『北海道でもっともおいしくない食べ物』
は驚くほどの大反響だった!
てっきり色々なところから
お叱りの言葉が投げつけられるか
と思っていたのだが
私に届いたメッセージはどれも
「ホンコンやきそばを食べてみたい!」
「ホンコンやきそばを買ってみたい!」
といった冒険心あふれる物ばかりだった!
「ホンコンやきそば」とは無関係で記事に登場した
「アントニオ小猪木」氏からは
「妻が札幌出身なので食べた事がある!
ぶっちゃけ
また食べたいとは思わない!」
との力強い否定メッセージを頂戴したが
そんな言葉を聞くと『ひろぐ』読者の冒険者層は
更に冒険心を高めて行くのだろう!
「自分で危険に直面せず
他人に言われただけで中止するとは
まったく言い訳にもならない」
冒険家・植村直己
先ほど「南参(なんざん)」君から連絡があり
彼の劇団「yhs」による
『しんじゃうおへや』大阪公演
3月12日19:00回の私のトークショー内では
本当にじゃんけん大会が開かれる事となり
じゃんけん勝者には
「南参」君自身が
近所のスーパーマーケットで購入した
「ホンコンやきそば」
をプレゼントする事となった!
飛行機のセキュリティ・チェックの際に
「本品は道外持ち出し厳禁です!」
と言われて没収されないよう祈りたい!
こうなったらなんだか愉快なので
今回も更に「北海道」の底力をひろぎたい!
これは本来「広島の底力」として
驚愕のエンターテイメント・マシン
「ぶんぶん丸」を紹介した次に
記そうと思っていた事だ!
『ダブリンの鐘つきカビ人間』札幌公演は
なかなか余裕のあるスケジュールだった!
カレンダーを見ると
2015年11月18日に札幌入りして
公演が11月20日!
帰阪が11月21日となっている!
つまりわずか2時間半の公演のために
札幌に三泊したというわけだ!
そんなのんびりスケジュールとなれば
私は当然”ひろぎ探検”に出かける!
私が何で調べてそこを知ったのかは記憶にない!
恐らくインターネットを利用し
「札幌」「へんな場所」といった単語で
検索をかけたのだろう!
目標となったポイントは
地元だけに流通する小さなビスケット工場だった!
ここまで聞いたところで
既に道民は「ぎくっ」としている事だろう!
道民は「ホンコンやきそば」と共に
「坂ビスケット」を食べている!
「ホンコンやきそば」同様
「坂ビスケット」を食べた事のない道民はいない!
ところが!
あまりにも無意識に食べているため
それがだいたい幾らで売られている商品なのか?
どこに行けば買える商品なのか?
を知っている者がとても少ない!
現に先日「南参」君の車で
「ホンコンやきそば」を買いに
スーパーマーケットに行った際
お菓子コーナーにも立ち寄り
「坂ビスケットはないかなぁ?」
と尋ねたところ
「スーパーにはないと思いますねぇ!」
と答えられた!
ならばどこに行けば買えるのか?
と尋ねてみると
「坂ビスケットですかぁ・・・。
ちょっとわからないですねぇ!」
と返された!
みんなが知っているのに誰も知らない!
そんな道民だけの秘密のお菓子!
それが「坂ビスケット」だ!
地下鉄東西線の「二十四軒」なる駅で下車!
なかなか裕福な家屋が立ち並ぶ地域で
明らかに二十四世帯は越えている街だった!
調べてみると
かつて「辛未(しんぴ)村」と呼ばれた場所から
二十四戸の家がここに移り住んだ事が
地名の由来だと言う!
それら「オリジナル24」を
全軒探す楽しみも思い付いたのだが
目標となる場所は
それらの中に紛れ潜むと伝えられている
秘密菓子「坂ビスケット」の工場だ!
しかしここでも私は
別称「後藤おすひと」としての使命を
決して忘れはしない!
駅スタンプは馬ひひんだった!
15分ほど歩いただろうか?
住民しか歩く事のないであろう
住宅地の中の静かな道だった!
やがて!
ここが「坂ビスケット」秘密基地に違いないであろう
目印が目に入った!
「坂ビス号」だ!
マスコットの「坂ビスちゃん」もいる!
(どちらも私が思いついただけの名前で通称ではない!)
さて!
噂ではこの本社工場建物に隣接して
道民がなるべく近づかないようにしている
札幌で最も奇妙な場所があると言う!
特に柵もない「坂ビス号」青空格納庫を抜けて
私はちょいと怪しい空気が漂う方向へと進んだ!
そこにこれがあった!
「レトロスペース坂会館」!
中に入った人はみな
「とにかく変な場所なので
言葉では伝わらない!」
と言う!
地元の人々の間でも
精神衛生上かなり危険視されている場所だった!
私の中の「ひろぎの魂」が唸りを上げた!
さっそく入ってみよう!
入場は無料だと言う!
入っていきなり「ぎゃっ!」となった!
のっけから高密度のクレイジーが炸裂し
私の「しりこ玉」が弾け飛んだ!
