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台獣物語55(2,619字)
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台獣物語55(2,619字)

2017-02-25 06:00
    55

     台獣は、なぜかシビライザーへの攻撃を中止した。そして再び北上を始めると、いつものように日本海沖で霧のように忽然と姿を消してしまった。
     台獣が大山の向こう側に去った後、ぼくらは倒れたままのシビライザーから英二を助け出した。
     助け出したとき、英二は放心したように動かず、ぼくらが呼びかけても返答はなかった。ただ、目は薄く開いており、呼吸もしていて、意識はあるようだった。泣き腫らしたのか、頬のところに幾筋もの涙の跡があった。
     ただ、あれほどの激しい戦いであったにもかかわらず、怪我はほとんど負っていなかった。その後、到着した自衛隊のステルスヘリコプターで病院に搬送されたけれど、もちろん命に別状もなかった。それでも、心のショックが激しかったのか、結局二週間も入院していた。
     ぼくらは、ヘリコプターが到着する前にそっとその場を離れた。そして、来たときと同じように時間をかけて、歩いて家まで帰
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