「人間とは何か?」
そうした質問をする人が、今日では格段に減った。なぜなら、現代では時代遅れの古くさい問いに聞こえるからだ。青臭い、哲学かぶれの、幼い子供のような問いに聞こえる。

昔はそうではなかった。70年代くらいまで、哲学的な議論は盛んに行われていたし、またそれをバカにする人もいなかった。
しかし80年代辺りから急速にバカにされ始め、90年代に入るとそれを議論しないことが主流になり、0年代に入ると誰もそれを問わなくなった。それどころか、多くの人がこうした問いがあることすら知らなくなった。

ところで、こうしてみると「哲学的な問いの盛衰」は、必ずしも「景気の良し悪し」とは無関係と分かる。なぜなら、世の中が好景気に沸いた80年代から衰退し始め、景気が落ち込んだ90年代以降もそれが継続したからだ。つまりこれは、半世紀近くに渡る長いスパンのトレンドなのである。

なぜこうしたトレンドが起こったか?