ぼくは師匠が秋元康さんだからよく「師匠から何を教わりましたか?」と尋ねられるのだが、そういう時、いつも答えに窮してしまう。なぜなら、驚くほど何も教わっていないからだ。師匠は何も教えてくれなかった。ぼくは全然手塩をかけられなかった。

しかし、ただ一つ教わったことがあるとすれば、それはまさにその「教えない」ということであった。師匠はぼくに、「弟子には教えない」ということを、身を以て教えてくれたのである。今日はそのことを書く。