今回は、今の世の中とぼくとの関係についてを書く。いくらかとりとめのない話になるかもしれないが、しばしおつきあい願いたい。


「人間の記憶」というものは当てにならない。しかし同時に「記憶の癖」というものもあって、それを把握していれば、そこから逆算して記憶を当てにすることもできる。

人の記憶には、例えば嬉しかったことは覚えており、嫌なことは忘れる――という癖がある。理由は簡単で、嫌なことを覚えていると精神に対する負荷が強くなりすぎるので、忘れるようにできているのだ。
それゆえ、過去というのは美化されやすい。これが「記憶の癖」である。だから、人が記憶している過去というのは、たいてい美化されたものなので、それを少し醜くすると、概ねその記憶は信用できるようになる。

人の記憶の中でも取り分け当てにならないのが、犯罪に対する記憶だ。
例えば、今は犯罪率がとても下がっている。中でも、子供に対する暴力が減った