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25
ぼくたちは、午前の便の連絡船で、皆生港から隠岐の島へと向かった。
この時期は、台獣シーズン真っ只中だったから、台獣見物の観光船は混んでいるのだが、反対に、隠岐の島へと向かう観光客はほとんどいなかった。そのため、連絡船はとても空いていて、隠岐の島の住人か、仕事で行く人しか乗っていなかったのではないだろうか。
船が動き出すと、ぼくらはすぐに甲板に出た。甲板に出ると、さすがに真夏の日差しはきつかったものの、風が心地良かった。空は抜けるような晴天で、遠くには入道雲もかかっており、ぼくらはしばらくそれに見とれていた。
沖に出て少し経ってから、エミ子がこんな風に尋ねてきた。
「ね、水着持ってきた?」
それで、ぼくはきょとんとした後、少し憮然となってこう返した。
「そんなの、持ってくるわけないだろ。遊びに行くわけじゃないんだから」
「え、でも――」と、今度はエミ子がきょとんとした顔になっ
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