは恐怖もあったし、自分では納得がいく内容ではなかったんで。なので今回やってダメだったら、もういいやと。

――
もしYA-MANに勝っていたら、現役を続けていたんですか?

金原
 勝ったらまた違うかもしれないですけど、勝っても負けてもやめようとは思ってました。勝ったら引退のことを言うつもりはなかったです。また1年後、やりたくなったらやればいいし。でも負けたら言おうとは決めてました。引っ張るつもりはなかったです。

――
首のヘルニアは改善するものでもないわけですね。

金原
 これも何かやったわけじゃなくて急になったんですよ。急に痺れて、力が入らなくなった。まあ、ほとんどのケガってダメージの蓄積的なものなのか、気づかぬうちにに何かのスイッチが入っちゃって、そういう症状が出てきちゃうものだから。

――
MMAは比較的新しいジャンルだから、ケガのデータはまだまだ出揃ってないところはありますね。しかも10年前とは打撃偏重で競技性も変わってきてますし。

金原 今回は水抜きの量もいつもより1キロ少なくしたりして。水抜きの量でダメージも変わってくるだろうから。いろんなことを変えましたね。

――
最近立て続けに起きているボクシングの事故も、水抜きの減量がひとつの原因じゃないかという説も出ていますよね。

金原
 水抜きが脳にダメージを与えるのがけっこう大きいって言われてますね。だから水抜きの量を減らしたり。

――格闘技は「死と隣り合わせ」の危険なスポーツと言われますけど……。

金原
 こういうとあれですけど、死にたくはないですよ。でも、正直、死なないことも怖いんですよ。

――
たとえば残された家族がずっと面倒を見なきゃならなくなって。

金原
 そうそう。お金もかかるし、苦労も負担もかけてしまうので。

――
試合が決まってからリングに上がるまでは、自分との戦いみたいなところもあったわけですね。

金原
 試合の取り組み方も変えたし、いろんな意味で不安もあるし。これが成功したらワンチャンもう1回いけるのかなっていう願望もあったり。

――
できるんだったらまだ戦いたい。

金原
 新しいことをやってるから新鮮だし、これが合ってるのかどうかはわからないけども、いろんな方法を試してましたね。

――
そんな状態で強打のYA-MANを指名するのは怖くなかったんですか?

金原
 だからこそスリルがあるんじゃないですか?

――
怖いけど、スリルを楽しみたいわけですか?

金原
 やっぱそういうスリルがなければつまんないし。弱い相手を指名したとてね……中途半端なグラップラーの人とやるより、こういう試合のほうが絶対に楽しいし。

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――
セコンドの皆さんは身体の状態を知ってたんですか?

金原
 自分の状態は伝えてるし、組んでるときに自分の力が弱いのか強いのかを知ってもらいたいから。ずっと長くやってきてるから、健康だったとき、ケガしたとき、減量したとき、ビフォーアフターが全部わかる仲間と組むようにしましたね。

――
試合のコンディションはどうだったんですか?

金原
 試合のコンディションはね、よかったと思います。よかったです。減量してくると細くなってくるので、神経に触れる部分がけっこうあって。何もしてないのに痺れがあって、そのときに「ヤバイ、またか……」ってときはあったんですけど。リカバリーしたときはちゃんと戻ってきましたね。

――
試合のほうなんですが、1ラウンド目を見るかぎり、このまま極めちゃうんじゃないかっていう内容で。

金原
 自分の中ではその予定だったんですけどね。でも、あんまり追いすぎないようにして。向こうは絶対に組みを切ってくるじゃないですか。自分が追いすぎると、ヘタっちゃって相手のペースになるから。自分から組んで展開を作るけども、ポジションを取れなかったら無理に追いすぎないようにしようと。1ラウンド目はうまく戦えて、YA-MANも疲れてたからけっこういい感じだなと思ってて。2ラウンド目は仕留めに行こうと。疲れてるYA-MANを追っかけすぎて、自分の体力が逆になくなっちゃって。そこは舐めてた部分というか、「いけるんじゃないのかな」って強引に追いかけすぎちゃったんですね。そこは結果論だけども、今回は格闘技の練習をそんなにできなかったがゆえに……きつい練習をあんまりやってなかったんで。

――
今回はコンディション中心の練習メニューだったんですよね。

金原
 走り込みとか体力作りをメインでやってきたんですけど、格闘技の体力とはまた違うジャンルになってくるんで。そこをやってこなかったから、2ラウンド目の失速があったのかなって感じましたね。

――
仮に格闘技の練習をメインにやっていたら、万全のコンディションで試合に臨めていたかはわからないわけですね。

金原
 格闘技の練習をやりすぎちゃうと、ケガが増えるだろうし。そのぶん、格闘技の完成度が上がってくるけども……。そこのバランスをどうやって取るのか。今回はクロスフィットに懸けて、身体作りに全力を注いだんですけどね。

――スタミナといってもまた違ってくるんですね。

金原
 走ってるときの数値だけ見ると、そんなに差はなかったんから自分の中では手応えはあったんですけど。こんなに競り合うと正直、思わなかったです。組んじゃえば、ガガガッと行けちゃう気がしたんで。思ったよりYA-MANは受けが強かったし、絶対に寝かせられないぞっていう気合いというか、覚悟は大きかったですよね。

――
前日会見のマイクで「MMAやれんの?」って呼びかけましたけど、YA-MAN選手はMMAをやってきたわけですね。

金原
 ちゃんとやってましたねぇ。真面目ですよね。伝わってきましたね、MMAをすごい真面目にやってるなって感じがします。

――
ドロドロのMMAですよね(笑)。

金原
 向こうも向こうで、ゲロを吐くぐらいバテてたし(笑)。最後は本当に紙一重かなあ。ボクもダメージがあって倒れたっていうよりは、「もう疲れた!」みたいな感じで。そこは紙一重だったけど、やっぱYA-MANも全然、下がらず、どんどん前に出てきてたし。若い子とああいう勝負をやっちゃったら勝てるわけないですよね、やっぱ一回り違うんだから。

――
泥沼の戦いになる前に仕留めたかったわけですね。

金原
 YA-MANの得意なところで勝負しちゃって負けましたね。でも、そこで勝負できて燃え尽きれたんでよかったですけどね。うまく逃げてもつまらないし、そこでガッと最後に燃え尽きたのかなって。


・RIZINでやめられたのは幸せだった
・知識がつくことは強さには繋がらない
・ストライカーのスタイルチェンジは難しい
・ボクも所英男も浦島太郎みたいなもの
・稼げることが格闘家の勘違いを生む
・昔のMMAファイターはモテなかった
・生まれ変わったら
SNSで頑張ってブレイキングダウンに出てRIZINに……13000字インタビューはまだまだ続く

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