
大会後恒例!RIZIN広報・笹原圭一さんの超RIZIN4総括17000字です!(聞き手/ジャン斉藤)
――笹原さん、本当のことを言ってください。榊原さんと朝倉未来が揉めてるんですよね? 知らない人がネットに書いてましたよ!(決めつけ刑事風)。
笹原 あー、その話ですか。まぁ1ミリも揉めてないんですけどね。
――1ミリとまで言われると逆に怪しいです! 笹原さんが大会当日にデマを訂正するポストをしてたじゃないですか。未来選手が前日計量のときに左手で持っていたマイクを右手に持ち替えたから「手をケガしているんじゃないか」という、たつき諒の7月5日大地震説ばりのやつですけど。
笹原 試合前の選手に「ケガをしている」とか縁起も悪いし、明らかにデマだからそこは注意したんですよ。あのですね、言っときますけどボクらは大概のことは大目にみますけど、プロモーターにケガと体重オーバーだけは冗談が通じないことを覚えておいてください!(笑)。
――ハハハハハ!プロモーターにその二つは禁句だと(笑)。
笹原 前々日の写真撮影に未来選手が帰ったとか、前日計量のときに社長がクレベルとは握手していたのに、未来選手とは握手をしないどころか目も合わせていないとか、そういうのがいろいろと重なって「RIZINと朝倉未来が揉めている」みたいな騒ぎになったんですよ。
――それで大会当日、榊原さんが朝倉未来の控室に出向いて「仲良し」動画を撮ったんですね(笑)。
笹原 その騒ぎを面白がってわざと撮ったんですよ。真顔で「違います!」と否定するよりも、そっちのほうが面白いんじゃないですか(笑)。

――RIZINって何か起きると、あえて泳がせることが多いですよね(笑)。
笹原 まぁたしかにそうですね。他のイベントに比べて圧倒的にその手の話が多いので、いちいち対応してられないっていうのもありますけど。
――いちいち対応してられないけど(笑)、基本はトラブルをビジネスに転がすわけですね。
笹原 ビジネスにつなげるという発想よりは、面白がろうというスタンスです。それが面白くなってビジネスになるのが一番いいですし、べつにお金にならなくても面白いけばいいんじゃないの?って。
――大会前日のU-NEXTの事前番組で、榊原さんが揉めてる噂について「明日U-NEXTを見ればわかります」みたいに煽ったから、「朝倉未来の試合の解説が平本蓮になるから揉めたんじゃないか」という憶測も広まって。そこはRIZINの悪意もありますよね(笑)。
笹原 そこは完全に社長が遊んでますね(笑)。
――あと言われていたのは、佐藤大輔さん制作の煽りVで未来選手のことをいじっていたのが原因なんじゃないかと。
笹原 みんなホントにいろんなことを想像しますよね(笑)。未来選手と佐藤大輔さんの関係性から、ここまで表現しても大丈夫というラインは当然あると思いますよ。
――でもまあ、過去には選手が煽りVに不満を持ったこともあったじゃないですか。
笹原 そのラインを軽々と飛び越えたことはたしかにありますね(笑)。
――だけど、今回の煽りVは、ただいじるだけじゃなくて、朝倉未来の人間像に迫る内容だったわけですよね。
笹原 そこは表層的な切り取り的じゃなくて、文脈や歴史とかコンテクストを踏まえて見てほしいですけどね。
――そもそも煽りVって事前に選手に見せるんですか?
笹原 見せないですね。チェックすることが習慣化されたら選手から「ここを変えてくれ!」とかって話も聞かなきゃいけないですし、それで気を使ってつまらない映像になったら、なんのために作っているかわからなくなっちゃいますよね。基本は大輔さんにお任せですよ。
――過去にお蔵入りになったケースありますよね。DREAMと戦極との対抗戦のときに、戦極の親会社であるドン・キホーテをいじったら……。
笹原 ああ、そんなことはありましたねぇ。それはラインを軽々と飛び越えたパターンですね(笑)。
――あのときの対抗戦はホントに険悪なものだったから、DREAM側の佐藤大輔さんが作る煽りVを事前にチェックしたわけですよね。
笹原 そもそも試合前の紹介VTRを事前にチェックする・しない、選手が怒ってる云々みたいな話になるのは、世界中でRIZINだけだと思うんですよ。それってつまり「議論になる表現をしている」ってことですよね。
――たしかにそんな映像を作ってるのはRIZINだけですね。
笹原 時には問題作もあるかもしれないですけど、表現の場として機能していること自体は素晴らしいことだと思います。
――UFCのトレーラーもけっこうなお金を使っていたり、オイルマネーを背景としたガヌーのボクシングマッチのトレーラーも1作品で1億円2億円くらいの予算がかかってそうですけど。物語を読み込むような作品ではないですよね。
笹原 ガヌーのトレーラーには驚きましたけど、あれってCGをふんだんに使ったハリウッド超大作なんですよね。1回見れば充分。一方でRIZINは文学的じゃないですか。
――文学的だからこそ、背景や文脈を読みとならないと楽しめないし、読み取ればより楽しめるってことですね。
