ハックルベリーに会いに行く
マンガの80年代から90年代までを概観する:その27(1,749字)
1960年代後半になると、赤塚ギャグは急速に失速する。理由は、ニヒリズムの終焉だ。この頃、世の中は急速にニヒルではなくなった。
理由はいくつかあるが、一つはベトナム戦争だ。またその背景にある冷戦だ。
これによって、「世界はまだ戦争状態にある」ということが可視化され、平和も砂上の楼閣であることが子供たちにもリアリティをもって伝わった。
このことから、「何のために生きるか?」と問われたときに、「平和のために生きる」という答えがすっくと立ち上がるのだ。平和は、「守るもの」「築くもの」として、そのために「戦う」という分かりやすい物語が用意された。おかげで、多くの人は「自分はなぜ生きているのか?」と悩まなくて良くなった。
もう一つは、1970年に学生運動が頓挫し、それそのものが砂上の楼閣であったことが分かった。おかげで、人々は目の前に開き始めた「豊かさ」を謳歌する方向に向かう。若者たちは、自動車に乗
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