村上隆さんの著書「創造力なき日本」の巻末で、村上隆さんとドワンゴ会長の川上量生さんの対談が行われていた。その中で、気になるエピソードが紹介されていた。

それは、ドワンゴがニコニコ動画をスタートした当初、YouTubeのサイトに乗っかる形でコメントをつけていたのだが、YouTubeからアクセスを遮断されてしまい、それができなくなって「さあ困った」となった。しかし、その困ったことがニコニコの伝説となって、後の発展につながったのだという。
それで、ブランド作りにはこうした伝説が不可欠なのだが、それはほとんどの場合偶然にしかできず、人工的に作るのは難しい――ということが語られていた。

このトピックは、ぼくが長年ずっと考えてきたテーマであり、実は「もしドラ」を作った際にも実践したことでもあった。だから、本来は連載中の「『もしドラはなぜ売れたか?」の中で紹介すべき事柄かもしれないが、今回はその概要を、番外編としてここに紹介したい。