笹原 お金をかければある程度のものができますけど、お金かけるだけでは最高のものは作れないと思います。
――マイクの持ち方や煽りVが話題になるくらい朝倉未来の注目度が高いってことですね。
笹原 今回クレベルvs朝倉未来が発表されたときは4年ぶりのリマッチということでファンからの反応も好感触だったんですけど、前回と比べると引っかかりがなかったんですよね。
――あのときは「クレベルから逃げている」という風潮がある中でのマッチメイクだったから、ヒリヒリしてましたね。
笹原 いまはクレベルも朝倉未来もお互いに尊敬し合ってますし、憎み合って煽り合うわけでもない。朝倉未来vs平本蓮戦のときのようなバチバチした感じはないし、両選手ともにアスリート然としてるというか、スポーツマンシップに乗っ取って正々堂々戦う感じだったじゃないですか。それは競技としてまったく正しいと思うんですけれども、引っかかりはないなと。
――前回の東京ドームと比べて超RIZIN4に足りないのは“揉め事”だったりしますし。
笹原 なんの引っかりもなく大会が近づいてきてたので、ボクも社長も感覚的に物足りさがあったんですよ(笑)。だから「朝倉未来と揉めている」という騒ぎに自然に反応したところはあります。
――トラブルがないと落ち着かないっておかしいですよ!(笑)。
笹原 だからって、狙ってトラブルを起こしたいわけじゃないですよ。狙ったやつってすっごく興ざめするじゃないですか。
――あからさますぎる炎上ビジネスは微妙ですよね。そこまでの問題でもないのに、Youtubeの再生数のために怒りまくる格闘家とか。
笹原 狙って仕掛けてやる場合は綿密にやるか、出たとこ勝負で思い切ってやらないと中途半端になっちゃいますね。
――「フライ級GP総選挙」も出たとこ勝負の面白さですよね。正直、競技的にはありえないシステムじゃないですか。
笹原 ありえないし、どうかと思いますよね(笑)。
――主催者も「ありえない」ということがありえないです(笑)。笹原さんでさえどう転ぶかわからないから、そりゃあ選手やファンがドキドキするに決まってるし、お叱りの声もわんさか届いてるってことですね。
笹原 ポストしたんですけど、5人から1人を落とすのは忍びないから、また3人加えてまた1回戦をやったほうがいいんじゃないかと(笑)。
――そこでまた「◯◯が入ってないのがおかしい」という騒ぎを受けて、また10人制トーナメントになりますよ(笑)。
笹原 フライ級永久電機ですね(笑)。
――アントニオ猪木の遺志がついに完成しました!って、令和のファンにはまったく伝わりませんよ!そんなことよりオーディションに落ちたほうがスターになるケースでいえば『モーニング娘。』なんですよね。同情が集まりやすいというか、征矢貴が追加されたのもその熱。『フライ級GP総選挙』後もドラマは続くんだろうなと。
笹原 どういう仕組みで選ばれるかは『フライ級GP総選挙』当日に選手に伝える予定です。
――当日!
笹原 だってそのほうが反応も含めて面白そうじゃないですか(笑)。
――その『フライ級GP総選挙』は配信、PPVにしても売れそうですね(笑)。
笹原 GP1回戦の抽選会もそうでしたけど、やるんだったらエンターテイメント性にあふれて、みんなが楽しんでいただけるものにしたいなと思います。
――UFCがリアリティショーによってブレイクして現在の隆盛があるので、日本の格闘技界もリアリティショー待望論が唱えられて、いくつかの番組が作られましたけど。いまの格闘技界はXやYouTubeなんかでリアリティショー的空間が、まさに永久電機のように作られているところがありますね。
笹原 24時間365日絶え間なく動いている。ボクらも全然コントロールできないですし、5名勝ち上がりの件だって結果的に転がってますけど、どんなかたちになるかボクらもわからないですから。そういう意味では、斉藤さんが言うように主催者もある意味演者となっているリアリティショーですよね。
――主催者すらどうなるかわからないから、ファンも「マイクを持ち替えたからケガをしている」とか妄想たくましくなるんだなと。
笹原 いまはコンプライアンスが厳しい時代なんですけど、そこに萎縮したくはない。なんにも仕掛けないほうが余計な仕事も発生しないし楽ですよ。普通にやっていればお叱りを受けることもない。でも自らカオスを作ったり、あるいはそこに飛び込んでいくような狂気がないと人を振り向かせるものなんて作れないですからね。
――普通にやっていたら広がらないし、RIZINではない。やりすぎちゃうと見失う。ちょうど真ん中を走り切る難しさですね。
笹原 真面目と不真面目のセンターラインですね(笑)。でもどうせだったら、自分たちがワクワクすることをやりたいじゃないですか。大会翌日には大量の荷物を倉庫に入れるという超絶地味な作業があるんですけど、楽しいからこそ、40℃に迫る炎天下でもそんな作業も苦もなくできるんです(笑)。
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