はじめに

前回、プレゼンテーションについての記事を書いたら大きな反響を頂いたので、今回も引き続きプレゼンテーションについて書いてみたい。


ぼくはアイデアを出すことを仕事としているので、思えばこれまでの人生はプレゼンテーションの連続だった。そこで人をいかに説得するか、説得しないまでも自分のアイデアをいかに採用してもらうかということで、鎬を削ってきた。

また、ぼく自身がプレゼンテーションをしてきただけではなく、さまざまな人のプレゼンテーションというものも見てきた。中にはものすごい名人芸というか、凄腕のプレゼンテーションマエストロも何人か見てきたし、彼らの目を見張るような鮮やかな手練れというのも幾度か目の当たりにしてきた。

そうした中で、いつの間にかぼくのプレゼンテーションに対しての一つの法則というか、スクリプトというのができあがった。すぐれたプレゼンテーションにはある一定の法則というか流れのようなものがあって、ビシリと決まるプレゼンテーションはもちろんディテールの微妙な差異はあるけれども、概ねこうした流れに沿って展開されているのではないかという「型」のようなものが、ぼくの中でだんだんと固まってきたのである。


そこでここでは、そんなぼくが分析しまとめたプレゼンテーションの型、あるいは流れというものを、9つのステップに分解して紹介してみたい。このステップに沿ってプレゼンテーションを展開することができれば、どんな手強いクライアントでもかなりの高い確率で、すぐに成約とは行かないまでも、強いインプレッションを残せることは間違いないだろう。そして、そういうインプレッションを残していくことは、例えそのプレゼンテーションでは実を結ぶことができなくても、未来のプレゼンテーションの種まきとしては非常に有効で、そういう地道な一歩の積み重ねが、千里の道も一歩からで、結局は成約への一番の近道だということは、この9つのステップを紹介する前に、あらためて強調しておきたいところである。