私は言葉を使って仕事をする人なので
「名言」と呼ばれ語り継がれる言葉には
たいそう興味がある!
たった数行の
もしくはたった一行の言葉が
世界中で翻訳され
100年
いや!
遥かそれ以上の時を越えてもなお
人々の心に影響を及ぼし続ける!
なんと素晴らしい事か!
それは”ことわざ”ではない!
”いつ・誰が・どういう目的で”
発したものなのかが明確な言葉
というのが「名言」の定義だ!
つまりその言葉が発せられて
今年で何年目か
という事がわかっている言葉が
「名言」なのである!
これまでの『ひろぐ』でも
しばしば「名言」を引用して来た!
そして私もいつ日にか
「名言」を生みたいと望んでいる!

そんな考えで毎日をひろいでいるものだから
なんでもない場所で
強烈な言葉に出会うと
とんでもなく心が震えてしまのだ!

数ヶ月前に「自転車」の後輪が激しくパンクした!
中身のチューブだけではなく
外のタイヤ部分も裂けていた!
10年近く酷使したものなので仕方はあるまい!
その激しいパンクぶりを見る限り
簡単には直らないのは明らかだった!
”激しいパンクぶり”と書くと
「シド・ビシャス」のようなイメージだが
まぁ似たような壊れ具合だ!
『ドーナツ博士とGo!Go!ピクニック』
『エル・シュリケンvs悪魔の発明』の本番で
なかなか時間が作れなかったのだが
最近ようやっと落ち着いたので
数日前に近所の自転車屋さんに
がたがたと音を立てながら押して行った!

しかしだ!
薄々わかっていた事とは言いながら
自転車屋店員の言葉を聞いて
私はどんよりしょげた!

「これはうちではだめですねぇ!」

私の自転車は
ちょいと特殊な姿をした
電動アシスト自転車だ!
一見するとそうは見えないのだが
ちゃんと電動アシストが機能する物だ!
そのため自転車屋さんは
”うちにはこれを修理する技術がない”
とプロとしてあるまじき敗北宣言で
私を追い返そうとした!
どうすればいいものか?
と問うと
買ったお店に持って行けと言う!
残念ながらインターネットで買った物なので
そういうお店はない!

「だとしたら
 しょうがないかもしれないですねぇ!」

なんだしょうがないとは?
廃棄しろという意味か?
え?
そうなのか?
えー!
そうなのか!

長年愛用した自転車だったので
とても悲しくなった!
しかし!
自転車と私の関係にも礼儀というものがある!
そこであきらめてしまえば
自転車に失礼だ!
私はふと思い出した小さな自転車屋さんまで
がたがたと愛車を引いて歩いた!

「他のお店では断られたんですけど・・・」

笑顔のない親父が
煙草を片手に持ちながら
難しい顔で私の自転車を睨んだ!

「・・・うん・・・そやろなぁ。」

なんだかちょいと怖い雰囲気の人物だった!
なんなら
”お前がこの自転車をこんな目に遭わせたんだぞ!”
とでも怒鳴られそうな空気を漂わせていた!
そんな空気を払拭するためにも
私はその自転車への愛情を語った!

「うん・・・そうかぁ。」

親父の怖さはちょいと減少した!
私は前のお店で
だめなら捨てちまえと言われた事も話し
親父の同情心を煽った!
親父はほんの少し優しい目になって
うんうん
と言いながら私の話を聞いてくれた!
そしてこうつぶやいた!

「これは・・・無理やなぁ・・・。」

無理か!
駄目か!
初めて訪れた自転車屋さんだったが
この親父が言うのなら
本当に無理なのだ
という気がした!
それぐらいその親父は
自転車と共に生涯を送って来た事を
オーラとして放っていた!
子供がいるとすれば恐らく
「さどる」とか「ぺだる」とか
名付けているに違いない!
いいだろう!
私は愛車とお別れする決意を固めた!

ところが!

