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人と出会うという事〜ばいばいかおりちゃん
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人と出会うという事〜ばいばいかおりちゃん

2016-03-31 03:36
    もう涙は出ない!
    私は作品を通じて
    「涙の止め方」を伝えた作家だ!
    なのでその方法で涙を止めた!
    しかしそれには
    ずいぶん長い日数が必要だった!

    「としちゃん」こと
    「工藤俊作」さんによるプロデュース
    「KUTO-10(くとうてん)」の新作
    『骨から星へ』を鑑賞し
    出演メンバーと散々ご機嫌に飲んだくれ
    深夜の道を徒歩で歌いながら帰宅し
    マンションのエレベーターの中でLINEをチェックした。
    山形の俳優「吹雪ビュン」から
    「”浅倉かおり”さんが亡くなった」
    と伝えられたのはその時だった。
    なので玄関を開けた時には
    既にいっぱいの涙を流していた。
    「カミさん」には”ただいま”と言えたのだろうか?
    記憶にはない。

    「浅倉かおり」ちゃんに出会ったのは
    2007年の事だった!
    確か私のワークショップ「Royal Plant」
    山形開催での打ち上げに
    「吹雪ビュン」が
    「僕の所属している劇団の現代表で
     ラジオやイベントの司会などもする
     多芸な女性コピーライター」
    として連れて来てくれたのだ!
    あまりにもたいそうな肩書に
    緊張しながら対面した覚えがある!
    ところが!
    会って話を聞いているうちに
    彼女は私の三歳年上の実兄「よっと」
    高校の同級生であった事がわかった!
    しかも高校時代に「よっと」に誘われ
    我が家に遊びに来た事もあったという!
    とても愉快で
    とても聡明で
    とてもかわいらしい年上のお姉様だった!
    私は彼女にすっかり好意を持った!
    そんな出会いの写真が見つかった!

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    翌2008年には
    私が原作した映画
    『パコと魔法の絵本』が公開され
    その山形でのプレミア上映に呼んで頂いた!
    その時のトークショーで司会をしてくれたのが
    「浅倉かおり」ちゃんだった!
    そんな公の場で再会するとは
    思ってもいなかったので
    我々はたいそう喜んだものだ!
    知性的な司会者でありながらも
    そこはかとなくボケまくった彼女のトークは
    恐らく”山形出身者最速”であろう私のツッコミと
    とてもうまく噛み合った!
    「じゃあ次に山形に来た時には
     私のラジオに出てね!」
    とせがまれ
    私はデレデレと快諾した!

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    今皆さんがお読みの私のブログ『ひろぐ』には
    時たま”ヒット記事”が登場する!
    特にそれを狙って書くわけではないのだが
    あまりにも面白い事があると
    それを伝える私の言葉も冴えるというわけだ!
    2009年5月15日付の『ひろぐ』記事
    『実家に帰らせていただきます!
           〜女優・浅倉かおり編』
    もそんなヒット記事の一つとなり
    しばしば語られる物となった!
    それは彼女のラジオ番組に出演するという
    前年の約束を守った後の
    彼女の運転による珍道中を綴ったものだった!
    私も他人に言えたものではないが
    彼女ほどの方向音痴にはいまだ出会った事がない!
    私はこの記事以降
    『ひろぐ』で彼女を登場させる時には
    「まよいびと」という肩書を添える事にした!
    この『ひろぐ』記事のせいで
    彼女は誕生日にカーナビをもらったそうだ!
    ちなみに実は私の手元には
    その道中の動画も残っている!
    (写真は動画からの切り抜きで
     ”車を止めて道を聞く浅倉かおりちゃん”)

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    そこからは山形に帰るたびに
    彼女の番組に出演し
    彼女と近況を報告し合い
    彼女の地理感に仰天しては
    彼女と飲んだくれた!
    山形に帰るとなれば
    必ず彼女と過ごす一日を用意した!
    それは私の帰郷の中で
    大切な”ひろぎ”となった!

