先日、エネルギー基本計画の政府案が発表された。この政府案は、本当なら昨年内に発表されるはずだったが、先延ばしにされていた。昨年12月、猪瀬直樹さんが「徳洲会」グループからの資金提供問題を受けて東京都知事を辞職、急遽、都知事選が行なわれることになったためだ。つまり、原発反対派を刺激することを避けて、発表を遅らせ、ようやく先日の発表となったのである。

この政府案では、原子力発電は、「重要なベースロード電源」と位置づけられている。実は、当初の素案では、「基盤となる重要なベース電源」という表現だった。ところが、先日の政府案では、「基盤となる」が削られ、「ベースロード電源」なる言葉が使われている。

なぜ表現が変わったのか。実は、公明党の要請に応えたためだ。「ベースロード電源」とは、「時間帯に関係なく低コストで安定的に出力できる電源」を意味する専門用語だという。だが、この言葉を知っている国民がどれくらいいるだろうか。表現を和らげたつもりかもしれないが、ただのゴマかしだろう。だいたい、政治家や官僚はゴマかしたいときに、難しい言葉を使いたがるのだ。