昔から潜水艦が好きである。
戦艦や航空母艦のような派手さは無いが、黙って隠密行動をしている感じが職人ぽくてカッコいい。
水上と水中両方で活動するため、流線型と直線が溶け合った機能的なフォルムも痺れる。
潜水艦の映画ももちろん好きである。
そんな映画には、大抵、乗組員全員が全く音を出してはならないというピンチに陥るシーンがある。敵にソナーで探知されてしまうと爆雷で攻撃されてしまうからだ。密室。緊迫した男達。流れる汗。
そんな時は決まって誰かが金属製のスパナを落とし大きな音を出してしまう。
そんな劇的な空間演出ができるのも潜水艦の魅力のひとつである。

もしも、海がもっと澄んでいたら、窓がいっぱいついた潜水艦が開発されるのに、と思うけれど、海の中はプランクトンや廃棄物、舞い上がった堆積物などで濁っているからガラス張りの潜水艦はなかなか登場しない。
加えて水圧の関係もあるので、深海探査船などの窓は丸く小さい。
まあ、それがロマンだったりもする。
そういえば、海の水は濁っているけれど、冬の空は夏の空に比べて澄んで綺麗に見えるのは何故だろうと、冬になるたびに思う。
そして冬になるたびにその理由を調べて忘れる。

調べてみると、冬の空気は夏に比べて空気に含有される水蒸気が30%近く下り、それに付随するチリなども減るからだそうな。
本当だろうか。きっとこれも毎年思っている。
冬の空気が澄んでいるのは、寒くなってハトがあまり飛ばなくなったせいな気が、個人的にはする。中学生だった頃、ハトが飛び交う公園でご飯を食べたら激しい腹痛に襲われたことがある。羽ばたいている鳩の羽根からは何か良くないものが舞っている気がする。それ以来、鳩は嫌いである。
でも、それ以来、嫌いな動物を聞かれた時に「ハト」と答えれるようになったから、それはそれで嬉しかった。それまで嫌いな動物はいなかった。

さて、今は冬である。
冬になり、公園の木立が見える我が家の自慢の窓から、隙間風が酷く吹き込むことに気づいた。正確に言うと、気づいていたけれど、気づかないようにしていた自分と向き合うことにした。
似た話を知っている。