    中でも忘れられないのは
    2011年5月18日付『ひろぐ』記事
    『北へ帰ろう!〜第二章 映画館貸し切り』
    である!
    「まよいびと」の番組に出演した際
    私が育った場所と言ってもいい映画館
    「山形シネマ旭」
    閉館後の取り壊し前に
    たった5000円で借り切る事ができると聞いたのだ!
    翌朝彼女と待ち合わせ
    閉館した大好きな映画館を
    地下室から屋上まで
    半日かけてひろいだ!
    2011年の東北の写真
    できれば見たくないのだが
    私は今でもこの時の写真は何度も見返す!

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    翌2012年には
    前述の「吹雪ビュン」まで
    ラジオに無理矢理引っ張り出し!

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    2013年には
    スタジオにねこが住むようになり!

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    2014年にも!

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    2015年には
    更に山形在住の映画監督
    「林海象」さんを
    彼女の番組に連れ込んだ!

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    ・・・ここまで書いて
    私は自分の文章が
    大失敗作である事に気づいた。
    どうしてこんな
    指折り数えるような事をしてしまったのだろう。

    あれほど酒豪だった「浅倉かおり」ちゃんが
    「ちょっと病気でお酒やめてるのー!」
    と居酒屋でジュースを飲み始めた辺りから
    私は少しずつ
    彼女に会うのが寂しくなっていった。
    「治療してどんどん良くなってるのよ!」
    と毎回いっぱいの笑顔で言うのだが
    そうでもない事は
    目で見て明らかだった。
    彼女はどんどん小さくなっていった。
    2015年に「林海象」監督と出演した時には
    放送を聴いていた実家の「ママ」
    「浅倉かおりちゃんの声が
     よく聞こえない!
     ひろちゃんがうるさすぎるせいだ!」
    と私を叱った。
    だがそうではないという事を
    私は知っていた。

    2016年3月18日。
    浅倉かおりちゃんは死んだ。
    どこでどうやって?
    という話はまだ誰ともしていない。
    知らせを聞いた私は
    書斎「LEVEL 4」で
    声を出して泣いた。
    心配してくれた「カミさん」は
    別室でそれに気づかないふりをしてくれた。
    普段とは全く違う私の様子を見て驚いた
    ねこの「FUTURO君」が
    何度も私に悲しそうに鳴いていた。
    私は泣いた。
    ずっとずっと泣いた・・・。

    大好きな人を失った時
    「どうして知り合ってしまったんだろう?」
    と思ったりする。
    「知り合わなければこんなに悲しくないのに。」
    と後悔したりする。
    けどそれは間違いだと誰もが知っている。
    誰かと知り合って
    その誰かをいっぱい好きになって
    その誰かにいっぱい好きになってもらう事は
    人生で最も尊い喜びだ。
    いつか来る別れを恐れて
    偶然訪れる出会いを避けてしまえば
    人生で最も尊いものを失う事になる。
    そんな人生はごめんだ。

    ・・・だからね。
    私は「浅倉かおり」ちゃんと出会えた事を
    本当に喜んでいます。
    出会ってから
    たった9年でお別れになってしまったけど
    彼女と過ごせた時間は
    とってもとっても幸せでした。
    迷いに迷ったドライブの途中
    森の中で樹の幹に頬をつけ
    目をつむって”樹の音”を聴いていた
    彼女の美しい顔を
    私は決して忘れません。
    私はこれからもたくさんの人に出会います。
    その数だけ別れが増える事はわかっています。
    けど
    それを恐れていたら
    彼女にも出会う事はできなかったのです。

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    最後に
    とても悲しい事を書かなければいけません。
    私のカレンダーには
    4月3日に
    彼女の名前とプレゼントのマークが点灯しています。
    少し早いけど・・・
    もう二度と言う事ができないから
    今言いますね。

    かおりちゃん!
    お誕生日おめでとう!
            大王より

    ・・・おかしいなぁ。
    涙はもう出ないと思っていたのに・・・。

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