ハックルベリーに会いに行く
台獣物語55(2,619字)
55
台獣は、なぜかシビライザーへの攻撃を中止した。そして再び北上を始めると、いつものように日本海沖で霧のように忽然と姿を消してしまった。
台獣が大山の向こう側に去った後、ぼくらは倒れたままのシビライザーから英二を助け出した。
助け出したとき、英二は放心したように動かず、ぼくらが呼びかけても返答はなかった。ただ、目は薄く開いており、呼吸もしていて、意識はあるようだった。泣き腫らしたのか、頬のところに幾筋もの涙の跡があった。
ただ、あれほどの激しい戦いであったにもかかわらず、怪我はほとんど負っていなかった。その後、到着した自衛隊のステルスヘリコプターで病院に搬送されたけれど、もちろん命に別状もなかった。それでも、心のショックが激しかったのか、結局二週間も入院していた。
ぼくらは、ヘリコプターが到着する前にそっとその場を離れた。そして、来たときと同じように時間をかけて、歩いて家まで帰
この記事の続きを読む
ポイントで購入して読む
※ご購入後のキャンセルはできません。 支払い時期と提供時期はこちら
- ログインしてください
購入に関するご注意
- ニコニコの動作環境を満たした端末でご視聴ください。
- ニコニコチャンネル利用規約に同意の上ご購入ください。