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週末に見たい映画#018「風の谷のナウシカ」(2,206字)
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週末に見たい映画#018「風の谷のナウシカ」(2,206字)

2013-04-26 06:00
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「風の谷のナウシカ」は、1984年の封切りだから、今から30年も前の作品だ。この作品は、宮崎駿監督がテレビの監督から転身し、映画監督としての足がかりを作った重要な作品である。
その意味で、宮崎駿監督のデビュー作とも言えるような作品だ。そしてデビュー作には、作家の全てが現れるという。だから、この作品もそうなっている。ここには、宮崎駿監督のさまざまなものが詰まっているのだ。

その意味で、この作品はとても重要なものと位置づけられる。この映画が封切りされてから30年が経ち、宮崎駿監督がその後、さまざまな作品を作ってきたことによって、逆に、デビュー作とも言えるこの作品の重要性が浮き彫りとなってきた。

ところで、この作品には、宮崎監督自身が描いたマンガの原作がある。そのマンガとアニメとでは、登場人物や世界観は似ていても、ストーリーが大きく異なっている。だから、両者は通常別の作品と見られるし、あるいはその差異が、宮崎駿監督やこの作品を読み解く大きな鍵ともなっている。

そのマンガは7巻まであるのだが、その最後のコマに、一つの言葉が書かれている。それは、こんな言葉だ。
「生きねば……」
ところで、宮崎駿監督は、今年の夏にも、新作の封切りを控えている。それは「風立ちぬ」というタイトルなのだが、その公式ページに飛ぶと、ポスターを見ることができる。
――と、そのポスターを見て驚いた。そこには、タイトルの横に大きくコピーが記されているのだが、それはこのような言葉だったのである。
「生きねば。」

この一致が、偶然かわざとかは分からない。しかしこの一致は、「風立ちぬ」という作品と「風の谷のナウシカ」という作品とを結びつける、一つの有力な架け橋となることは間違いない。あるいは、両作品を読み解く大きなヒントになるとも言える。
そこでここでは、夏に公開される「風立ちぬ」に備える意味でも、今一度「風の谷のナウシカ」を振り返り、そこに書かれていた「生きねば」という言葉が何を指し示すのか、あらためて考えてみたい。
 
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宮崎氏の作品には、命を相対化したり優先順位を付けて選ばなかったり感情と共に捨てたりした手段や目的が
ぶれる人格を否定しつつも生の方向へ肯定するというテーマがあることでしょうか。

No.1 133ヶ月前
userPhoto 岩崎夏海(著者)

>>1
その通りですね。最初から肯定しているのと、否定しつつも否定しきれずに肯定するのとでは、同じように見えても全然意味が違うんですよね。そして「ナウシカ」を見る人には、ナウシカを「初めから命を肯定している」と思っている人と、「一周回って仕方なく肯定している」と思っている人の2種類いると思います。もちろん後者の方が正しいのですが、前者のように受け取られることも、宮崎監督は織り込み済みだったと思います。

No.2 133ヶ月前
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