ハックルベリーに会いに行く
マンガの80年代から90年代までを概観する:その51(2,184字)
今回は1950年代について見ていく。というのも、赤塚不二夫というマンガを生み出した背景が、あるいはその揺りかごのようなものが、この時代にあると考えるからだ。
ところで、赤塚不二夫以前にギャグマンガというのは存在しなかった。もちろん、笑いやユーモアはあったが、赤塚のようなスタイル、あるいは思想的背景――哲学を持ったマンガはなかった。
その哲学とは、「ニヒリズムのオルタナティブ」だ。ニヒリズムからの脱却と、新しい価値観の提示である。
そして、その新しい価値観こそ「これでいいのだ」だ。だから、それはニヒリズムの否定ではあるが、広い意味ではニヒリズムをも肯定している。ニヒリズムの価値観さえも、「これでいいのだ」と許しているのだ。
言い換えるなら、それは「許し」の哲学なのである。
そして、その許しの価値観を育んだものこそ、50年代といえよう。では、なぜ赤塚不二夫は50年代に許しの価値観を育んだのか?
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