もしも自分に子供がいて
部屋でこのように人形を飾っていたら
取り敢えず
オレゴンとかジョージアといった
広域を見渡せるような場所に
留学の手続きをするだろう!
一つ一つに
ものすごく手間がかかっているのはわかる!
恐らくなかなかの労力があった末に
成し得た事なのだろう!
だが褒めない!
更に奥へと進むと
そこは珍妙の極みだ!
どれも売り物ではなく
展示品なのだが
”さわるな”と叱責するほどの
愛着も感じられない!
どれもただそこに置いてある!
久しぶりに見る真理ちゃんも
昔と変わらずご機嫌そうでなによりだ!
北海道と言えば
オホーツク海と太平洋上に
ロシアとの国境線がある!
そのため「レトロスペース坂会館」にも
軍事的要素は豊富だ!
生物学者「ウィリアム・クラーク」が
英雄とされる北海道だ!
動物学やロボット工学にも
通じていなければならない!
医学的展示も充実している!
主に浣腸器を中心とした
”浣腸学”の展示が多い!
しかし”浣腸学”という学問が
あるのかどうかは知らない!
けども基本はエロである!
壁にはパンツも踊る!
エロとアイドルの混在に
脳はゲル化する!
ここを訪れた人は自分のブログで
館長なる人物に案内されたとか
親切に説明を受けたといった事を
よく書いている!
ならば私も
誰かに話を聞こうと周囲を見渡したところ
いかにも今の今まで
裏でビスケットを焼いていたであろう
白衣の菓子親父が現れた!
「あのうすいません!
これって一体何なんですか?」
すると菓子親父はこう言い放った!
「知らないよぉ!」
明らかに館長たる者のコメントではなかった!
間違いなく純粋な菓子親父だったのだろう!
裏でビスケットを焼いていたのに
どこかから来た髭の男が
あんぽんたんな博物館に現れたのを
モニターか何かで知り
たまたま一番さぼっていた菓子親父が
「あんた行けよ」
と言われて出てきたのだろう!
「えー俺かよー!」
それでも私がもっと深く尋ねれば
彼はきっと詳しく教えてくれたのかもしれない!
しかし!
私は菓子親父の一言をたいそう気に入った!
「知らないよぉ!」
自分の職場の一部に設けられた
このくるくるぱーな博物館を
明らかに迷惑がっている一言だった!
その言葉の裏に
私は彼の叫びを聞き取った!
「俺はビスケットを焼きたいんだ!
日本一のビスケット職人になりたくて
ここにやって来たんだ!
なのにどうしてこんなくるくるぱーな場所に
立たなきゃならないんだ!
あんた都会から来たのかい?
どうだい?
俺を連れて逃げちゃくれないかい?」
そんな菓子親父の視線を無視して
更に奥へと進んでみると
意外な場所に出た!
「坂ビスケット」専門の店舗だった!
つまりは輸送費すら使わない
アウトレット・ショップだ!
そもそも入場無料だったので
何かでお金を使ってあげたいと思っていた!
なのでビスケットを一つ買ってみる事にした!
1袋100円と言われた!
「レトロスペース坂会館」を出てから
駅まで歩いた私は
多分にもうろうとしていた!
何を見たのか?
何を体験したのか?
うまく整理ができなかった!
ひょっとしたらたぬきに化かされて
次にあの場所を訪れた時には
崩れかけた古寺になっているかもしれない!
今も田んぼの中で足踏みしているのかもしれない!
そんな恐怖から逃れようと
まるでパイプ類を壁に固定する器具のような名の
「しおフライA字ビスケット」
を開封して一つ口の中に入れてみた!
首をひねった!
甘くもなくしょっぱくもなかった!
子供が食べればがっかりし
年寄りがお茶うけに食べれば
またがっかりし!
コーヒーに合うとも思えず
かと言っておかずにもならない!
広くあまねく公平に
がっかりを貫くビスケットだった!
そこはかとなくノン・ターゲットな味だった!
なぜだ!
あれほどおいしい物にあふれる北海道で
なぜに道民はみんなこれを食べるのだ?
しかし!
道民はこのビスケットを
どこで買っていいのか知らない!
なのにみんな必ず食べている!
恐らくこれは秘境「群馬県」における
珍菓「旅がらす」と同じ仕組なのではないか
と私は推測した!
”買った覚えももらった覚えもない”!
なのに群馬のどの家庭のお菓子鉢にも
必ず入っているという
特殊流通菓子「旅がらす」!
「坂ビスケット」もまた
政府の手先がこっそり各家庭に忍び込み
お菓子鉢に入れていくお菓子なのだ!
それによって
よその国から
マクビティとかオレオといった外敵が
地元の産業を脅かさないよう
調整しているのである!
試しに北海道の友人の家で
「”マリー”が食べたい!」
と言ってみるといい!
「ごめんなさい!
”坂ビスケット”ならどこかにあると思うんだけど!」
と返されるはずだ!
買った覚えもないのに!
数袋買った「坂ビスケット」だったが
知らぬ間に全てなくなっていた!
「カミさん」が全部食べたようだ!
「カミさん」の道民力が3上がった!