そこから親父がつぶやいた言葉に
肩が外れそうなほど感動した!
それは私が
「一生に一度言ってみたい言葉」
だった!

「・・・うん。
 ・・・これは無理やでぇ。
 ・・・誰にも直されへんでぇ。
 ・・・・・・俺にしか。」

ぎゃっ!

なんと!
なんとかっこいい言葉なのだ!
なんだ最後の
「・・・俺にしか。」
が持つ強烈なパワーは!
なんだこの英語的な語順を用いたおしゃれ感は!
関西弁でさえなければ
「ジェームズ・ボンド」が言いそうな言葉ではないか!
事が自転車でなければ
『ダイ・ハード』で
「ジョン・マクレーン」が言いそうな言葉ではないか!
こんな事を言ってみたい!
こんな言葉を言える人間になりたい!
そしてこんな言葉を言える機会に巡り会いたい!
私の人生の目標とも思えるそんな言葉を
親父は私の顔も見ずに言ってのけた!
私は思わず自転車屋の店先で
「おおおーっ!」
と言ってしまった!
親父はにこりともせずに
私の愛車を店内に運び入れた!

「値ぇはちょっと張るで!」

「あかん時ぁあかんで!」

親父はやっぱり私の顔など見ずに
もう私の自転車を見つめながら
いくつかそんな警告を伝えてくれた!
しかし
この親父に直せなかったとしたら
それはそれで愛車の大往生というやつだ!
私は親父に自転車を預けて帰宅したのであった!

うっかり聞いてしまった
「一生に一度言ってみたい言葉」
に感動していたら
一生に一度やってみたかった事を思い出した!
なので突然やる事に決めた!

来月だ!
2013年10月24日(木曜日)
会場は道頓堀ZAZA HOUSE!
タイトルは

『後藤ひろひとPresents
 Drunken Songbook vol.1
 〜歌う酔っ払いの宴〜』

私は大阪在住の仲良しなミュージシャン達を呼び集め
お客さんの前でぐだぐだ酔いながら
音楽に関するトークショーを開催しようと思う!
しかしながら
ミュージシャンを集めての音楽トークなど
当然ながら野暮な話だ!
なので!
「あのバンドはいいねぇ!」
「あの曲は素晴らしいねぇ!」
などと喋っているうちに
「なら歌っちゃう?」
となればいい!
どんな曲でも即興で合わせられる
スーパーギタリスト「石田雄一」氏と
御陽気”JAG”集団「ミクロムス」
(4人組「みにまむす」の3人バージョン)がいる!
そしてどれほど音楽を語っても
尽きる事のない
スーパーボーカリスト「大西ユカリ」嬢と
歌う怪獣「ぼんちおさむ」氏が
私と共に音楽を語る!
語っては思いつきで歌う!
恐らくは
音楽1:1トーク
という”さだまさしコンサート”の割合になるだろう!
我々の間ではそれを
「さだバランス」
と呼んでいる!
それほど大きな会場ではないので
そこそこな限定チケットとなるに違いない!
その場に居合わせたいと思う方は
お早めにお求め下さいな!
詳しくは以下のリンクへ!

『Drunken Songbook vol.1』

あ!
その数日前には
すっかりおなじみとなった
即興演劇企画
『絶対服従SHOW インプロビアス・バスターズ』
の第6回公演も予定されている!
来月の私は即興に継ぐ即興で
一切退屈する事なく
どっさりとひろいで生きていけそうだ!

かくして
私の自転車は無事に修理が完了した!
ありがとう親父!
いずれ前輪の修理もお願いします!

そんなわけで今回の『ひろぐ』には
特に掲載する写真がなかった!
なので!
先日ぶらりと我が家に現れた
Piper「電人」こと「腹筋善之介」と
それを聞いてぶらりと現れた
「喜劇王・川下大洋」との
「3/5 Piper」写真をどうぞ!
2枚どうぞ!


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